2002年5月10日
黒柳「よろしくお願いします大谷昭弘さんです。皆さんもどういう方かなと思ってると思うんですけども私が一番興味を引きましたのは奥様が婦人警官ということで」
大谷≪(笑いながら体を傾ける大谷さん)≫
「婦人警官を奥様にしてらっしゃる方は少ないと思うんですけども?」
≪我々が扱ってるのは事件なのでどうしてもかかわりが深かったですね。≫
「(元警官ということで)奥様が1人で家にいても心配は無いですか?」
≪いやあ事件記者の時ですね事件が起こって呼び出されて夜中に飛び出すとですね、その前に死体はどうでとか電話で確認しながら出かけていくとその後1人残されるとねえ(怖かった)・・・。当時はそんなことは言わなかったですがねえ。今になって分かったんですけども。≫
「まあ女性ですからねえ。面白い方なんですがまあーたくさんのレギュラーをお持ちでちょっと羅列してみるとテレビ朝日で「やじ馬ワイド」「スーパーモーニング」「サンデープロジェクト」名古屋の「報道変人」関西の「痛快エブリデェー」「おはようコール」。このなかでもずいぶん朝早いのがあるんですね?」
≪そうですね「やじ馬・・」と「おはようコール」はみんな朝4時台ですね。ですからそういう意味では朝強くなりましたね。≫
「遅くまで飲んだくれてるわけには行きませんよね(笑)。いろんなニュースがあると寝不足にはなるでしょうね?」
≪「朝まで生テレビ」をやったときはほとんど名古屋の番組とくっついちゃいますからね。≫
「大阪にお家があるそうですけども1週間の内で家に帰れる日は少ないんですって?」
≪そうですね必ず帰るのは水・木曜日であとは東京、名古屋をグルグルと周って帰ってくると≫
「お子さんがいらっしゃらないそうですけどもほとんど外食?」
≪そこが一番困ってたまに家に帰ると妻は今日ぐらいは外食にしようというじゃないですか。でもこっちはたまには家で食べたいよと(笑)≫
「お茶漬けでもってねえ。奥様とは徳島の・・・」
≪そうですね新聞記者のスタートが四国の徳島支局だったんでそこで私が警察回りをしていて彼女が警察官だったと。新聞記者としては当たり前の出会いなんですけどね≫
「NHKも最初は地方からなんですね。よく現地採用とか言われますけども」
≪ですから新聞記者の奥様の出身地を聞くとその記者の最初の赴任地がわかるんですね。≫
「でも徳島って言うところは穏やかなところでほとんど事件がなかったんですって?」
≪私は2年間いたんですけども殺人事件が2年間で2件か3件しかなかったですね。その後変わった大阪とは雲泥の差でしたよね≫
「大阪はすごかったでしょ?」
≪そうですね最初に回ったのがカマガサキのアイリン地区だったので。≫
「大阪にいらっしゃって最初に千日ビルの・・・」
≪ビル火災で118人が亡くなりましたのでね≫
「デパートの人じゃなくてそこの中にあったキャバレーの。デパートの中にキャバレーがあるっていうのも珍しいですけどね。」
≪したから有毒ガスが吹き上げましてこないだの新宿歌舞伎町のような火災ですけども。私が行った時は有毒ガスで亡くなられたんでみなさん何とか新しい空気を求めようと思って換気扇のあったトイレのところで山のように人が亡くなってましたね。≫
「118人はおおいですね」
≪そのとき思ったのはこれからこの仕事を続けていくにしても一度のこれだけの死体を見ることがあってはいけないなと。でもまさかその後23年後に阪神・淡路大震災であれだけの遺体に囲まれると・・・あの時思ったのは千日デパート以上の死体には囲まれたくないなと思ったんですがやっぱりだめだったなあっと。≫
「阪神大震災もちょうど大阪のお家に帰ってらっしゃった時で」
≪番組の隙間で大阪のマンションに帰ってたんですけども結構揺れて。我が家は大丈夫だったんですけども≫
「ものすごい音がしたんですって?」
≪そうですね私は東京で育ってるんですぐに自身だと分かったんですけども関西の人はあんまし地震の体験がないから戦争を体験した人は空襲だと思ったりジェット機が墜落したんじゃないかと思ったりさまざまだったんじゃないですかね。≫
「すぐに取材をしようと思ったんですけどもなかなか中にはいることができなくて」
≪そうですね大阪にアジ川の河口っていうのがあるんですけどもスタッフと一緒にボートをチャーターしまして翌日には一番燃え盛った長田区に上陸したんですけどね≫
「戦争の時と同じように悲惨だったんですってねえ」
≪火災もありましたし我々が行った時はほとんどが無理で搬出されるのはほとんどが遺体で≫
※搬出=運び出す。もちだすこと
「そのときに一般の人が一生懸命やっていて国の人たちは手が回らない」
≪よく国は国民の安全と言いますけども国を国民が守れということはあると思うんですけど、国が国民本当に守ってあげる。それはほとんどあり得ないんじゃないかなっと思いましたね≫
「戦争中もそうでしたからね」
≪ただこの間書かしていただいた書評のなかで”いろいろ腹のたつことはあったけども救助に回った人、何もせずに逃げた人全て含めて素晴らしかった”ってその本の中に出てくるんですね。すべて素晴らしかったって言う言葉に取材している側ですけども救われたなって≫
※書評=書物の内容を批評、紹介した文章
「本当に人のことを助けようとしている人も多かったですからね」
≪本当にみんなの安全を確保するとすれば国家だとか組織だとかじゃなくて実は人と人なんですよね。≫
「私も戦争中そう思いましたね。助けてくれようとしている人はそこら辺の普通の人でしたからね」
≪みんな素晴らしかったっていうのは今の言葉として生きてくるような気がしますね。≫
「本当にお気の毒な事件でしたね」
≪事件記者として一番印象に残る事件は何かと問われれば真っ先に大震災が出てくると思いますね。≫
「6400人以上のひとが亡くなったり行方不明ということで。でもいい事件お扱いになりましたか?」
≪事件そのものには悲惨なことが付きまとうわけですけども、でもその事件毎に人間っておろかだなと思うんですけども逆にそういう事件を取材しながら人間てすてたもんじゃないなっと。(事件の)裏で人間って素晴らしいじゃないかと言うのがついて回るからこういう仕事を続けていかれるのかなって≫
「見過ごしちゃいそうなことをジャーナリストの方が本当に見過ごさないので人間同士の助け合いみたいなほんのちょっとしたことでもねえきっと覚えてらっしゃると思うんですけども」
≪感激させられることが普通の仕事よりは多いと、それが我々の仕事の救いみたいな気がしますね≫
黒柳「大阪の池田小学校もすぐお隣と言ってもいいとこだったんですって」
大谷≪ちょうどサンデープロジェクトの取材がありましてクルー(スタッフ)とすぐ近くにいたんですね。あれは10時半ごろに発生したんですけども11時半過ぎには現場についてましたんで。まあいろんな事件を体験してきましたけどテレビ画面におかあさんがパタパタと倒れて・・・≫
「お母さんたちが校庭に倒れている」
≪殺害されたお子さんや怪我されたお子さんのお母さんじゃなくて無事だったこが元気だったよって手を振ったのを見てフラフラと倒れてしまっている。あの事件は絶対安全だと思われてる中の学校でおきてるだけに私たちも最初は何が起きているかわからなかったですね。≫
「ほんとうに子供たちが大人たちを信頼してるっていうのはよく分かってるんですけどもそれを裏切るのは本当に良くないなと思いますね。」
≪こういう仕事をしているといい国と悪い国でどういう国がいい国かっていうのは難しいと思うんですね。僕らからするとなにも金持ちがいる国が素晴らしいと言うんじゃなくてどれだけ大人も子供も命を大事にしているか。とくに黒柳さんは感じてると思うんですけども本当に命の軽い国ってあると思うんですね。じゃあこの日本が歳を取るごとに人の命が重んじられるのかというとなんとなく最近事件をあつかうようになって軽くなってるんじゃないかなっと。逆にいえばいい国に向かってないんじゃないかなっと≫
「残念ですね。いま少年犯罪が低年齢化しているというのがすごい」
≪日本全国の刑法犯実は46%は未成年者が占めてるんですね。子供たちの犯罪が減れば子供たちの犯罪は半分に減ると。もっと大人たちは気がついてそれだけの犯罪を犯している子供たちが次世代になるんだと大人の方たちは危機感をもって≫
「そうですよね事件の半分は未成年」
≪ということを大人の人たちははやく気付いて欲しいですけども。なんでこんなに日本の子供たちは悪いんですかって聞かれるんですけどもこの15年間に日本の国が良くなっていったかというとけして良くはなってないと思うんですね。作っている社会が良くなってないのに子供たちがよくなるのは無理だと思うんですね。≫
「家庭の中でも夫婦が上手くいってないのにねえ・・・」
≪なんで家の子がっていてもおかしいと思いますね。ですからちゃんと社会がそういう方向に向かえば自ずから子供たちだって≫
「根本的に社会が考えないといけない問題ですよね」
≪15年後はどうなってるのかと≫
「次の世代になったときにね。未成年の人が事件を起こしたときにね今までは事件のことは知らされなかったですよね。あれも気の毒でしたね。すこしは良くなったんですか?」
≪犯罪被害者保護法とかですね法的な整備ですとか少年法の改正とかですねむしろ今までがひどすぎて今まではいつどんな時に自分のお子さんが命を無くしたのかさえ分からなかった≫
「そのお隣の”サカキバラ”というおこさんが殺された事件がありましたよね。あの時もすぐ近くだったんですよね」
≪ずっと5月から10月まで現場にいてましたね。≫
黒柳「大谷さんは東京のご出身で目黒出そううです。それで目黒十中、早稲田高等学院にお入りになってやっぱり昔からジャーナリストになりたいという思いだったんですか?」
大谷≪小学校のときからずーと記者になりたかったんですね。でも電車の運転手にもなりたかったんで電車から記者(汽車)に変わっただけだってバカなこと言ってますけどもね≫
「笑えますね(笑)」
≪分かりやすい人生ですね≫
「久米さんは昭和19年なんで早稲田では」
≪一期上ですね。田中真紀子さんも1っこ得ですね≫
「あの方たち(久米さんと田中真紀子さん)は演劇部に入ってたって」
≪らしいですね。≫
「でも大谷さんはジャーナリズムの研究会みたいなのに(入って)」
≪ええ入ってましたけども2年3年の時は学園紛争が盛り上がってた時なのでほとんどバリケードの中にいましたね。学園は荒れ狂ってましたけども活気はあったような≫
「それから読売新聞にお入りになって大阪の読売新聞?」
≪そうですね。お世話になりました≫
「それから徳島に行きまして大阪に戻ってきて。で黒田清さん。名物のジャーナリズムだったんですけども亡くなられて残念だと思うんですけども」
≪もうまもなく(亡くなられて)2年がやってくるんですけどもジャーナリズムには似つかわしくないと思うんですけどももし師匠がいるとすれば私は黒田さんだと思うんですね。私が社会部員の時の社会部長ですしずっと一緒に連載やらしていただいたりコラム書かしていただいたり≫
「なんか頼れそうな人ですよね」
≪仕事してたより一緒に酒を飲んでいた時間の方が長いような気がしますけどねえ≫
「紙面と金は俺(黒田さん)がつけるからいい記事を書けっていつも言ってたんですって」
≪亡くなる前にもいったと思うんですけども次生まれ変わっても次何になりますかと聞かれれば新聞記者という人だと思いますね。記者になるために生まれてきた人だと思いますし生まれ変わっても新聞記者になる人だと思いますね≫
「記事はお上手でしたか?」
≪原稿は上手かったですね。一番教わったのは書き方で自分で書いていても「ああ!これはおっさんから教わった書き方だな」って自分で思うときがありますね。そういう意味ではいつまでたっても師匠だと思いますけどねえ≫
「でも新聞社って言うのは記事をお書きになった人から何人も何人もの手を通して出版されるわけですよね?」
≪新聞となっていくわけですよね≫
「テレビの場合はおでになった方がそのまんま生番組の場合は(放送されてしまう)」
≪そこが仕事の中で一番戸惑う部分ですけどもね。よく新聞からテレビ、テレビから新聞と聞かれるんですけども訴えていくというのにいろんな方法があってもいいと思うんですね。講演でしゃべったり時々漫画も描くんですけども原作ですけども中学生には新聞記者というのはこういう仕事だよと言うのには漫画がいいですし。私たちの仕事は最後には何にもなくなりますね。最後は数寄屋橋でみかん箱に乗って叫んでいてもいいと思いますし。伝える仕事ですから新聞やテレビのスキルを私たちに与えてもらってるだけですから。全部取られればみかん箱に上がってもいいと。≫
「それにしてもこの頃はワイドショーのトップに政治が来るというのは珍しいことだと思うんですけども」
≪長いことワイドショーをやってますけどもワイドショーの批判があると思うんですけどもワイドショーを一言で言いますと人間が生きるシャバはやっぱり面白いという一言に尽きると思うんですね。政治があり経済があり人が愛したり別れたり。それが総じて我々の世界ですから私は否定しない。その中に政治の比重が占めてくるというのはいいことだと思うんですね。≫
「いい事ばっかし出てくるといいんですけどね」
≪出てくる話題がですね。≫
黒柳「もっともっと大事なことがその間にきまちゃってることもありますしね。気を付けないといけませんねえ。今話題になっているメディア規制3法案と言うんですかこれも大事だと思いますねえ。それと有事法制が決まってしまうと大変なことになってしまうとみなさんおっしゃいますけども」
大谷≪確かに法律の細部の部分でいろいろ問題があることも事実なんですけども例えば黒柳さんが行かれた軍事政権国家アフガンのタリバンとかそういう支配されて住みずらい国から多くの国が規正をはずしてみんな自由にものを言える国にしようと言っている時に、盗聴法を含めてみんながやだなってこんな国に住みたくはないなあって≫
「戦争中みたいにね」
≪世界の中で日本だけがそっちに向かっていくのか、なんでみんな縛られていくことを好むのかそうじゃないだろうと。ただメディアを縛るだけじゃなくて私たちは自由な社会を目指してきたんじゃないかと。≫
「そのために戦ってきたんですからね」
≪よその国が日本のような国になりたいといって血を流したり命を失っていく時にどうして日本はそれを手放していくんだと。有事法にしてもメディア規制にしてもメディアだけじゃなくてどういう国の中で暮らしていきたいのかということを皆さんに考えていただきたいんですね≫
「自由に発言することがどんだけ素晴らしいかということをね。内部告発というのも今まではできたんですけどももし決まってしまえば」
≪まったくできなくなってしまうでしょうね≫
「政府の方マスコミはするでしょうと言うけども法律になってしまえば」
≪絶対にできないし我々は法律を犯してやるということはできないですから絶対に阻止したいと思いますねえ≫
「これからも辛口の発言でがんばってください。奥様にもよろしく」