本日の徹子の部屋ゲストは安藤大将さん

2002年8月5日

黒柳「今日のお客様は競艇の選手でいらっしゃいます。良くいらしてくださいました。性同一性障害ということで認定されて女性でいらっしゃたんですけども男性にお成りになって、しかも競艇は男も女も無く一緒にやる競技でございますそうですけどもこないだ1位におなりになったそうです。おめでとうございます」

安藤≪ありがとうございます≫

「安藤大将(あんどうひろまさ)さん今日のお客様です。言うのは嫌だそうですけども女性の時のお名前は安藤・・・」

≪千夏です。≫

「もちろん女の子として生まれたんで女の子の名前。性同一性障害だと発表なっさったのが今年の3月」

≪28日です。≫

「テレビで病院で認定されましたと。性同一性障害いまは良く分かるようになりましたけども(※会見時の写真が登場)この時よりも男らしくなりましたね。この時も男性ぽくみえますけども」

≪自分では分からないですね。毎日見てますから≫

「今は男の方としか見えないし男の方として接してるんですけども。私は競艇って進んでると思うんですけどもあなたが性同一性障害と発表なさって手術される事が決まって男性になったんですけども、日本で今一番問題になってるのが戸籍が直せないということなんですが、競艇の方ではもう男性として入れてくれてるそうですね」

≪はい。すばらしい業界です≫

「男性として1位になって、1位になったお祝いはなんか・・・」

≪水神祭といって水の中に全員で投げ込まれるんですね。≫

「ところが安藤さんは女性選手の時も1位になってその時も投げ込まれたんで」

≪投げ込まれました。ボチャンというかんじだったんです≫

※男性選手が1位になった時は仲間の男性選手が、女性選手が1位になった時は仲間の女性選手が水に投げ込む。

「女の子たちが投げ込むんでしょ。だからボチャンという感じだったんですけどもああいう風にザバーと。でも2回投げ込まれる人もあまりいない」

≪まさかこの日が来るとは思いませんでしたね。おもいきり手足を広げて飛び込みましたね。本当にうれしくて≫

「自由になったと。何が苦しいって本当に無理して小さい頃から女の子の洋服を着てるのが嫌だったんですてね。」

≪いやでしたね。スカートの真ん中を縫い合わせたい気分でしたね。≫

「ああそう。」

≪両親が厳しくて、小さい頃から腕白だったんで何とかして女らしくさせようとスカートをはかされましたね≫

「成人式の時にそれでも振袖をお召しになったんですって?」

≪いやでしたね。その時の写真を母が見るたびに嫌だったのが分かるって言うぐらい僕は笑ってないんですよ≫

「その時の写真をお持ちくださいとお願いしたんですけども見るのもいやだって(笑)」

≪ああ見るのも嫌ですね。≫

「その気持ちが分かるような。ずっと悩んでいらしたんですからあのそれでとっても嫌だったのは胸なんかが段々と膨らんで来るのが嫌だったんですって?」

≪その成長期時代がちょっと悩んだ時期でしたね≫

「そして生理が始まって」

≪これは何なんだという気がしましたね。心と体がどんどん離れていってしまうという。≫

「心は男だけども体は女」

≪小学校1年生の時に初恋をしましたから≫

「どういう初恋?」

≪初恋はねえあのクラスの悪がきが女の子と男の子を無理やりチューさせたんですね。≫

「あなたはしてないのね」

≪近くで僕は見てたんですけどもその女の子に何となく気持ちがあったんですね。なんかすごいショックを受けましたね。え!!~っていう。クラスの男の子たちは男と女がチューをするというのが自然の法則みたいにさせたんですけども僕は違うっていうことを初めて知ったんですね≫

「なるほど。あなたはチューしてるのがいやだって言うか」

≪嫌だと思いましたね。≫

「だからあなたは男の側から見てるので好きな女の子がチューをしてるのが嫌だった。そしてその女の子が少し赤くなったんですって?。」

≪そのことでダブル衝撃ですよね≫

「あなたは女のこの格好をしているわけですから」

≪じぶんは女として見られながら女を好きになってる。僕は、その時は私ですね。私の心は僕なんだと≫

「それは親にも相談できないで」

≪いえませんでしたね。その学校に行く時にピン止めをされたりゴムをつけられたりしたんですけどもそれを好きな女の子に見られたくなかったので家が見えなくなる角を曲がった瞬間に外してましたね。≫

「これを男だと考えたら自分の好きな女の人の前でこんな髪をピンで留めてたりしたら嫌ですからね」

≪その時から心は男だとはっきりと≫

「自分の中では楽しくないと」

≪楽しく無かったです。だからそのスポーツだとか好きな音楽に打ち込むことでそのことから離れていこうという。で自然にそれを体得してましたね≫

「だから好きな男の子のタイプは何?って聞かれたらすぐに答えられるように決めてたんですってね」

≪答えられないから”う~ん”ってなると何で?ってなるから決めてましたね≫

「陣内さんにしてたんですってね」

≪そうです。≫

「陣内孝則さん。でも今は男なんですから陣内さんに会った時は」

≪陣内さんはなりたい男の1人です≫

「だけど男同士ではいいやつだという風に見てたんですね。女の子みたいな格好で「陣内さん」見たいには出来ないの?」

≪そうじゃなくて陣内さんって言う感じですね≫

「座る時もどうしても足が広がって来るんですって?」

≪みんなね女の友達も男っ気が無いので不思議がってよく質問してきました。「好きな男性はだれ?」「好きな男のタイプはだれ?」って≫

※女性の競艇選手と写った写真登場

「これは女の競艇の選手と写してるんですけども」

≪競艇の学校時代ですね。≫

「ほんとに競艇というのは男も女もないから選んだ仕事だと思うんですけども」

≪いやそうではなくて偶然だったんですよね。偶然広告に競艇選手募集って。こうしてはいって試験に受かって入ってこの仕事をして男女差がなかったというのは本当にラッキーボーイで≫

「でそこまできたんでこのことは墓場まで持っていこうと、このことはどうしようもないなと思ったんだけども本屋さんでたまたま」

≪去年の4月に吉永みち子さんの”性同一性障害”という本を見たときに衝撃でしたね≫

「小さい本だったのにバーンと大きく」

≪すごい小さい本だったのにこれぐらいの小さな背表紙だったのに目に飛び込んできました≫

黒柳「去年の4月にたまたま本を見つけて。こんな小さい字なのにおにぎりが6個並んでるぐらい大きく見えてこれはもしかしたら関係あるかもしれないと。立ち読みしたんですか?」

安藤≪しましたね。これはもしかしたら関係あるかもしれないと≫

「”体は女なのに頭脳は男・・”これはもしかしたら自分に関係あるかもしれないと」

≪そこでバーと読みましてすぐにレジに持っていって、帰ってから一気に最後まで読みました≫

「”胎児期の性決定メカニズムから来る性同一性障害は人知れぬ心の傷を彼や彼女に与えて来た”って書いてあります。ずいぶん吉永さんご研究なさってかかれたそうですけども。私ちょっと読んでみたんですけども。それでこれを読んで自分はこれかもしれないと」

≪あの、なんかこの壁が扉が開いたような気がして≫

「今テレビを見ている型の中にも同じ悩みを持たれている方も多いと思いますよ。複雑な世の中になっていますから。ですから自分がそうではないかと思っている方は姓同一性障害かもしれないしこれは病院に行って調べなければいけない問題なんですけども、これがレズビアンじゃないかと心配したことはあります?」

≪そこまではあまり考えないようにしてたんですけどももしかしたらそういう風にとられるのかなっていう心配はあったんです。でもこの本を読んだ時になんかホッとしたような気持ちになって扉を開けたいという気になって≫

「とにかく女の子がちょっとすきとかそういう段階じゃなくて本当に恩なんであるようなことがいやだったんだと」

≪いやでしたね。違うラッピングに心だけ入れられたと。その中身はラジコンカーや怪獣のおもちゃなのに外はピンクや赤やそういうのにされてしまったと≫

「それでこれをお読みになってずいぶん考えたんですってね?」

≪考えました。≫

「それでご両親にお話になったんでしょ?」

≪両親に話すのも3ヶ月かかりましたね。38年間墓まで持っていこうと思ってましたし両親を泣かしたくないという気持ちで来ました。≫

「お母様も自分のせいじゃないかと思うかもしれないしね」

≪母は話してからものずごい悩みようでしたね。≫

「でもなかなかわかっていただけなかった時にじゃあおとうさん1日でいから女の洋服を着て歩いてみてって」

≪そうなんです。あのなかなか理解してくれなくてね「じゃあお父さん1日でいから女装して女性とし振舞って町にでてくれ」と。父親は最初何分か考えていたんですけども絶対にできないといいましたね≫

「お母様にも男装してでてくれと」

≪男装して出てくれといたら両親2人ともできないと。その出来ない事を僕は38年間やってきたんだよと説明しました。その時にやっと1瞬理解してくれて≫

「その性同一性障害というものが世のかなに理解されてなかったのでね。そして病院にいかれましたよね。それで診察してどれくらいであなたは性同一性障害と。たいへんでしたその検査は?」

≪精神科の先生の検査を何回かして性同一性障害だという診断はすぐにでました。≫

「ああそうなんですか精神的な部分からしらべていくんですか」

≪見えない心の部分ですからね。≫

「体は女の子なわけですから」

≪染色体はそうです。染色体の診察はそうです。≫

「それは女なんですか。難しいですよねえ。なるほどね。それで一番大きい事は乳房の除去と」

≪胸の除去ですね。それと下半身の女性器の除去≫

「それでおやりになられましたよね」

≪去年の12月ですかね≫

「じゃあ今年の発表なさったの3月にマスコミに発表なさったのは胸の手術はおすみになった後で」

≪終えてました≫

「その時はどういう気分でした」

≪どんどんどんどん心と体が一体になっていくなっていう気分でしたね。周りから見ると手術が大変でものすごいことだととらえられるんですけどもね、僕自身は心と体が一体になっていくでパズルがはまっていくというか。今は半分だけがパズルがはまっていて≫

「そうなんですってね下半身の方は順番待ちなんですってね」

≪そうです≫

「いかに性同一性障害の方が多いかっていう事なんですよね」

≪実際に発表されている人数よりももっと多いと思います。なかなか受け付けてくれる病院がまだまだ少ないという。≫

「もうちょっと待たなければいけないんですか?」

≪待ってますね≫

「でまあ将来的には出来るんですけどもトイレが困るんですって?」

≪そうですね男子トイレに入っていくんだけども扉を開けて今日の服だとベルトを外してしなといけないんで早めにいこうという(笑)≫

「なかなか立ってやるのは難しい」

≪立ってやりたいですね≫

「私は心と体がバラバラだという苦しみはわかりませんけどもたぶんね本当にね苦しかったんだと思いますよ。わたしねえカラミチジェーンという役をアメリカでやったことがあるんですけども、これは最初にアメリカで自立した女といわれてるんですけども男性の中に入って男装して仕事をしたんですね。この人は自分の子供をアメリカでいちばん有名な射撃が上手かった人の間に出来た女の子を育てなければならなかったので女は仕事が出来なかったんですね。それで男になんないと。それで旦那さんが打たれて死んじゃったんで。これは本当の話なんですよ芝居の話じゃなくて。男性の格好をして養育費を送っていた人なんですよね。この役をやった時にみんなで馬の乗って小便しようぜって言われた時に俺はいいよって言わなければなんないわけじゃないですか。だから彼女は1人の行動が多かったんですよね。何て可哀想と思ってね」

≪つらかったと思います。≫

「私は役でやってたんですけども本当につらかったんだろうなって」

≪いつもプラス志向だったんで後ろを振り向かない、立ち止まらない。いつも前を見てがんばっていく。その気持ちだけでやってきたんで。≫

「この性同一性障害と分からないときはずいぶん自殺した人も多いと聞いてるんですけども」

≪そうですね≫

「ちょっとコマーシャルいっていいですか?」

≪≫

黒柳「ずいぶんそういうことがあったそうなんで」

安藤≪あの聞きますね≫

「あなたはプラス思考でよかったけども」

≪一度も自殺は考えた事はないですね。≫

「さっきの心理テストで精神科の先生が調べるんだけども脳の中を調べると男の脳と女の脳があるんですって?」

≪ありますね。男の脳の部分が2倍大きい部分があるんですね。でも今の医学じゃあそれをレントゲンとかで見ることは出来ないんです。開いて初めて分かるんですね。この病気の人手調べるとやっぱりそうだったと≫

「死んでからしらべると。だから先生は心理テストでものの考え方とかを調べる」

≪男性の方は図形を認識する能力が優れてたりするんですね。そういうところで調べていくしか今は出来ないんですね≫

「あなたの場合は早くに性同一性障害ですとなったのでその時は晴れ晴れとなさいましたよね」

≪はい。これでやっと治療を進めていけると。≫

「まあいまトイレにいって男の人と立ってトイレをするっていうことができないというのがちょっと悩みかもしれないんですけどもまあそれはみなさん競艇のひとが理解してくれて」

≪ものずごい理解してくれてます。≫

「あとは戸籍ですよね。外国なんかでは性同一性障害と認められてると戸籍が認められている人もいるんですか?」

≪まだまだ日本は出来ないんでそこらへんはネックになってますね。≫

「パスポートだとか」

≪保険証だとかね。≫

「結婚したいと思ってらっしゃるんですって?」

≪最終目標として結婚したいと思いますね≫

「そうでしょうね。そこでご両親も安心するんで。戸籍が変わって婚姻届を出せたらと」

≪両親にずっと言われましたね「なんで結婚しないんだ」と≫

「女性だったときにね」

≪誤魔化してきましたね仕事がしたいからと言ってずっと。本当のことを言えないまま両親のほうが先に死んでしまいますよね、本当のことをいえないまま分かれてしまうことがずごくつらかったです。≫

黒柳「どうして結婚しないのといわれたときに誤魔化してきたんだけどもご両親がお元気な時にはっきりして」

安藤≪両親にずっとかくしたままこのまま別かれてしまうのかなと思うとつらかったですね。去年の7月に38年間ずっと隠してきたことを初めて伝える事ができて、それはその理解してもらえない傷つけあう時間が多かったんだけども正直にいえたことが幸せでしたね。≫

「でも不思議ですよね。いまは男性ホルモンをうってらっしゃるそうなんでこえもドンドンと男の人に変わっていくと思うんですけどもあなたが女性の選手として競艇に出ている時、本当に今と違いますね。この時はお化粧とかしてらしたの?」

≪いやでしたけども≫

「今とだいぶん違うんですよね」

≪骨格が変わりましたね≫

「偽の衣を着ているよりは心と体が1つになってる方が幸せですよね?」

≪はい幸せです≫

「あなたの人生がますます開けたようになる事をお祈りしています」

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