2002年7月18日
黒柳「先ほども紹介したようにボクシングライト級のチャンピオンで本物のチャンピオンでございます。大変なお話とか減量のお話とか前に伺いましたが私が「次のチャンピオン大会は?」って言ったら黒柳さん”のど自慢”じゃないですから大会とは言わないって」
ガッツ≪選手権。タイトルマッチですか≫
「そうですね。今はタレントになってご活躍なんですがこの間テレビを拝見しておりましたらばもう借金返すのに大変だとはっきりおっしゃってて選挙(※ガッツさんは数年前の衆議院選挙に出馬された。結果は落選)に出たもんだからとおっしゃっててその話を伺ってみようかなって。ただ徹子の部屋にでてもらっても出演料を一杯差し上げられないんで借金の返済にはねあまりたしにならないのが申し訳なくて」
≪いやなります。積み重ねですから≫
「そうかもしれませんがね。でもお元気なのはコマーシャルで。あのコマーシャルは(※パソコンスクール”アビバ”のコマーシャルのこと)しょっちゅう流れるのでね」
≪そうですね。世の中は捨てる金あれば拾う金ありでいろんな方が助けてくれますね。≫
「笑顔と何とかで昔はやってきたって(CMの)中でおしゃってるじゃないですか?」
≪笑顔と体力≫
「そう昔はそれでやってきたって。借金の話ですがまずボクシングの映画をお作りになった。これはどうしてもお作りになりたかった」
≪そうですね。元ボクサーが後半は役者を目指して芸能界に入門したわけですから。まあいつの日か自分が歩いてきたボクシングの世界を映画で描いてみたいという事で芸能界に入ったわけです≫
「それで”カムバック”という映画を。そういうわけだったんですか」
≪その頃はバブルの時代ですから映画作るといったら1千万、2千万≫
「映画作るといったらばバンバンバンバンお金が飛んできた」
≪支援者がいた時代ですから≫
「監督をなすって主演もなすったその映画で。で実はこの映画はどうしてもお母様に見せたった映画で」
≪そうですね。やっぱり私の子供時代からこの映画は描いていますからそこにお袋が重要な役で出てくるんですよ。親父さんは出てこないんですけどね。だから現在あるのは母ちゃんがこういう育て方、がんばってくれたから現在があるんだよって見せたかった≫
「でも残念だったですね。お母様はその時は生きてらしたんですが入退院を繰り返していて」
≪ちょっと脳梗塞で入院してたんですけどね≫
「当時は映画館にお連れになったりビデオではお見せできない時代で」
≪まあビデオでみせたら見れたでしょうけども入院してましたからね≫
「見れないうちにお亡くなりになって棺の中に映画”カンバック”のあれ(テープ)をお入れになったときいたんですけども。その映画で赤字になった」
≪そうですね。五社協定というものがあって個人の会社が作った映画はなかなか採算は取れないですね。たくさんのプロデューサーや俳優さんが映画を作ってますけども世にでないものがだいぶあるんじゃないですか≫
「そこでまず借金ができた。でもその借金を一生懸命返済していてだいぶめどがついたときに選挙に出ないかと」
≪そうですね。その時は1年間に3人も4人も総理大臣が変わる時代がありましたですね。ですからそんなに簡単にやっていていいのかなっていう疑問もありましたし。まあそんな時に自民党さんから声をかけていただいて≫
「お食事でもしましょうとおっしゃってくださった方が後に総理大臣におなりになった」
≪当時の自由民主党幹事長の森善郎先生なんですけどね≫
「後にね。お食事をしましょうとそこでおっしゃってくださったことが「あなたは学歴が・・・」」
≪私が総理が頻繁に変わることに不満があった、また私のお袋や親父が入院してた時の看護婦さんが一生懸命やってくれた献身的な姿を見てたし≫
「そうい人たちの待遇とかね」
≪あと警察官とかをもっともっと大切にしなければいけないというのが私の持論だったんです。そういうものを雑誌とかに話とかをしてましてそれを読んだんでしょうね≫
「あなたが政治に感心があると」
≪で森先生が君は中学しか出てなくて学歴がないけどもいいことを考えてるんだなと。私にいわせれば校舎も教科書もない社会人の大学の東大を首席で卒業した≫
「いい事をおっしゃるんですね」
≪やっぱり総理大臣になるぐらいですからね。ですからそういう体験、経験を政治の世界で生かさないかと誘われましてわたしも色々熟慮したんですけどもね≫
「奥様なんかはなんておっしゃいました?」
≪もちろんあののんびり暮らしていきたい。山あり谷ありの人生ですからそろそろのんびり暮らしたらいいんじゃないかという形で言ってましたけども、私のイケイケドンドンの性格がガッツですからね≫
「自分の力で国を良くしていきたいというのはみんなの心にあるんですからね。それでその時には大丈夫あなたは入ります(当選します)っていう話だったんですか?」
≪いやああの参議院じゃないですから衆議院のこれは自分で戦わなければならないんですからね≫
「でもまあ公認という形なんですか」
≪そうですね≫
「で(選挙区は)東京でしたよね」
≪ええ、練馬の≫
「練馬からたつということで練馬に引っ越さないといけなくて練馬に新しく家を買ったんですって?」
≪そうですね≫
「もともと住んでたのは何区だったんですか?」
≪中野区で。でも自分で自分のやりたいことをやるのはどこでも同じだと思うんですよね。練馬区にも私の友人がたくさんいましたからね≫
「また借金の話をして悪いんですけども映画の借金がほとんど減ってきたところに家を買ったりしてまた借金ができましたかね。でもそういうときに自民党は選挙のお金を下さらないんですかね?」
≪最初はねえ自民党が面倒見るからという話だったんですが選挙が始まるまでの準備期間が長かったものですからまあお金が足りないんだと相談にも行ったんですが(自民党の方からは)みんな大変なんだと。最後まで自分でやったんですけどね≫
「でもつくづくお思いになったのが地盤・看板・かばん。かばんというのはお金のことなんですかね?」
≪そうですね≫
「それをなくやるのは大変だと。」
≪よく政治と金ということが報道されてますね。すごくお金がかかりますね。今政治家にはお金の無い人はなれないという仕組みですね≫
「おかしいですよね。政治の世界で何かをしたいという人が出られる体制じゃないとおかしいですよね。」
≪ですからみんなで渡れば恐くないじゃないですけどね。反対意見がね国体的な政治になっちゃてんじゃないですかね≫
「自分の判断に間違いはないとお思いだと思うんですがやっぱり(落選したことによる)失望感というんですかね」
≪失望感というかまあ後で思ったんですがなぜそこで俺は勇気ある撤退をできなかったのかという。そういう思いもしたし。しかし健康であればいつかそれも返せると。逆転の発想というんですかねそれまでは酒を飲んだり暴飲暴食してたんですけどもねそれ以来たくさんの借金もしましたしそれで体を壊してしまったら世間の笑いものですからね”よし!”健康だけは大事にしてガッツ石松ここにありということでがんばろうということで≫
「まあそれはいい方になっていたんですけども。自民党の方は選挙ではお金はくれないということになるとなにか協力的なことはしてくれるんですか?」
≪当時の橋本竜太郎総理府大臣が応援に来てくれましてそういう面ではあの待遇はよくしてもれあいましたけどね。でもまあ先立つものですよね≫
「お金。そんなにお金がいるんですか?それが私何にいるんだろうと思うけども全部自分で出すんだとしたらね。」
≪まず人件費ですかね≫
「それほどお金を出してくれないとは思いませんでした。もっと出してくれるのかと」
≪私も思いましたよ。≫
「絶対自民党の公認になったら自民党が際限なく出してくれるのかと思いましたね。だからあなたがテレビであれは自民党ではなく自分党ですとはっきりおっしゃってたじゃないですかね」
≪まあ自分党ですね。結局は政党政治といいますけども政治家は個人ですよね。やっぱりいろんな面で癒着とか叩けばみなさんほこりが出てくるんじゃないですかね≫
「政治献金とかね。地盤でいうと2世の方が多いというのは地盤がいいということですよね。」
≪お父さんがなくなったから代わりに息子さん娘さんが立候補したと、するとすぐに当選するじゃないですか。もっと選挙の有権者を考えてほしいと私は思いましたね≫
「でもその戦ったのはどのくらいの期間だったんですか?決心してから」
≪2年くらいですか≫
「うわあ~じゃあほとんど芸能活動できない。」
≪もう何もできないです≫
「本当に大変でしたね」
≪全国をあちこち回りましたね。お金を借りに≫
「だから今お金のスキャンダルがどんどん出てますよね。みんな当選したいということでいいポジションにいきたいということでお金が必要なんでしょうね」
≪でも私は思いますけども最初に立候補した時の自分の純真な思想は自分の気持ちで立候補してると思いますよ≫
「みんなね。どうして日本は、他所の国はそんなにお金はかからないって言いますよね。選挙はねえ。アメリカなんかはよくわからないですけどねヨーロッパなんかはそんあにお金はかからないっていいますけども。あれですからくせんなすったものですからお慰みみたいなものはあるんですか?(自民党から)あなたの事を誘ったけど落選してごめんなさいみたいな」
≪ありません≫
「ええ!そういう時ってさびしくありません?」
≪さびしいけどもそれが世の中ですよね。≫
「せめて精神的な落ち込みみたいなものをね”残念でしたね”とかそういうこと無いんですか?」
≪ありませんねえ≫
黒柳「なんか人間としてですねお誘いになった森さんもなんであれ「せっかく誘ったけども残念だったね」って一言あるだけでもずいぶん違うと思いますよ」
ガッツ≪でも私は敗者復活戦で人生を立て直してきている男ですからですから自分不徳のいたすところとおもってますし叩かれて叩かれて上ってきた男ですから≫
「そんな事ではめげない。慰めてなんかいらない」
≪いりませんね。≫
「その時気付いた事で気をつけなければならないことがあったと。今まで人に合わせて生きてきた人生みたいなところがあってそういうところを変えていかないといけないって」
≪そうですね半年ぐらいはいつも屋上で空を見上げて雲を見ていろんなことを考えていたんですけどね。おれの人生今までなんだったんだろうなって。とにかく思い起こして考えてきて自分がこうされたらうれしかったから相手もそうされたらうれしいんだろうなって相手にいろんなことを与えて来た。ああ俺はそれだけで生きてきたからそれだけでいいのかなって思ったら1日は24時間だから有効に使うべきだ8時間は嫌な仕事でもどんどんやって、8時間は自分の時間を作ろうと。残りは明日のために自分の体を休めようと。そういう風に感じたんですよ。そしたらあんまりよそのいろんあことに執着しなくなったんですよ。そしたら楽になりました≫
「ずいぶんそこでもって切り替えができたということでしょうか」
≪何が体に悪いかというと神経だと思うんですよ≫
「それはそうですね。ストレスっていうのはね。選挙のときは何億っていうぐらいの借金ができたんですか?」
≪2億ですか≫
「うわあー。初めは純真な気持ちで国を良くしたいと自分の力で国を良くしたいと思ったのになんだか知らないけども2億も借金ができちゃってなんなんだって」
≪特に今の青少年問題も政治がしっかりしないとダメですね。賞罰っていうんですかね、賞罰をしっかりさせないとダメですね。しっかりしないと糸を離れた凧です。凧だって高く飛んでるようですけどもね糸でね操ってるからちゃんと飛ぶんですからね。若者がこれからの日本を担うんですからねまず罪をしっかりさせると≫
「うんと小さい頃からやっちゃいけないこととねやっていいことを区別してね」
≪学校教育をしかりして≫
「まあそういう風に思ってらしたんですけども2億もできた借金をずーと返して」
≪まだまだ返してますよ≫
「そうですってね」
≪体重もねえ太んなくなったし、腹もへっ込みましたし。現役時代を思いおこしてコンデションを作ってますからかえって選挙で5年寿命が縮まっただろうけども今いろいろ健康を管理してますから2年ぐらい延びたんじゃないですか≫
黒柳「本当に今お元気だからなんの曇りもないお顔をされてますしね血色のいいお顔をされてるんですけども奥様としては大変だったと思うんですけどもとにかくできちゃった2億円の借金をずいぶんお返しになったんだけども返さなくてはいけないので車や持っていたものをどんどん売るなりしてずいぶんそういう生活を。だって2年間も選挙にかかってたらその間のタレントの収入はないですものね。(借金を返すために)いろんなものを売ったりして結局練馬に買った家もうったりして。でも奥様が持ってらした指輪だけは売らないようにしてらしたんですって?」
ガッツ≪なんかダイヤの指輪をあるとき買ってやったんですけどね他のものは売ってお金にしてきたんですけどねまだあったんですねそれが。女性の心境はわかりませんけども娘にやろうとかそういうのがあったんじゃないですか≫
「そうだと思います。せっかくガッツさんから買ってもらったものだからこれだけは売りたくないっていうのもあると思いますよね。でそれは今でも持ってらっしゃるの?」
≪そうですね≫
「それは良かったと思いますけども。すごい額の借金も返さないといけないしでもそこにコマーシャルも入ってきたし、それから「北の国から」の今度さいごになっちゃそうですけども「北の国から」にもおでになってまだ放送にはなってないんですけどもタレントとしての仕事が増えてきたのはさっきもおっしゃったように捨てる人もいれば拾う人もいる」
≪本当にありがたいですね芸能界は。ギャラもね一杯くれるんです(会場笑)。≫
「大変でしょうという事で」
≪捨てたもんじゃないですよね。芸能界も≫
「徹子の部屋も普通の方よりも大目にお払いしたい気持ちですけども(笑)」
≪一生懸命がんばっているとですね見ている人は見ているんだなと思いましたし。ただ私はいろいろな面で本とかをよく読むようになったんですけどもねある時いい言葉に出会いましてね。5代目国鉄総裁の石田礼介さんという人が初めて民間から国鉄総裁に就任した時に言った言葉「祖(そ)にして 野(や)だが 卑(ひ)ではない」。粗暴のようで荒削りのようにして見えるかもしれない。野蛮のように見えるかもわかんないけども人間卑しくあっちゃいけない。心が卑しくあっちゃいけないという言葉なんですけどね。≫
黒柳「私も昔人から聞いた言葉なんですけども「人間誇りさえ持っていればどんなことも乗り越えられる」と。つまりそこに虚栄心だとか物がほしいだとか欲望だとかなくて自分が誇りさえ持っていればどんなに貧しくてもなにしても乗り越えられるっていうのをね昔聞いたことがあっていいなと思ったんですけどもね。やはりそういうものが段々心の中に入ってくるんでしょうね。だからいいことになって行ってるんでしょうねガッツさんの場合」
ガッツ≪いい方に解釈していかないとダメでしょうね。≫
「でも今も国をよくしたいという気持ちは変わらないんでしょう?」
≪そうですね≫
「だからよくなってもらわないと困りますものね」
≪これからは時代を担う子供たちですね≫
「そうですね。でもお元気そうで良かったです。ありがとうございました」