2002年6月21日
黒柳「しばらくでございました。この方のお爺さんとお父さんの話。14LDKのお家にお庭が広大で離れが2つあってお友達が来ると迷っちゃうようなところでお育ちで」
桜≪お坊ちゃま≫
「お坊ちゃま育ちなんですがなんといってもいろいろ驚く事があるんですが毛が全然なくて驚いたんですが」
≪でもね全日本のサッカーの小野選手とかロナウドとかエムボマとかですねこういう髪の毛で本人は小野選手になるつもりだったんですが織田無道になってしまいました≫
「お坊さんになったんですかって聞かれる方もいるんですってね」
≪出家はしてません≫
「いつも時代物なんかに出てらっしゃるじゃないですか。「お江戸でござる」とかね。でもそういう時はカツラを被ってらっしゃるからね」
≪普段も被ればいいんですよね≫
「好きなものを被ればいいんですけどね。廊下ですれ違った時は全然分からなくて失礼しました。お花をやってくださる石橋さんがあなたは桜というお名前なんでこれはバラなんですけどお桜というバラなんです。」
≪ややっこしいですね≫
「ややっこしいですねってあなたのためにやってくださったんですよ。桜金造さんなんだから。金造ということでここ(鉢)が金」
≪造はどこへ入ったんですか?≫
「建造物の造ですよ。」
≪ありがとうございました≫
「それでお飲み物は何がいいですかっていったらば水道の水っておっしゃったんですってねえ。本当にこの辺の水道の水にいつも凝ったコップで出すんですけども100円ショップで買ってきたコップにコースターもその辺に落っこちていた紙で作ったそうです」
≪なによりですね。いただいていいですかテレビ朝日のひねりたての水道水。≫
「このへんの水って」
≪おいしいですよ。五臓六腑に染み渡ります。≫
「心境の変化があったということですけども前の話が分からない方のために14LDKの豪壮な家、離れが2つもあるお庭が広くて友達が迷っちゃう。そういう所にお住まいだった」
≪クラスかえ何かがありますね。そこで君の家はどこなのってひつこく聞く子にはですね屋上に連れて行ってあそこが僕の家だよって≫
「この方の話しは嘘みたいなんですけどもおじい様は戦闘機の設計をなさる方で」
≪中島飛行機製作所≫
「そこで働いていて紫電改という飛行機を」
≪紫電という飛行機を改良して紫電改。零式戦闘機、ゼロ戦世界に名だたる≫
「おじいさまが。はっきり言って軍需成金というんだと思うんですけども」
≪死の商人です≫
「あなたのお家はそのおじいさまが作ったお家なんですか?」
≪そうです。≫
「すごいお金持ちだったんですけどもある日お父様が植木屋になるぞって」
≪その死の商人おじいちゃんですねシンゾウさんといったんですが戦争が終って中島飛行機製作所は没収みたいな形になって、ある日突然植木屋になるぞって言ってその時親父はサラリーマンだったんですよ。≫
「あなたの話によると杉並区には大学を出た人が2人しかいない内の1人って」
≪その1人がうちの親父ですよ≫
「杉並区にはもうちょっと大学を出た人がいたでしょう」
≪内の親父が言ってましたからね。≫
「会社員だったお父さんはおじいさんから植木屋さんになるぞといわれて植木屋さんになる。すごいのは植木屋さんになってまた財をなしたのね。どうしたと思います大きな石を」
≪奥多摩地方に行きましてね。奥多摩は魔女って昔いいましたけども≫
「奥多摩は魔女(笑)。」
≪繰り返さなくてもいいんですけどね。どんどん上流に行きましてね、人のいないところに行きましてね。大きな岩の上にすくっと立つわけですよね。内の苗字は佐藤ですからマルさのハンテンを着ましてね職人たちに指図をするんです。≫
「そういう奥多摩にある石を勝手に持ってきてもいいんですかってこの前も」
≪いけないと思います≫
「持ってきてどなたかのお家に何とかの石でございますって。」
≪200万円ぐらいで売っちゃうんですから。また東京都内にですね植木職人を何人も庭に入れるような家を持ってる人はねえ何人もいないんですから≫
「そりゃそうでしょ。岩なんか入んないんですから。」
≪この石にこけが蒸してとかは同でもいいじゃないですか。普通の人は≫
「植木職人としてもおじい様は成功なすった」
≪大成功しました。≫
「お金は貯まる一方」
≪で亡くなりましてですね。遺産相続ですよ大変だったですよ裁判してね≫
「お父様は兄弟がいた」
≪姉と妹が。このお姉ちゃんと妹が出てくるんだったら分かるんですけども旦那がサポーターというんですか。それで早い話がみんなで仲良く分けたんじゃないですか。その豪邸は売ってしまって。それでもかなりのお金が入ったんですからね。首をひねって考えてましたからね。銀行に何をもってお金を取りに行ったらいいかって。洋服ダンスを持っていったんですよね≫
「本当に!!珍しいですね」
≪振込みにすればいいじゃないですかね。考えてたから何を考えてるのかと思ったら「これしかないな」って言って洋服を全部出してライトバンにつんでですね≫
「しかしここにきて心境の変化があってですね今日お召しのものなんですけどもこのワイシャツはおいくらぐらいのものなんですか?」
≪これは千円です≫
「あら100円じゃないのね。ネクタイは?」
≪千円です≫
「おズボンは?」
≪これは貰いもんです。ドラマをやっていて衣装さんに貰いました。これずっと衣装で着てたんですけども頂戴っていったらばくれました。これねえ(腕時計をさす)千円です≫
「そう」
≪私がしてると千円に見えないでしょ。2千円ぐらいに見えるでしょ。≫
「頭も光ってるし時計も光ってるし」
≪このソックスは3足千円だと思ってるでしょ4足千円≫
「じゃあ靴は?」
≪これは10年ぐらい履いてるんですけども≫
「あまり減ってないですね?」
≪普段はかないんです。これは勝負靴ですから≫
「それはともかく去年お母さんがなくなってお気の毒なことだと思ってたら」
≪去年の9月になくなりましてですね≫
「亡くなる時にあのお父さんは本当のお父さんじゃないよって」
≪衝撃の告白ですね≫
「しかもそのお父さんに対してあなたのお母さんは4番目か何かの」
≪5番目の妻です。ひどいんですけども私にも青春期があったじゃないですかうちの親父が何回も嫁さんを変えてるということがすごく不潔な感じがしたんですよ。あるとき親父に言ったんですよ「お前は内の母ちゃんで5人目なんだって!!5人目なんだって!!」って。籍に入れたのはなって言ってました≫
「大体がお父様にたいして”お前は”なんて言ってたんですか?」
≪その時は反抗期でしたからね。≫
「それでもってあなたは5番目の奥さんの子供だと思ってたらあなたのお父さんは全然違違う人で、私の連れ子だって言われたんだって。そんな事を去年聞かされて、ちょっとコマーシャルへ行っていいですか?」
≪目が離せませんねえ≫
黒柳「心境の変化としては2台持っていたお車をお売りになって自転車で。あんなに安い自転車があるのかと思いましたが9800円」
桜≪そうですよ。最近助かります≫
「それはいいんですけどもお母様が亡くなる前におっしゃったの」
≪そうなんですよ。東京都出身の江戸っ子バリバリだと思ってたんですよ。親父もそうですからね。”やつはつおいね”内の親父は”つおい”何て言いますからね。栃錦のファンでね。≫
「そしたらば」
≪母親は広島県の出身で実は生みの(父)親は広島市の人で私は2歳の時に生き別れをしているんですって。≫
「お父様と」
≪今いる”栃錦はつおいね”って言ってるのは育ての親ですか。だから江戸っ子でも何でもないんですよ。父ちゃんが広島、母ちゃんも広島。純粋の広島≫
「それで突然あなたは広島に行ってみたくなったんですって?」
≪母親がなくなりましてですね自分のルーツじゃないですけども鮭がはるかな海のたびを終って川をソジョウしていく。まあそういいもんでもないですけどね≫
「でもいきなりねあなたのお父さんは本当のお父さんではなくてあなたは連れ子だって聞いたときにそのお父様の事をいい人だとお思いになりませんでした?こんなに育ててくれて」
≪それは思わなかったですね。それで生みの(父)親も生きてるってことなんですよ。元気だってことなんですよ。その人と会いたいとも思わなかったですね≫
「その方はどなただってお母様はおっしゃらなかったの?」
≪名前は聞きましたよ。でも会いたいとは思わなかったですね。それよりも自分の生まれた広島というところを見てこようと思いましてでいってきましたね。広島市に行くついでに宮島に一遍もいったことがなかったんであそこまで足を伸ばそうと安芸の宮島≫
「鹿なんかいたんですか?」
≪ええ私ねえ春夏秋冬の秋だと思ってたんですよ。夏行ってもどうかなって思ってたんですけども≫
「ハハハ(笑)」
≪違うんですね安い芸能の芸。私みたいなもの≫
「なんてことを」
≪でもねえ安芸の宮島ってまんざらそうでもないみたいですよ秋に行くと紅葉がすごいらしいですよ。≫
「綺麗ですよ。いついらしたの?」
≪先月ですから≫
「鳥居なんかが水の中にあったりして」
≪でそこをみて広島市内に戻りまして原爆ドームに行ってきたんですよ。あと平和記念館。そしたら落ち込んでしまいましてね。すごいもんですよ。俺はここで生まれたんだと思ったらね。≫
「でもあなたお若いから戦後ですよね?」
≪昭和31年生まれです≫
「戦争が終ってずいぶん経ってますから」
≪被爆(原爆が落ちてから)してから57年経つんですけども57年経ったからどうというものでもないですね。やっぱり”安らかに眠ってください。過ちは2度と繰り返しませんから”なんて書いてありますけども2度繰り返さないからっていいもんじゃないですね1度でもあっちゃいけないですよね。私は落ち込みましたね。そいで(広島の後に)奈良へ行こうと思ってましたからね≫
「なんで奈良に行こうと思ったの?」
≪仏像みたいなって思ってたんでね。≫
「初めはそういうプラン」
≪宮島へ行って自分の生まれた広島を見て京都に泊まって仏像を見て。突然仏像を見たいと思った事ないですか?≫
「ありますよ私よく京都に行きましたから」
≪あのねえ仏像って怪獣みたいにすごいんですよね。顔が3つあるやつとかね、手が好一杯あるやつとかね、やたらでかい奴とかねえ。ここの胸のところにぼっかり穴があいててねその中に仏像がもう1つ仏像がある。それを指さしてたりね。なんかねすごいですよスペクタルで≫
「それはすごいんですけどね(仏像を見には)いらっしゃらないで」
≪京都まで戻って奈良に行こうと思ったんですけどねあの記念館を見てしまってあそこで俺は生まれたのかと思ったら(東京に)帰ろうと思って次の日に新幹線で帰りましたよ≫
「今あなたの心境の変化というのはいろんなことを質素にして14LDKのお家の事も豪壮なお庭の事も忘れて今は質素に暮らそうと。今のアパートはどのくらいなんですか?」
≪6畳一間ですよ。大家さんはワンルームマンションだって言ってますけども近所の人はアパートだって断言してます。≫
「(笑)6畳一間だと押入れとかはついてんの?」
≪一応ついてます。でも隣に住んでる人は学生です≫
「そういう風にがらっとお変わりになったのはお父さんのことがあったからかしらね?」
≪かもしんないですね。母親が9月に亡くなったんですけども人間てのは死ぬんだなっと思ったんですよ。すごい元気な母親でね、生きてるときはしょっちゅうケンカばっかししてたんですよ。あんまし好きじゃなかったんですけどね。人間てのは死ぬんだなって。当たり前じゃないかという人がいるかもしれないですけどね。私も死ぬんだなと。黒柳さんは死なないの?≫
「ええ、当分死なないつもりですけどね100ぐらいまでは生きてみようかなって思ってますが。」
≪ダイハードみたいね。黒柳徹子は2度死ぬみたいな。≫
「いやあそうでもないですけども(笑)現役で仕事してみようかなって思ってるんですけども。だめですかね」
≪いやあ、そんなことないですよ杉村春子さんなんて90過ぎても舞台やってましたから。≫
「そうですものね92で亡くなったんですもの。」
≪いやあそれでね≫
「あ!悪いけどもコマーシャル行っていいでしょうか」
≪へ!≫
黒柳「でそのお母様が亡くなった事が信じられない思いで」
桜≪死ぬんだなって。じゃあ自分も死ぬんだなって。じゃあこれはねえ息生きてるってことをもっと真面目に考えた方がいいんじゃないかって。自分が何をどうしたいのかっていうことをね考えようと。≫
「あなたずいぶんバラエティーの出てたのに大手プロからもお辞めになって」
≪28日に母親が亡くなって10月3日にずいぶん長い事お世話になってたんですけどねプロダクションを止めましてね≫
「ずいぶん早いですね。28日にお母様が亡くなって(プロダクションを辞めると決断したのが)5日ですかね。」
≪亡くなったその日にプロダクションから電話がありましてね、ワイドショーはどうなってるのかとか内の会社で仕切ってもいいのかって言われたのがショックでしたね。≫
「ああそう」
≪僕は思ったのは人間てのは生まれますよね青春期を迎えて頂点に立ちますよねあとは段々老いていって死ぬというイメージの元に生きてますけどもそんな保障はどこにもないですよね。フェードアウトじゃなくてカットアウトじゃないかと思ったんですよ≫
「お母様はおいくつだったんですか?」
≪70ですね≫
「わー70。お若いですね」
≪それで去年の9月11日のテロ事件の時もこう思ったんですよ。ビルの中にいた人は死ぬと思ってないからみんな家族に今日は何時に帰るよとか、恋人がいる人は今日は何時に待ち合わせねとか。死ぬと思ってないから。ということは日々生きていくときにまず自分はどうしたいのかなって思った時にねもう”ショウヨクチソク”を通り越して”無欲チソク”でいいやと。車でいうとニュートラルに入れたいなって思ったんですよ。おそらく来年は違う事を言ってると思うんですけども≫
「まあ現在はね。お父様はお母さんがお亡くなりになった事でとてもショックに」
≪ガックリきましてね。やっぱり男の方が弱いですね≫
「お父様はお爺様からの財産分与でいい暮らしなんだけどもあなたは一切そういうものをいらないと。お母さんの分も受け取らないぐらいだったんですって?」
≪そうですね。あの実際要りませんと≫
「あなたは結婚してなかった人かと思ったら結婚してらしたんですってね」
≪ええ13年前に離婚されました≫
「離婚されたの。お子さんもいらして」
≪4人います≫
「ときどきあのご飯なんか食べに行ってらしたりしたんですって?」
≪ええ今は月に1回ぐらいしか行きませんけどね。ああ!!広島に行ったって言ったでしょその13年前に別れた嫁さんと一緒に行ったんですよ。電話かけてね広島に行くって言ったら行くって≫
「あら良かったじゃない」
≪フルムーンみたいですよ。内の嫁さんねえこの局の”見ごろ食べごろ笑ごろ”っていう番組やっていてね電線音頭っていうのをやってたんですよ。伊藤四郎さん小松政夫さんキャンディーズでコーナーでコタツの上で”電線に~”って踊るコーナーがあったんですよ。私ねえコタツを持ってくる係りだったんですけども裏でスクールメイツが踊ってるんですけどもそれが嫁さんだったんですよ。≫
「そうだったんですが。その続きなんですけどもコマーシャルいっていいですか?」
≪はい≫
黒柳「その結婚なさった奥様のとの長男が20・・・」
桜≪23です≫
「それで4人お子さんがいらして一番下ですら」
≪1番下だけが女の子で18歳で商業高校の3年生。他の男の子は自立してます≫
「社会人になったり。でもあなたが広島のあの内の子じゃないっていったらビックリしたでしょ奥様は?」
≪いえそうでもないですね。離婚して13年ですからね。そんな事よりも広島いった事ないから行きたいっていうことで≫
「久しぶりのフルムーンだったですって。でも6年前に非常に綺麗な女優さんから可愛いって言われて仲良くしてたっていう話をしてたでしょ。あれどうなったんですか?」
≪嫌われちゃったんだね。振られてしまいましたね。些細な事でね。電話をしてたんですよ、始めは良かったんですけどもケンカになりまして私そんなこといわなくていいのに「2度とかけてこなくていい」って言って電話を切ったんですよ。本当にかかってこないんですよ≫
「待ってるの?」
≪そういうところが女性の方が男らしい。≫
「1回決めたらね」
≪別れた嫁さんもそうだもの≫
「女々しいという言葉もおかしいわね」
≪男々しいですね≫
「そう。この次お会いする時はあなたの心境どう変わってるかというと」
≪ぜんぜん違うと思います≫
「考えてらっしゃるんでしょうねテレビだって1本に絞ってらっしゃるんですから」
≪金なんか要りません≫