2002年7月8日
黒柳「的場浩司さん今日のお客様ですよくいらしてくださいました。大河ドラマもでてらっしゃいまして”信長”の時代から出てらっしゃるんですねえあなた?」
的場≪そうですね≫
「”毛利元就”、”利家とまつ”にもでてらしてテレビ小説の”ええにょぼ”にも出ていて、この局では”京都迷宮案内”で新聞記者で出てらっしゃる?」
≪はい≫
「大河では利家の側近。このところお名前が変わったんですね」
≪村井又兵衛にかわりました≫
「前は村井長八郎というお名前だったんですが改めて又兵衛になって。あなた(の役)はずばずばと利家におっしゃるんですよね」
≪普通側近が言わない事をバシバシいう役で≫
「周りもお若いしね聞いてくれるという。」
≪楽しく現場はやれてます≫
「なんと言っても的場さんはお若いときから「怒ってます?」って何も怒ってないのに言われる事が多いんですって?」
≪ここ最近は言われなくなりましたけども≫
「今見ると怒ってるようには思いませんけども機嫌が悪いんですかとかつい言われちゃう?」
≪もう普通に座って物を考えてるだけで「怒ってる」って言われてそれを言われるだけでしょっちゅう言われてるから腹たって来るんですよね≫
「何だよって言う感じがね。たけしさんの元気の出るテレビにも出てらっしゃたんですよね。それえで不良少年を更生させて野球少年にさせるという企画に出演された。それは不良少年のほうで?。」
≪そうですね≫
「何歳の時でした?」
≪17さいでしたね≫
「実際はどうだったんですか?(※的場さんの17歳当時の写真が出る)こん時!?あら~見たところはちょっと」
≪元気のいいやんちゃな子だったんです≫
「元気の出るテレビにはちょうどいいやんちゃな子。それにしても更正してっていうのもすごいですが野球青年にはなったんですか?」
≪いやあそれまで野球というスポーツをしたことが無かったんでやり始めて野球っていうスポーツは面白いなって思ってその後も中村トオル三とかと野球チームつくったりして。≫
「でもやんちゃとかやってらっしゃたりしてたんですけどもそのたけしさんの番組のADが怒鳴られてるのをご覧になったんですって?」
≪僕それまではやりたい職業ってなかったんですね。色々仕事はしてたんですけども上の人に何か言われると「お前誰に言ってんだ」って。言われるのが嫌だったんですね。その(テレビに出た)時に助監督さんが上の人にすごい言われ方をしてたんですね。もう聞いててそこまで言うのかっていうぐらい言われてたんですね。その助監督さんと仲良くなって食事をしに行ったときになんでそんな風に言われてまでも我慢できるのって聞いたんですよ。絶対ケンカしたらその人のほうが強いんですよ≫
「大きい体してるの」
≪こういう(筋肉)体してるんで。聞いたら「いやぼくはこの仕事が好きだから」って言ったんですね。好きだからっていう言葉が自分の中に引っかかって好きだからという仕事を見つけたいなって。何か言われても好きな仕事をしたいから我慢できる仕事を見つけたいなって思って。助監督になりたかったんですよ≫
「助監督になりたかったの(笑み)」
≪助監督(AD)という仕事だから我慢できるのかと変な風に考えちゃって≫
「じゃああなたはADになりたかった」
≪そうです。でもどうなっていいかわからないし、その方も違う職場に行っちゃっておれはどうしたらそのADになれるんだろうと考えて考えてとりあえずそういう人が作った作品を見ようと思って見てたら成田三樹夫さんという俳優さん、あの方を見た時に役者さんという人はそれまで役を演じていると考えてなかったんですね。演じてる人はこういう人なんだと思ってたんですね。成田さんを見た時に「仁義無き戦い」に出てるときの成田さんとドラマに出てるときの成田さんはあまりにも違うんで≫
「あの方は全然違いますものね」
≪すごいなと思って。自分も役者になりたいと思ったんですね≫
「どうやったら役者になれるんですってその辺の人に聞いて回ったんですって?」
≪そうどうすれば役者になれるのかわからなかったんで聞いて周ったんです。その元気が出るテレビに出てたときに取材してくれた方が「(役者になるのは)やめなさい」と。できないからと言われたんですね。どうしてもなりたいからと言ったら最終的にはその人が相談に乗ってくれて。演技の学校とかにも行ったんですけども今はそこで教わった事が必要だなって思うんですけども≫
「当時はダンスなんかをやらせられると」
≪ジャズダンスとかお茶とか日舞とかやらせられて。その時はこんなもの必要ないだろうと≫
「俺にはこんなものいらねえんだよって。その時はもっと謙虚になっていた」
≪いやその人たちに俺にはこんなもの必要ないって言うんじゃなくて自分でやっていてこれをやったら役者に慣れるとは思ってなかったんですね。(学校を)辞めて自分で本を見たり作品を見たりしてして。その時に「役者になりたいんだけど」って言った集英社の人に教えてもらって≫
「そして(ドラマや映画に)お出になたら自分は結構上手くやってるんじゃないかなって思って」
※的場さんが実際作品に出るようになると自分は演技を上手く出来ていると思った
≪初めてデビューして出た作品が「首都高速トライアル」という映画だったんですね。でその撮影中にぼくは自分でやっていて俺は天才だと思ったんですね。その時に監督からもっと笑ってくれるかなと言われても「十分笑ってますよ」と調子に乗っていたこと言ってたんですよ。≫
「もう十分笑ってるつもりだったんですね」
≪できてて完璧だと思ってたんですね。ところが出来上がって試写で見た時に自分のところを見た時に最悪だったんですよ。本当に調子に乗っていた人間が一気に下まで落ちて≫
「笑ってるつもりでも見た時には」
≪全然笑って無かったですね≫
「表現されてないわけですよね」
≪その後部屋に戻って泣いて、監督のところに行って泣いて謝って。それからは初心を絶対に忘れないようにして≫
「わたしもNHKで仕事を始めたんですけどもその時に一応あなたの声はこういう声ですってマイクロフォンの前でやった時にびっくりしてNHKの人にこの機械は壊れてますって言ったんですよ。でもみんなの(録音した)声を聞いてるとみんなの声はみんなの声に聞こえるんですね。自分の声がこんな声だとは思わずに泣いてね。ものすぎショックをうけちゃって」
≪ショックですよね。≫
「私の場合は声ですけどね演技に関しては謙虚になんなきゃっていう感じで」
≪ぼくは今でも下手だと思いますし≫
「それからずいぶんになります?」
≪13年ぐらいに。自分は下手くそなんですけども、でも自分が演じている人間はぼく以外に知ってる人間は誰もいないっていう風に考えますから。もう本当に言葉にすれば軽く聞こえちゃうけども命をかけてるっていうぐらいに≫
「でも今は「的場さんってお願いします」っていう風になったけども昔は「おい!ちんぴら」っていわれてたんでって」
≪それもやり始めて2本目か3本目のときに現場に行って「おいちんぴら座ってんじゃねえぞ」って。「おいうじ虫なにやってんだ」って≫
「そこまで」
≪はい言われました。もうその時は19のころだから血が確実に上るんですよ。でも我慢できたんですね。そこで殴っちゃうのは簡単なんですけども好きな仕事ができなくなるし。すごい反発心はすごいあるんですよ。その時にいつか「的場さん」って呼ばしてやるからなってすごい思ってたんですよね。≫
「そういうことが必要かもしれませんねえ。さいしょから的場さん的場さんってゆわれるよりは。」
≪今ぼくねえ感謝してますよ。本当に感謝してます。もしもそれが無かったら今までやれてるかっていうのがわかんないですよね≫
黒柳「でもお小さい時は素直なお子さんでとても可愛がられて育った。でも妹さんが生まれる時にあなたは隔離されたって」
的場≪よその家にいかされました≫
「妹が生まれて何されるかわかんないて。それでバスにでも乗ると親の分まで取ってあげようと思って走っていって席を取る子供だった」
≪席を取ることに必死だったんですね。でも必死で違うバスに乗っちゃって違うところにいったり≫
「それで今お嬢さんが生まれたんですけどもこのお嬢さんの名前が珍しい名前だと思いますよね。」
≪的場宝冠(マトバ・ティアラ)といます。≫
「ティアラちゃんと呼ぶと」
≪そうですね。呼ぶと見ますね≫
「本当に可愛いんですってねえ。あなた全然顔が違いますよにこにこしちゃって。立ったっていう日に仕事で見られなかったというのが口惜しかったんですって?」
≪立ったとか、1人座りしたとか全部見逃しちゃってるんでね。仕事で京都に行ってたりで。≫
「絶対お嫁にはやりたくないって今から思ってるんですって?」
≪ほんとに難しいですよ。≫
「そんななの」
≪違うんですよ。嫁に出したら出したで俺はつらいけどもティアラはそれが幸せじゃないですか。でも出したくないし。これは話すと1時間じゃ終わらないですよ≫
「そうですね(笑)」
≪≫
黒柳「もうティアラちゃんの話になったときの顔つきが全然変わったんですけどもやっぱりバレリーナの格好をさせたいって」
的場≪はい。想像するととても可愛いんですってね≫
「頭にちっちゃいティアラなんかつけてね」
≪たまんないですね(笑顔)目指せ馬鹿親父ですからね(会場笑)≫
「この間なんかいただき物があってこれは(娘の)嫁入り道具だわねってちょっと言ったらもう」
≪あの器を見て上さんが言ったんですけども「これは嫁入り道具だわね」っていった途端にそれを見てるのがつらくなって来てね。この箱が色あせる頃には嫁に行くのかって思ったらもうせつなくてせつなくてね≫
「(笑)」
≪いやあ本当っすよ≫
「あなたはご自分の人生に関する事を書いた本を出されたんですけどもティアラちゃんのことがたくさん書かれてるんですって?」
≪多いですね。子供ができると自分の子供の頃はこうだったとか思ったり自分の親たちが俺に対してすごい愛情もって育ててくれたなって思ったり。子供ができた事によって自分の人生をすごく考えるようになって≫
「自分が親になって知る親の気持ちとかねよく言うぐらいですからね」
≪はい≫
黒柳「さっきも自分はそんなになりたいものはなかったけども上からガンガン言われても反抗しないADの人が好きだから言い返さないって。でもその方にあったのはよかったですね。」
的場≪その人の会わなければ自分がどんな人生を歩んでいたかわからないですね≫
「でもその時は決まってなかったんですけども結構小さい時はなりたいものがたくさんおありになって」
≪そうですね。レーサーとか防衛庁長官とかになりたかったですね≫
「レーサーはわかるんですけども防衛庁長官って。その後はプロレスラー。黒人女性と結婚するっていうのがあったんですって」
≪ありましたね(笑み)。なんか漠然としてたんですね。防衛庁長官というのは子供の頃大和とか武蔵とかを作るのが好きだったんですよ。軍艦一杯もてるのは防衛庁長官かなとか。軍艦は全部俺のものだって≫
「でも”きけわだつみの声”で特攻隊の青年の役をおやりになったときにずいぶん」
≪そうですね。わだつみもそうなんですけどもよく海外にパラオに行くんですけどもそこでたまに遺骨とかがたまに出てきたりするんで拾って神社に持っていってまつって≫
「そうですか。みんな楽しい島だって思ってるけどもかつてそういうことがあったんだって段々判って」
≪はい≫
「でもあなたがお元気な方で家族を愛してらっしゃるとわかってね本当にありがとうござしました」