2002年5月7日
黒柳「元このテレビ朝日の局アナでいらっしゃった朝岡聡(あさおか・さとし)さんでいらっしゃるんですけどもこの格好がお好きでよくニュース読むときにはこの格好ではやってませんでしたよね?」
※この日朝岡さんは18世紀のヨーロッパ風の服とカツラをつけて登場。黒柳さんもそれに合わせてドレスを着用
朝岡≪どっかに変身願望があったんでね今までは蝶ネクタイぐらいで我慢してきたんですけどもやっぱり18世紀がすきだったらこういう格好になりたいと。≫
「このかたがこういう格好で来たんで仕方なく私もこういう格好で自前のドレスを着てきたんですがこういう自前を持ってるというのも変わってると言われたんですがこれは芝居のいしょうでしてお金持ちのマダムという感じです。ニュースステーションであなたがスポーツ(ニュース)をやっていると久米さんがあなたのことをなぜかなで肩と言っていましたが」
≪この18世紀の服を着ているとなで肩にいいですね。ピッタリしています。≫
「でも珍しいですよね局の局アナでこういう格好をしてみたいというのは。でもこれだけじゃなくてこのかたはリコーダー(たて笛)をお吹きになるんで日本一リコーダーのうまいアナウンサーになりたいというのが希望だとか。でも奥様はあなたがこういう格好をするのは嫌がらない?」
≪やりたければやればって突き放されたんですけどね≫
「これ(服は)あなた自前なの?」
≪いや実はベルサイユの王様たちがやる音楽会があったんですよ。そのとき私音楽家の役で舞台にでましてその時の舞台衣装なんですよ≫
「へええーー。じゃあ貸衣装」
≪昔のベルサイユ宮殿で宮殿楽長をやってたって役をね≫
「ただ靴がね自分で作ったていう話ですけども」
≪これは普通の靴にリボンを付けただけなんですよ。リボンをつけるとルイ王朝の靴になっちゃうんですね≫
「ハハハハハ(笑)。貧乏たらしいったらありゃしない(笑)。これはうまくいってますね」
≪借りてね凄く気分が良かったんで舞台だけじゃもったいないと言うことで私今度リコーダーの本も書いたんですけども≫
「表紙がね。表紙も驚いたんですけどもさらに驚いたのはこれはあなたの家で写したって。1ヶ所だけがこうなの?」
※表紙は今回出演の衣装を着て写っている写真。バックは朝岡さんの自宅で撮影(宮殿を思わせる空間)
≪そうですここに全グッズを集中していますからね。アンティークが好きなものですからよし表紙撮るのにこういう格好して撮ろうと思ってこういう写真≫
「ですから後ろの絵なんかも古い絵なんですねえ」
≪そうです買ってきた絵なんですけどねえ。だからベルサイユとかのお城の空気を吸いたいなって思ってね≫
「じつは私はマリー・アントワネットとモーツワルトの頃の音楽を卒論に書いたんですけどね。」
≪え!!黒柳さん≫
「そうですよ音楽学校出るときに。東京音楽・・・なんて名前だったかなあ。途中で名前が変わって今は私立では一番難しい東京音大って言うんですけども。ですからマリー・アントワネットについて凄く詳しくて私はその頃の服装とかはすごく好きなんです。それであなたはリコーダーを吹く。子供の頃からやってらしたんですって?」
≪そうですよ。小学生の3年生からリコーダーをやったんですけどねたまたまその時に上手く吹けたんです。中学になったら仲間と吹き始めて中学・高校とブラスバンドでトランペットを吹いてたんですが≫
「そうですってねえ」
≪その間もリコーダーは吹いてたんです。大学はいるとバロック音楽のサークルに入ってテレビ朝日に入ったんですがここ10年はプロのレッスンを受けてて≫
「お勉強してたんですね。いま突然思い出したんですけどもわたし窓際のトットちゃんという本を書いたんですけども私が退学になった進学校の話を書いたんですけどもあなたは私が退学になった学校を卒業してる」
≪そう(笑)≫
「アカバ小学校。ああいけない名前言っちゃった。」
≪いいですよ僕は卒業したんだもの≫
「私はニュースステーションで後輩後輩と言ってたんですけどもあなたのお婆様が?」
≪そうですアカバ小学校の先生やってましたからね≫
「それで私のこと覚えてらしたんですって?」
≪いやあーもう祖母も亡くなりましたからね。でも時代的に言うと黒柳さんがいらした頃ですよ≫
「なんかどうしようもない子がいたっていう覚えが」
≪いやあーどうしようもないかは分からないですけども(笑)≫
「この間あの学校の前通ったの昔と変わってないのね」
≪基本的には≫
「私の1年生の時の教室が運良く通りに面してたんです。でも先生はそれが不幸で私はあの窓から「ちんどんやさん~」って呼んだりして。だからあそこがそのままなんで懐かしいと思いました。あなたは高校の時とかにいいリコーダーが欲しくて」
≪そう。当時はリコーダーっていうとみんなプラスチックでしょ。これは高校の時に僕が初めて買ったリコーダーで柘植(木材)でできてるんですよ。≫
「高いの?」
≪高いですよ。当時3万3000円しましたからね。78年ごろ。≫
「あなたは買って欲しいとお父様に泣きながら頼んだんでしょう?」
≪いや泣きながらじゃなくて。母親と一緒にねえお金が足んなかったんでね。≫
「アルバイトしようかなって」
≪当時恥ずかしくなるでしょ親と一緒に歩くのが≫
「ええ」
≪でも買ってもらえるとなると喜んで行って≫
「じゃあこれが初めてのいいリコーダー。ちょっとリコーダーの音を」
~朝岡さんのリコーダー演奏~
≪リコーダーっていっても大きいのから小さいのまであって≫
※朝岡さんはたくさんのリコーダーを持ってこられました
「このすごい大きいのはなんですか?」
≪これはバスリコーダー。これはさすがに全部(穴を)ふさげませんからキーが付いてるんですけども。≫
「この中ぐらいに大きいやつは?」
≪これはねえテナーリコーダー。これはちょっと音が低いですね≫
「みんなが普通やってるっていうやつ(リコーダー)をやってもらえますか?」
≪小学生がやってるソプラノですか~演奏~≫
「あなたはバロック音楽がお好きですからお好きな皆さんで室内楽とかをやったりするんですか?」
≪そうですね仲間同士でリコーダーだけで演奏したりあとはチェンバロとかバイオリンとかを合わせたり。子供とやったりすると意外と子供の反応がいいんですよ。≫
「小さい子供に聞かせたりするとね」
≪ディズニーものとかね今流行の曲とかをリコーダーでやったりね≫
「楽しいでしょうね。いま1週間に1回レッスンについてらっしゃるとおっしゃいましたけど日本一リコーダ-のうまいアナウンサーを目指してるんですから。今日はこんな格好をされてますけどもアナウンサーですからね今はフリーですから司会とかいろいろされてますけどね。こういう風なのが好きなのね」
≪でもねえリコーダーの頃の古い音楽と言うのはねえこうやって黒柳さんとお話をしているでしょうこれと同じ感覚の音楽なんですよ。どちらかが伴奏している時も片一方は自由に即興したりとかが多い音楽ですから。ベートーベンの音楽だと楽譜どおり弾かなければいけないというのがありますけど、古い音楽だと相手に合わせてね≫
「こういうのはバロック対談っていうんですかね(笑)」
≪だからフリートーキングというのはバロックの音楽と一緒なんですよ。≫
黒柳「これから演奏をしていただくことになってるんですがこれは(リコーダー)はなんですか?」
朝岡≪これはねえ昔リコーダーっていうとアルトを指したんですけども昔テレマンというドイツの作曲家がいましてそのソナタの一節をちょっと≫
「それ(その曲)はリコーダーのために作った曲で?」
≪はいリコーダーのためのソナタなんですけども。≫
「やっぱりドイツって言うのはリコーダーがとっても盛んで」
≪すごく盛んですね。だからバッハもそうですけども有名な作曲家がリコーダーのために音楽を書いてますよ。≫
~朝岡さん演奏中~
「(拍手)今発見したんですけどもリコーダーというのはどこで息をしているのか全然わかんないものですね」
≪息はフッとしているんですけども結構腹筋使ったりして。昔はこの楽器で宮廷や教会なんかでね吹いていいなって。でも今リコーダーは子供さんたち全員やるんだけど大人になってねえやる人いないんですよ。小学生のときやる楽器だろって言われちゃうんですけどもアンサンブルとかやると本当に懐かしくて暖かい楽器なんですよ。≫
「これがアメリカに行ったのはサウンド・オブ・ミュージックになった家族がアメリカにもて行ってアメリカで流行ったって言われてますけどねえ」
≪ヨーロッパだと大人になっても楽しんでらっしゃる方がたくさんいますけどね≫
「私たちの時代はハーモニカですからこういう楽器は全然なかったですから。」
≪このあいだねソルトレイクオリンピックがあったでしょ。そこでジャンプの選手が「いやあこんなに競技で緊張したのは中学生の頃リコーダーをテストで1人で吹かされて以来です」って言ってましたけど≫
「あら!かわいい」
≪やっぱりテストとかで嫌な思いをしちゃうと少年時代に。それで離れちゃうと思うんですね。テストとかでもアンサンブルで2,3人でやると楽しくなってって大人になっても吹く人がもっと増えるんじゃないかなって僕は思うんですよ≫
「お宅のお子さんはやってるの?」
≪リコーダーは好きです。≫
「息子さん?」
≪息子も娘もいます。2人とも楽器をやって≫
「奥さんはやんないの?」
≪やらないですね口だけです。黒柳さんタイプというか(黒柳笑)≫
黒柳「朝岡さんは小さい頃からリコーダーをやってらしてて慶応大学にお入りになってバロックアンサンブルというサークルがあってさだめし上等な稽古をしているんだろうなって思ってお入りになたら」
朝岡≪ちっちゃな幼稚園で(笑)アップラッドピアノがあって≫
「たてピアノですよね」
≪それでイスがねえ20センチぐらいで幼稚園児用なんですよ。今となってはいい思い出ですけどね。趣味を持つというのか続けるというのは40をこえましたけどもこれから大事なことになるんじゃないかなって≫
「そうですね。それからご本をお出しになられたんですよね。これを読んだらまあ詳しいリコーダーの専門書。」
≪ずっとリコーダーが好きでずっと吹いてましたからそのこととか感動したこととか思ったこと発見したこととかをね書いてみたんですけども。≫
「私もっと気楽な本かと思ったらすごくリコーダーについての歴史とか詳しいこと。それからあなたはいろんな方の楽譜の割と高いものを集めてらっしゃるんですって?」
≪そうですね昔の楽譜は全部自筆ですから五線まで全部自筆ですから個性があるんですね。≫
「楽譜は博物館とか美術館とかにあるじゃない、ああいうのをただコピーしたものも安く売ってるんだけどあなたのはちょっと中間ぐらいの高いやつを(集めている)」
≪ファクシミリといって写真をそのまま印刷したのを売ってるんですよ。バッハとかモーツアルトとかの。それを見ながらCDを聞くとこれは実際気分が違いますね≫
「曲を1曲分くらいのもあるんですか?」
≪あるんです≫
「わたしこういう絵葉書みたいなのしか持ってないんですけども」
≪いやいやこれぐらい(3センチほど)分厚いのでね全曲のってるのがあるんですよ。それを見てるともう至福の時ですね≫
「どういうとこで売ってるの?」
≪専門楽譜店。都内にありますから≫
「部分的なものがあることは知ってましたけど知らなかったです」
≪いやいや卒論にモーツアルトのことを書いたんだから買わなきゃ≫
黒柳「(卒論を書いた頃は)そのころはもう40何前ですから売ってなかったんですけどね。今は買わなきゃね。こうゆう格好でリコーダーの普及に努めてらっしゃるんですがリコーダーやってるって言ったら隠れキリシタンみたいに思われることもあるんですって(笑)」
朝岡≪テレビ業界だと特にね「ご趣味なんですか?」とか言われて「リコーダーやってます」というと「は?!小学生の時のたて笛」って言われるんです。これをもうちょっと改善していきたいですね。≫
「そりゃそうですよねこれも上等な演奏楽器だっていう風にね」
≪大人になってからこそこの楽器の奥深さを分かるような気がするんですよ≫
「吹いていただいてないやつでこの一番小さいやつは」
≪これはソプラニーノって言って一番高い楽器なんですけども。音がね(高い)≫
「値段じゃなくてね(音が高い)」
~演奏中~
≪向かい者これで小鳥の鳴き声なんかをこれで真似て協奏曲なんかにね。いろいろ仲間と集めて吹いて楽しいし暖かいし。僕がお爺さんになるまで吹くでしょう≫
「毎日5分間でもいいから吹くということが大切なんですって」
≪可愛がってやると楽器っていい音が出るようになるんですよ≫
「でもアナウンサーやってらしたときニュースステーションに出させていただいた時にあなたがねこういう楽器が好きでこういう格好を好きな人とは存じ上げませんでしたけどもやっぱり毎回借りるんじゃなくて少し自前で作ったら~」
≪じゃあ今度は自前でまた(出演の方)お願いしますね≫
「ありがとうございました」