2002年4月2日
黒柳「もうデビューなさって10・・・」
森口≪18年になるらしいんですけど≫
「ご結婚なさってたんですってねえ」
≪はい、してます。≫
「私も驚いたんですけど驚く方が多くて」
≪そうですか≫
「びっくりする人がいるとちょっとうれしいんですって?」
※森口さんが結婚したという事について
≪ええ。独身に見られてるなあと思うとすごくうれしいです≫
「結婚したという事についてもどこかで報道されたんだろうけどみんなはそのことを忘れているということもうれしいって」
≪今日ここで言わなければよかったなあって(笑)≫
「(結婚して)もう何年ぐらいですか?」
≪3年ぐらいですね≫
「(お相手は)脚本家のトレンディー物も書いてらっしゃるお名前いってもよろしいですか?」
≪坂本ユウジという≫
「結婚してお仕事もバリバリやってらっしゃるんですけどそれでも個性が足りない個性が足りないって言われちゃったんですって」
≪デビューしたての頃からとにかく「個性が足りない、個性が足りない」とあらゆる方に言われて≫
※ここでデビュー当時の写真登場
「個性がないっていうのもどういうのか分かりませんけどこのお写真がミス松竹に選ばれた時のお写真なんですけど芸能界にお入りになられてずいぶん個性的だと思うんですけど。「男はつらいよ」に割りとすぐにお出になられて「口笛を吹く寅次郎」の時」
≪そうです≫
「でも夢だった女優になって本当にうれしいってお思いなのにみんなにねえ言われて」
≪とにかく普通過ぎるから坂を転げ落ちるような恋愛をしなさいとか≫
「人のことだからそんなこと言えるけどねえ。なかなか坂転げるような恋愛って」
≪どういう恋愛だろうって(笑)≫
「普通て言われて」
≪とにかくどうやったら普通じゃなくなるんだろうってヘアメークを変えてみたり≫
「ちょっとあせってですねヘアメークをもっとはっきりしたほうがいかなって思って高価なお洋服をお召しになってみたりその時のお写真もあるんですけど(※ここで写真登場=白色でたとえて言うとデビィ夫人がよく着ている様な肩のところが盛り上がった洋服に似ている(パーティー用))がんばってらっしゃるんですけどこれでもまだ駄目だって」
≪がんばってるんですけどちょっと違う方向にがんばってたのかなって(笑)≫
「何とか個性的になりたいということでメーキャップから上等の洋服などをお召しになってたんですけどずいぶん違って見えますね」
≪びっくりします(笑)でもがんばってたんだなって≫
※ここで黒柳さんが昔NHKに入った頃の話をされる
「でも時代だなって思うのは(私が)NHKに入った時は取ってくれたのにもかかわらず6000人の中から13人しか残らなかったのに「あんたの個性どうにかなりませんか」って引っ込めて普通にできませんかって」
≪へえええ、うらやましい≫
「ずっと下ろされてたんですよ。目立つようにはしてないんですけど声から何から普通に出来ませんって言われて。台本も私が普通と思える人のところに持てって読んでもらってそれをそっくり物まねしてやると何とか通るっていう感じで」
≪それはそれでどうしていいかわからないですね≫
「それで世の中が個性化になった時に「(個性を)出して」って言われるとどうしていいか分からなくなって悩んだんですよ。だからあなたが個性が無い個性が無いって言われてもねどうしたらいいんだろうって」
≪それである日雑誌のインタビューかなんかで賀来千賀子さんだったと思うんですけど「私も普通だって言われてたけど普通も個性だって」いうインタビューの記事があってそれを読んで少し楽になった≫
「30過ぎたら肩の力が抜けたんですって」
≪やっと楽になりました。別にいいじゃないこれが私なんだからって≫
「でもお綺麗なだけになんかもうちょっとって思う人がいたんですね」
≪綺麗でもなんでもないですよ。ただ何かが足りなかったんだと思うんですけどね≫
「元々はジョージ・チャキリスっていう人をテレビで見たんですって小さい時に」
≪ウェストサイドストーリをやってたんですけど映画も好きだたんですけどジョージ・チャキリスの大ファンになってしまって小学校4年生の時だったと思うんですけどどうしたら彼に会えるだろうってそればっかし考えて単純ですから女優になれば会えるかなって≫
「でお会いになったの?」
≪いえ、お会いしてないです≫
「でも彼が日本でやったステージに」
≪見にいきました。渋谷公会堂でリサイタルをやられた時に≫
「でもウェストサイドの時のチャキリスってこれくらい(頭の上まで)足が上がりませんでした。よかったですね。でもその後NHKで”ラフカディオハーン”をなさってねえ」
≪それをいまだにビデオ持ってます≫
「そういうことからお入りになられたんですけど面白いですねきっかけがねえ。そういう人いるみたいね聖子さんでも郷(ヒロミ)さんとお会いしたくてオーディションに行ったら郷さんに会えると思ってねえ。そういう人多いと思うんですけどねえ。でもあなたは小さい頃から女優になるって決めてたの?」
≪4年生からはまっすぐ女優になることしか考えてなかったですね≫
「そう決めてお入りになられたのでお幸せなはずなのにねえ。」
≪小学校の時の男の子からは「女優になるって言っているって言う人がいるよ」って。女優になるって卒業文集にも書いたんでね女優になるって言ってる頭のおかしい人がいるよって(笑)≫
「そんなことを言って」
≪言われて。≫
「ご自分でお作りになられたアルバムなんですけど」
≪母がとって置いたんですね。小学2年生の時に”我が生い立ちの記”というのを書かされまして≫
「あなたは勉強は出来たの」
≪いやできません。好きじゃなかったですし(笑)≫
「女優になるからいいやって」
≪そういうことですね≫
「ミステリーハンターの時なんかは勉強必要でしょうから」
※「世界不思議発見(TBSの歴史クイズ番組)のリポーターのこと」
≪そうですね。その頃にしとけばよかったですね≫
「それから30ぐらいになりまして個性が無くたって普通で何が悪いさって段々なってきて」
≪開きなおってきたんですね。すごく楽になっていろんなものがやっと見えるようになりました≫
「そういうことがあってからモデルの仕事で着物をお召しになってから顔がメーキャップや着物でどんどん変わるっていう面白さが」
≪そうですね本人はそれも悩みのタネだったんですけど≫
※自分の個性が無いからメーキャップを変えたぐらいで雰囲気が変わると感じた
※着物姿の写真登場(写真は番組HPにも掲載)。見た感じ森口さんとは思えなかったので黒柳さんは
「まあみなさんこんな風に。メーキャップやなんかでガラガラ変わるっていうのも女優としては面白いと思うんですけどご自分では個性が無いからこんな風にガラガラ変わるんだわって。でもモデルとしては最高ですよね」
≪そうですね最近面白さが≫
「身長も高くて」
≪164です。今は(着物のモデルの仕事を)楽しんで≫
「今はそういう悩みも無くなって」
≪ええ≫
「普段は着ないでしょ」
≪仕事で満足してしまうんですね≫
「上背もあってかっこいいですね」
≪いやでもデビュー当時は大きいっていわれて怒られたんです≫
「個性が無くてでっかいばっかし」
≪そうなんです≫
「でも今はミステリーハンターで外国にいったときにその地方の民族衣装の格好をしたり男の人の格好をしたりするじゃない」
≪それが楽しいです≫
「司会なんかもされますから大きい方がいいって」
≪そうですか?≫
「そういうことで悩んでる方とは思えませんけど」
≪そういうことで10年近く悩んでましたけど。(個性をつけるために)あらゆるお稽古事に手を出してみてはやりたいことではなかたったので興味がなかたったので全然続かなくて≫
黒柳「結婚されてるんですけどご主人って可愛い方で日本がワールドカップに出られるということになったらばプロポーズしようと思ってらしたんですって」
森口≪ええそうみたいですね。でも本人言うことがころころ変わるので後から理由をつけたのかなって。サッカーが大好きでちょうどジョホールバルの最終予選も彼は見にいってましてそれで勝ったので勢いでだと思います≫
※ジョホールバル=日本代表がフランスワールドカップ出場を決めた予選試合が行われた場所
「でプロポーズされたと。脚本家でいらしゃるからお仕事でお会いになられたのかしら?」
≪そうですね≫
「初めて会った時どうでした」
≪そうですね縁があったとしか思えないですね。初めての印象はとか聞かれるんですけどあまり覚えてないですね≫
「サッカーがどうとか」
≪中山(ジュビロ磐田所属)さんの奥さんの生田さんとは前から仲良くさせていただいてるのでサッカーは好きでした≫
「プロポーズされた時は感激」
≪その後ワールドカップ見にいきましたので≫
「一緒に。それとあなたが去年お出になった映画が」
≪カンスで賞をいただきまして。ちょうど賞をいただけるか分からないんですけど候補になったという時点でこういうことは中々ないんでカンヌに行きました≫
「カンヌへ」
※受賞式の写真登場
≪これは授賞式ですねレールロード賞という賞でその時ビーチで授賞式があったもので。≫
「レールロード賞というのは鉄道労働者の方が選んだ賞という意味で」
≪うれしいですね。要するに一般の方が選んでくれた賞ということで≫
「去年のカンヌ国際映画祭批評家週間の招待作品になってそこで主演なさって初めての主演だったんですね」
≪そうです≫
「”UNLOVED”という映画で。監督さんはとっても新しい監督さんだったんですって」
≪長編を撮られるのが初めてということで素晴らしい監督です≫
「でも初めて撮った長編のもので賞を取って。もう1つ(賞を)取ったんでしょエキュメニック新人・・」
≪それは新人監督賞で≫
「これはこれでカトリックとプロテスタントのキリスト教の人たちが選んだ賞ということで。内容はあなたの演じた役は地味な役だったんですって」
≪そうですね質素ですけど自分に無理をしないでのびのびと生きているという役なんですけど≫
「そういうもので外国の方が選んでくださるというのはねえ」
≪かえってうれしいですね≫
「日本ていうのが派手なイメージがするからこういう映画も作っているんだって」
≪内面がすごく描かれてる映画だと思います。≫
「今年の5月中旬に渋谷のユーロスペースで。ユーロスペースって本当にいい映画ばかりやるところで私もよく行くんですけど。監督は男の方なんですけどカメラマンは女性の方で」
≪はいアシザワさんていう。≫
「そういうことで賞をいただけてよかったですねいいニュースですね」
≪はい≫
黒柳「でそれが終わってから討論会があったんですって」
森口≪カンヌで上映された後その後に討論会があるんですね。私もそこに参加させていただきまして≫
「それは一般の方と」
≪ええ。私の役が気の強い自分の意見を言えるしっかりとした女性の役なんですね。そうしますとあちらのフランスの男性の方なんですけど日本の女性はこんなにきつくはないって。気の強いのはイメージじゃないって散々言われまして≫
「なんか大和撫子はこんなではないって」
※大和撫子=植物の異名。日本女性の清楚な美しさをたたえていう語~小学館国語大辞典より~
≪19歳の学生の男の子が私にずっとくっついて歩いて「そんなはずはない。あなたはどう思う」ってなんどもなんども聞かれて(笑)≫
「あらーそうまだ日本の女の人はそういうイメージで見られてるんですかね」
≪でも19歳の学生の方がそれをおっしゃるんでどうしてなんだろうって≫
「その人はそういう女の人が好きなんじゃないかしら」
≪そうなんですかね≫
「自分の後ろを付いてきてくれるような」
≪私怒られました(笑)あなたは間違ってないかって(笑)≫
「ああそうじゃあ面白い体験なさいましたねカンウにいらして」
≪ええもういろんな経験させていただいて。まず上映した後にお客さんとディスカッションする機会なんてないですよね。声を聞けたっていうのが本当に面白かったです≫
「監督の万田さんはじめてのものでこんな賞を取れて本当によかったですね」
≪奥さんが脚本を書かれてるんです≫
「そういうご夫妻だったらなおのことですね本当によかったですね」
≪はい≫
黒柳「あなた自身はチャキリスに会うんだから女優になるしかないとお思いになられたそうですけどお父様とかお母様はどうでした?」
森口≪父は昔アナウンサーになりたいって言っていたぐらいなんで大賛成だったんですけど母は四角四面で派手なこととか飛び出たことが嫌いで絶対許しませんて≫
「ああそう。じゃミス松竹になった時はお母様は」
≪それはしょうがないなって。それまで何年も何年もありましたのでその間「なる、なる、なる」って毎日(お母さんは)聞かされていたのでなれてよかったねとその時は思ってくれたみたいですけど。≫
「こうやって女優さんを続けてらっしゃるんですけど今でもお母さんの心のどこかではできれば」
≪止めてくださいと(笑)。健康管理とかが大変なのを見ているのでそんなに大変な仕事はすぐ止めてって≫
「結婚なさることについてはかまわなかった」
≪はい≫
「お母さんはずっと家にいてご主人のご飯のこととかをするようなって欲しいと」
≪母にとってはそれが当たり前のことだと。ただ写ってる私を見るのは好きみたいで矛盾しているんですけど(笑)≫
「母親としては心配だとおもいますね」
≪すごく知らない世界ですしね≫
「でもご主人は脚本家でいらっしゃるから仕事することは全然」
≪はい大賛成です≫
「ご主人はもっと個性をだしなさいとかは」
≪仕事のことは一切話をしないので(笑)。今日だけは言ってきましたけど(笑)≫
「(徹子の部屋に)出ると。ご主人の脚本のものには」
≪恥ずかしいので遠慮しておきます≫
「でもご主人もあなたに合わせて書こうかなって」
≪どうでしょうね。それはそれで楽しいことだと思いますけど≫
「これから映画も公開されて。(成功を)お祈りしてます」