本日の徹子の部屋ゲストは萩尾みどりさん

2002年2月23日

黒柳「この方は国立千葉大学の理学部理学課。あんまし女の子が入らないところですよね」

萩尾≪将来は生物学者になろうと思ってましたから。生き物が好きで好きで動植物かかわらず≫

「最初に出たドラマが大正時代の耐える暗い感じ役で多かったですよね」

≪今でも多いですよ。耐え忍ぶ役が≫

「ばんばん男の人に言う役はおやりになんない」

≪ないですね≫

「それで大学2年生のときにTBSのドラマの役に選ばれて大学はどうなさったんですか」

≪7年在籍してて25ですよね8年までなんですよ。でとりあえず1年休まずくれば卒業できるよ萩尾くんと言われたんですけど仕事があるんで無理だなと思って1年を残して中退をしますと≫

「当時はあなたが生意気なことをおっしゃってもしょうがないね理学部だからといわれたところがあったんですって」

≪それはすごい効果がありましたね。理科系の人はみんな頭がいいと思われるじゃないですかですからそれだけでもあの人は頭がいいとか、生意気なことを言っても理科系だからとか≫

「文科系というよりはねえ」

≪ずいぶんお世話になりました理科系ということに≫

「若い人は知らない人が多くて萩尾さんあなた頭が悪いんだねって言う人がいるんですって」

≪ええ。言われたりして自分で理科系といったりするんですけど≫

「さて離婚なさって離婚があなたを育てたと思ってらっしゃるんですけどご自分は”雌雄同体”だと気付いた」

≪そうですね女性ですからより女らしく見られたいとか男の人にもてたいとかあるじゃないですかでも無理なんだなとそれは私は雌だけじゃなくて雄もからだの中にある。見た目は女だけど精神的にはほとんど男だから。徹子さんはそんなところありません?≫

「私は全然持ってませんねえ。私は見たところ男みたいだなと思うかもしれないけどあなたより女だなと思いました。リーダーシップをとりたいとは思わないですからご飯食べるときこれ食べましょうということはありますよでも生きていく上でね絶対こうでありたいとは思わないですよ。大体男の人の言いなりですよ。ある程度はねえ。そう見えないでしょでもそう言ってたら結婚してたかもしれないですね。離婚したときの直接の原因はスーパー行ったときの」

≪私の気に入ってるスーパーマーケットが遠いところにあるんですよ。そんなにしょっちゅう行くところじゃなくてたまたま元の夫と子供2人と行ったんですよ。車をとめて車を降りて店はすぐそこで左から行くと近いでも右から行くとすごい遠回りになる。でも右から行くとめったにしか行かないから行きたかったお店が一軒あるんです。スーパーへ行った後だと荷物がいっぱいになるじゃないですか。だからそこの店に行きたいと言ったら彼が”そこには行きたくない。そんな店なんかいつでも行けるじゃないか買い物して帰ろう”と言うんですよ。いつもだったらなんでもないんですけどその時は腹が立って人通りも結構あるんですけど大喧嘩になちゃったんですよ。≫

「めったに行かないから寄ろうとそれは私もわかります」

≪でも頑として彼は聞かない。さっさと買い物して家に帰りたいというんですよ。でも家に帰ってもねえというのがあって。で彼はスーパーにいって待ってて私は子供たちとその店にいって家に帰ったんですよ。でもそのときからばたっと口を利かなくなったんですよ。というのが原因ですね≫

「だから・・・」

≪つまんないことですけど。それっきりですよそれからほぼ5年間家庭内離婚になちゃいましたけどねえ。≫

「いろんなことがあったと思うんですけど」

≪いろんなことの積み重ねなんでしょうね≫

「あなたは夫して男としてこうして欲しいというのがあったんですって」

≪そうですねあんましねえ相手もいないところで言うのもなんなんですけど何か決めるときでも君が決めればいいよとか君の好きなようにやればいいというんですけどその代わり私が決めた以上は私が責任を取らなければいけないんですよね。そういうところがこの人は決めたがらないというか~≫

「男の人が寛大というんじゃないですか?」

≪じゃなかったみたいですね責任を取るのが面倒くさい≫

「元の旦那さんが俳優さんでいらっしゃるから君がやればいいよと軽い気持ちでおっしゃったのかもしれないですよね」

≪そうですね。ただ一番私が家庭内別居になってしまったときに彼と一緒になって私が一番嫌だったかというと家事をしないんですよ彼が。私は両方とも働いてるんだったら家事は分担だって思ってたんですね。その考えが正しいと思ってますから家事はやりたくないといわれると理屈を通せば分かってくれると思うじゃないですかでも”僕はやりたくない。君が暇なときにやればいいじゃないか”という人なんでずっと家事をしてと言い続けててそうですね彼と喧嘩してずっと時間があったというのもあるんですが一人でつらつら考えてみればきっと彼はわかってくれるというのがもしかしたら間違ってたんじゃないかと思って。それはそうですよねその人が変わろうと思わなければ周りがいくら言っても変わらないというのにそうなのかなと思ったんですよ。5年間家庭内別居をする前の10年間毎日のように彼にそのことを言ってましたから≫

「ちょっとやってみるけどどうせ駄目だよとかもなかったの」

≪あまりに私が言うのでたまにやってましたね。でもいやいやなんですよ≫

「あなた本当に面白い方ね。今までそんなに面白い方とはみんなに思われてなかったんじゃないですか」

≪いやあ面白い方とかより美しい方とか頭がいい人とか思われてたほうがいいです≫

「でも子供のこととかは見てくれたんですか?」

≪いやああんまし見てくれなかったですね≫

「そうなんですか子供はなついて」

≪うーーーーんそこそこじゃないですか≫

「あなたの方からそういう風に見えてるんであってね」

≪でもまあ彼が父親であることは一生涯代わりませんから会いたくなればいつでも会いに行けばいいと私は思ってますけど≫

「口も聞かない間子供はどうしてました」

≪下の子は5歳だったので≫

「その子が5歳だったのでせめてその子が10歳になるまでまとうという5年間だったの」

≪私は腹が立って口を利かなくなってから最初から離婚とは思ってなかったんですね。でも考えてるうちにこれは無理なんじゃないかと。私離婚かなと思ったのは仕事から家に帰るのが嫌になってきたんですよ。空気も重いし人が1人いるのに口も利かない人間がいるわけですよね。家というのは自分のベースだし疲れが取れる場所じゃなければいけないのに家に近ずくと本当に嫌なんですよ≫

「登校拒否のように」

≪だから自分がそう思っているということは子供たちもそう思っているだろうし夫も同じかもしれない≫

「帰ってくる帰ってくるって」

≪”いやだな、いやだな”って思っているかもしれない。それだったらいっそのこと住まいを別にしたらいいんじゃないかと思いましたね。帰るのが嫌になったのと10年間彼に言ってきたことはまったく愚かなことで。彼が変わらないんだったら自分が変われるのかとさっきCMの間に言われた沢村貞子さんのようにねえ”あなたは何もしなくていいです。私がすべてやります。ただ居てくれてたらいいです”という風にやれば家は絶対上手くいく。変われるのかという風に考えたんですけどやっぱし駄目ですね。≫

「自分はなんて駄目な人間だと思うようになった」

≪そうですねそれまで自分に自身があったし人に何か言うときもそんなに私は間違ったことはいってないわというところがあったんですよだけどそれ以来やっぱり自分が非常におろかで心が狭くて何もわかってない人間だとわかってからずいぶん自分が変われたと思いますね。離婚したときのゴタゴタというのは私にすごくプラスになったと思います。≫

「プラスになったことはあなたがそういう風に考えたことだと思いますよね。あなたが離婚を切り出したときに相手がおっしゃったお言葉が」

≪ええ、”あなたも私もお互いはなれたほうがいいんじゃないですか。”って言ったら”そうだろうね同じ一軒の家に男が2人要らないものね”≫

「びっくりしたでしょ」

≪あら男が2人ってそうよね私って男みたいと思いましたね。彼は私に君が決めれば良いよっていってましたけど確かに私が決めたほうが楽なんですよ。決めさせられるのは気持ちよかったんですね。だから私は雌雄同体の人間なんだわと。≫

「国立千葉大学の理学部を出てないとこういう言葉はでないですね。そう気が付いてそれはそうだと。あなたの夢は有料老人ホームにはいってリーダーシップをとりたいというのがあなたの夢なんですって」

≪この性格は直らないわけですから色気とか女らしさとかはいいわけですよそうすると残りはリーダーシップを取るということじゃないですか≫

「でも表がきれいだからそのままでいいですよ」

≪そうでもないんですよ私は長い間色気が足りないといわれてきたんですよ。≫

「相手の男の人に何か買ってとか言おうとも思ったことないんですって」

≪うれしいとは思うんですけど自分のお金で好きなものを買う喜びにはかえられませんねえ≫

「私なんか自分が収入があっても何か買ってくれればいいなって思うもの誰にでもないですけど買ってもらったことないもの。でも自分のお金で買ったほうがいいわって思うんだからリーダーシップとりますよ」

≪そうですね≫

「21歳のお嬢さんがフリーター。昔だったらフリーターなんて許せないというところなんですけど」

≪やっぱし自分のことでさえ上手く変えていけないというのがあると自分の力で変えようとかあんまし思わなくなりましたね。かといって寛容な人間になったかというとそうでもなさそうな気がするんですけど。≫

「で1人で独立して生きていきなさいということになって今度18歳の息子さんは浪人になったんですって」

≪全部落ちたって言う風になって一昔前よりはアハハと笑ってられますね。予備校でも行って考えますかねという程度で≫

「楽になったんじゃないですかね」

≪そうかもしれないですね。非常に楽です≫

「これ以上色気を出せといわれてもないのよって」

≪そうですね。しょうがないでしょうって≫

「面白い話をうかがいました。また」

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