2002年3月21日
黒柳「なんていっても飛行機。ああいうのお嫌いなんですって」
長島≪ええ、飛行機もだめだしエレベーターもダメなんです。基本的に高所と閉所がダメです≫
「じゃあスポーツキャスターとしてはハンディキャップがある」
≪こないだソルトレイクに行ったんですけど死ぬ思いで行きましたね≫
※:ソルトレイク(アメリカ)で冬季オリンピックが開催された
「向うに行った時は高いところはなかったんですか?」
≪そうですねただでさえ高地にあるので僕は気圧さもダメなんですよ≫
※:高地=高い土地。海抜の高い土地 ~小学館国語大辞典より~
「そんな風には思えないですね。普段見てるとどこでも平気で寝ちゃう方っていう感じがありましたから」
≪よく言われますけど飛行機に乗ってると手に汗でびっちょりになるんですね≫
「でも日本でも方々に行きますでしょ。こないだ札幌の雪祭りにいってらしたじゃないですか。ああいうところで台なんかに乗せられてもダメ」
≪ああちょっと≫
「表彰台なんかもダメ」
≪(笑)表彰台は落ちても怪我しないじゃないですか≫
「この方はNHKの朝のドラマ「オードリー」で時代物とかをやってらしたんですよね。主役の方の恋人で。まーあ私は驚いたんですねあんまりハンサムで」
≪(一茂苦笑い)≫
「ご自分でもびっくりなさいませんでした時代物がこんなにいいって」
≪どうですかね自分の中では客観的には見れなかったですけど≫
「みなさんいいっておっしゃったでしょ?」
≪そうですね床山さんとかはいいって言っていただきましたけどでも最初かつらかぶる前のはぶたいは「何だこの顔一休さんみたいだな」って≫
※:床山=俳優の髪を結ったり、かつらの手入れをしたりする人 ~小学館国語大辞典より~
「あの時びっくりしたのはなんて時代物が似合う方だろうっていうことと堂々とした演技をしてらしたんで俳優としてものすごくあってらしたんだなってびっくりしたんですよ」
≪ありがとうございます≫
「(ドラマでは)あれは元々2枚目のスター候補だったんですけど誰かを殴っちゃったりして。でもあの時10キロぐらい体重を減らしたんですって」
≪そうですねどうしても役自体が飢えてる役だったので愛情とか食べ物とか着る物とかに。正直言って僕的にもそういう経験はなかったので監督さんがちょっと減量してくれと≫
「スポーツをやってらしてその中から10キロ減らすのは大変だったんじゃないですか?」
≪でも3週間ぐらいでやせましたね。1回テレビで減量法を言ったらクレームがかかってきて普通の人はやってはいけない減量方法だったんです。とにかく無理をして3週間ぐらいでやせましたね≫
「物に動じない演技だったのでよくできるなって思ったんですけどご自分の中ではドキドキとかなさることあるんですか?」
≪あんまりないですね。というかあんまり考えてないんで≫
「とにかく良かったと思いました。それからご結婚なさいましたねあの時はもう結婚されてました?」
≪(オードリーの時は)してました≫
「結婚された方はあなたが困難な時によくあなたのことを分かってくれた人なんですって?」
≪そうですね自分の中ではちょうど野球を止めてどうしようかて時だったので≫
「”三流”という本をお書きになってその中にパニック症というんですか」
≪自律神経です≫
「過呼吸症候群。息してるの中枢神経で酸欠だって思っちゃうんですって」
≪自分が錯覚しちゃって空気がないものと思うんです≫
「野球辞めてから」
≪辞める前ぐらいからですね≫
「その頃は紙袋をもって(酸素調整のため)」
≪そうですね。あとお薬と≫
「今もなることはある?」
≪そうですね精神的なことを勉強して出さないように消しましたけど≫
「精神的なものなんでしょうね」
≪そうですね人間の精神力って無限だっていいますけどそんなことはないと思いますけどねえ≫
「ちょうどあの時はご自分が引退をなさる時であなたのとって野球って全人生みたいなところおありだったでしょ」
≪はい。≫
「本によるとスーパースターになるんだぞって小さい時から思ってらして」
≪小さい時からプロ野球選手になることしか頭になかったし選手になったら超一流になってHR5,600本打って親父にも認められてって思ってましたから今年で辞めて5年目なんですけど自分がどういう方向に進んでいるのかなってたまに思いますよね≫
「何か超一流選手になってサヨナラホームラン打ったらそのまますたすたと出て行っちゃう」
※:以下は一茂さんの子供時代の夢を語る
≪ああそれはジャイアンツに対する復讐ですね。それは話せば長くなるんですけど(父・長嶋茂雄さんが)前に監督をやっていた時に読売グループのトップの方の思惑もあって辞めさせられたんですけどその時に今でいう松井や清原みたいになって復讐してやろうと思ったんですね。そのシナリオがHR打ってホームベースを踏まないでそのまま帰っちゃって「なんでお前踏まないんだ」って聞かれたらあの時の復讐なんだよって答えてそこまでシナリオ作ってましたから≫
※:長島監督は巨人軍の監督を2回されていて1回目の監督をされた時の話。監督が40代の話<
※:ホームベース踏まないと点数が入らない
「でもお父様が大好きだったからだったんですって」
≪そうですね≫
「お父様が辞められてあなたが子供の野球チームにはいってらした時にあなたに注目が集まってあなたが何かをしなくてはいけないようになってプレッシャーもあったと思いますけどね。一番残念だったのは巨人軍にお入りになってお家でお父様から「残念だけどお前は来期の戦力に入ってない」と」
≪ちょっと話があるからと電話があったんですけどどういう話か分かるんですよ時期が時期ですから。その時に思ったのが親父にはそういうことは言わせちゃいけないんですよね。その時僕がショックな顔しちゃうと親父もシショックを受けるんじゃないかと思って自分は全然ショックを受けたような顔はしないで。とにかくそういう気持ちで行こうと思ってました≫
「お父様から話があってすぐに”はい”と」
≪そうですね話しも1分ぐらいで終わって。3週間ぐらいはどうしていいか路頭に迷ったって言うかねえ≫
「なんていっても人生の目的は野球でしたものねえ。いろんな人からいろんなこと言われても今に見てろって思ってらしたんですけどそのジャイアンツからしかもお父様から一番言いにくいことを言われた時にハイって言った時はどちらも辛かったと思いますよねえ。これ全然違う話で私の父がバイオリニストでN響のコンサートマスターをやってましたでしょ。弟もバイオリニストで父は何とかしていいバイオリニストにしようとしてたんですけど弟は嫌なんですよね。父と一緒にいるのが嫌何ですね怒るし、違う先生に習いに行ってたんですけどどこに行ったかといえば山手線に乗ってグルグル回ってたんですね。先生のとこにも行きたくない、家にも帰りたくないって同じ家の中に同じ仕事をしている人がいるのって大変なことだなって私も見てたんですけど弟はその後外国にいったんですけど」
~CM~
黒柳「引退した後一茂さんはテレビにケロッとして出てらっしゃったのでみんなそうなのかなっとでも精神的に路頭に迷ったというのは分かるんですよね15年間ですか野球生活?」
長島≪ええプロが9年間で大学が4年間それと小学校とかもありますけど小学3年生からやってましたからねえ≫
「長いこと野球生活を送ってらして大好きなジャイアンツしかも大好きなお父様からということで。そのころはひじの手術したりとかいろいろあったんですね」
≪ええ≫
「今の奥様は全部そばで見てらした」
≪辞める1年前に知り合って、本当にどん底っていうか試合にも全然出れないしひじとかも痛くて精神的にも自律神経が出た時だったんで体が動かない状態のときですよね≫
「今の奥さんになられた方が「あなたなら上手くやれるわよ」っていつも」
≪そうですねそれはかなりいい方の言葉ですよね。厳しい事も言われました≫
「例えばどんなこと?」
≪そうですね自律神経で夜寝る時に天井がグルグル回って目をつぶってもまわちゃって本当散歩5,6時間しないと家に帰ってこれなくて結構おかしくなっちゃっててそういうのが続くと本当に死にたいなと思ってくるんですね。たまたま今の女房がいて「死にたいな」とか言うと「じゃあ あなた死になさいよ」とか言って包丁持ってきたりしますからね≫
「そうするとそういうわけにはいかないなって」
≪やっぱりねえ自分は死にたい死にたいって言ってても包丁持ってこられると恐いですよね。そうなると逆に闘志っていうのとは違うかもしれないですかがんばってやろうという気持ちになりますよね。≫
「それで(プロ野球選手を)辞めたらばすごい数のメディアとかから仕事の誘いがあった。それはやるぞという気持ちになったんじゃないですか」
≪それもあったんですけど僕の中では性格的に屈折してるんで辞めて商品価値が上がるということがありますよねこの世界は。そのたぐいと思ったんですね≫
「どうせこれは一時的なものだと」
≪そうですね。僕の中では出てくれということに対して喜びというのはそんなになかったです。喜ばないというのは失礼ですが。今までもそういうのはあったんでうれしいというのにはならなかったです≫
黒柳「あの立教大学のとき法政大学とやった時ですかね」
※:一茂さんは立教大学出身。東京六大学野球
長島≪そうですね。4年生の秋のシーズンですね≫
「ああもうこれで最後だと」
≪勝てば優勝したんですよね。立教が≫
「ほんのちょっとで負けて。その後(試合に負けた後)ガールフレンドのお宅にご飯を食べに行って自分の家でもお父様(長嶋茂雄)とご飯を食べたことがなかったの」
≪はい≫
「そこの家ではみんなで楽しく食べてたら突然泣いたんですって」
≪そうですね僕も泣いたりするタイプではないんですけど試合に勝って優勝だと思い描いてたんですけど法政と2試合やったんですけど2試合ノーヒットだったんですよ。その時も僕がなぜか分からないけどキャプテンやってて4番を打っててそういう状況だったんで自分が打てないことがものすごく悔しくてその後彼女の家に行ってご飯をたべてたんですけど泣くというのは悲しい時じゃないんだなって思ったんですよね自分では止めたいのに涙がどんどん出るんだなって≫
「ポロッと泣いたら後から後からでてきて」
≪1時間ぐらい泣いてそのまま寝ちゃいましたね≫
「次の日の昼まで寝てたというのもすごいんですけどその時に今までの悔しいこととか悲しいことお父様のこととか出ちゃったんですね」
≪最後に負けて僕の計画がかなり崩れちゃったんでね≫
黒柳「”ミスタールーキー”という映画の主役をなさった。主役ってそうあるものじゃないですからね」
長島≪はい、そうですね野球の映画なんで≫
「あれですよねお面をかぶって甲子園の時だけ出てくる人なんですよね」
≪昼間はサラリーマンの役で夜は≫
「この人はピッチャーなんですよね。これ本当の野球みたいですよね。出てる方は本当の選手の方が」
≪野球のシーンで出てくる人はプロに近い人ばかりで≫
「社会人野球の方とか阪神タイガースの選手とか。本物の応援の方とかが入ったり」
≪そうですね応援団の方にはお世話になりました≫
「面白いのは広島、ヤクルトって出てくるのにあそこだけはGってでてくるのね」
≪仮想ジャイアンツなんでしょうね≫
「東京ガリバーズって。私野球見ないですけど(映画)見てて面白かったですよ。この”ミスタールーキー”は3月23日から公開されます。ますますのご活躍をありがとうございました」