本日の徹子の部屋ゲストは外尾悦郎さん

2002年9月5日

黒柳「まあたぶん世界でいちばん有名な建築家といえばガウディだとおもうんですけどもそのガウディが作り始めたサクラダファミリア教会のなかで結ういつ働いていらっしゃる日本人の方なんですが、彫刻家の方でいらっしゃるんですがこのサクラダファミリアが死後200年ぐらい経たないと完成しないといわれてたので私も生きてる間には見られないなと思ってたんですがもしかすると見られるかもしれないんですよ外尾悦郎(そとおえつろう)さん今日のお客様です」

外尾≪よろしくおねがいします≫

「若いときにNHKでサクラダファミリアの中を写している時にこうへばりついてこの人日本人なんですって、ずっとここにいるんですって紹介があってねこういうところでやってらっしゃる日本人ってどういう人なのかなって思ってたら外尾さんだったんですね。唯一日本人でやってらっしゃる。何年ぐらいになりますかその中に入って?」

≪24年です≫

「24年間。スペインのバルセロナにありましてガウディのサクラダファミリア教会ってこのごろテレビでもずいぶん写りますね」

≪有名になりました≫

「それから外尾さんお飲み物のCMでその教会の一緒に写ってらっしゃるのがあったんですけどもガウディという建築家が世界一というのもそうでしょうか?」

≪そうですね。あのでも昔からそうじゃなくて最近有名になって僕は1978年にバルセロナに行ってそこから仕事を始めたんです。ちょうどその100年前1878年にガウディが建築家の資格をもらってその建築家の免状を渡した学長がこういったんです「今日ある学生に免状を渡したんだか彼が天才だか変人だかわかんない。時間が必ず答えを出すだろう」。で今年150周年なんですね。で今年答えが出たと思うんですね。天才≫

「残念な事にこの方不慮な無くなり方だったんですね。」

≪市電に惹かれたという≫

「珍しいと思いますよ。よっぽど考え事をしていたと思うんですよ」

≪もっと不幸な事に市電に引かれたときに大変貧しい格好をしていた。その貧しい格好をしていたために長い間そこにほったらかしにされてたんです。すぐに病院に運ばれていたら治ったかもしれない。病院に運ばれてもほったらかされていた。タクシーが何度も運ぶのを拒否した。そのあるお巡りさんが止めて運んでいった。そのお巡りさんの名前もわかっています≫

「そうなんですか。でも一生懸命にそういうふに建築家でいらっしゃるからよれよれの格好で考え事をしながら歩いてたんでしょうけど。でもそんなただの行き倒れの人みたいにね。でも生誕150年ということで74歳でお亡くなりになったそうですけども私は若いときにガウディのサクラダファミリア教会は200年もかかって死んでもみんなが後を続けてねやってるんだと聞いて私が生きてるうちには見られないだろうと思ってたんだけども外尾さんの話だとあと20年ぐらいで見られるかもしれないんですって?」

≪あの現時点での執行部の建設委員会があるんですけどもそこがあと20数年で仕上げてしまおうという決定が下されたんです。ですから我々はそれに合わせてやってるんですけどもね一応≫

「この他にもガウディはいろいろなものをつくってますよね普通の人が住むアパートだとか。それからお知りの格好をしたイスとか。この外尾さんの作った門?」

≪側門なんですね。正面門が何にも出来てないんです。玄関が何も出来てなくて教会の横から入る側門だけが2つ出来てるんです。ガウディの時代に出来たものが僕のやってるほうなんですけども。それが2000年に完成したという≫

「それは生誕の門ということなんですけども天使がついていてハーブの天使というそうなんですけどもちょっと皆様に見ていただいて。この方の下に全部で90人ぐらいの人がついていて」

≪ええ、あの僕のチームというのは僕の下に5人ぐらいいるだけなんですけども職人たちは総勢90人ぐらいいます。それを臨機応変に1つの工事をすすめていってるわけです≫

「今でも観光客に見せてるわけですよね」

≪世界でも珍しくその観光客がお金を払って工事現場を見るところです。≫

「なるほど。ちょっと皆様にVTRなんですけどもサクラダファミリアというものはどういうものなのかということを見ていただきます~VTR~」

≪あのハープを奏でる天使が出来て、初めはそれだけだったんですけどもあの次の予定はなかったんですけどもよくできたということで一般の市民の方が次も作れという声があがってこれはどんな賞をもらうよりもメダルをもらうよりもうれしかったですね。≫

「しかもあの方たちが宝物のようにしている、毎日前を通りながらどれぐらい出来たかって気にしているものでしょ。お金もそういう人たちが一般の寄付なんでしょ。すごいですね一般の寄付でああいうものがね亡くなってから76年間ずっと遺志を継いで誰かがやってるわけなんですけどもあの今日のお客様は24年間そこでやっているわけなんですけどもみんながお金を出しあってそしてすごいですよねドラマも」

≪僕は価値のあることだと思います。ガウディが素晴らしいから後をついていこうとする人がいる。それはい黒人だろうといい方向にいこうとするならみんなで協力する人間の持っている美しいとこがそこにでてるような気がします≫

「さっきの天使とか子供は去年完成?」

≪いえ2000年のクリスマスです。なぜかというと2000年のクリスマスは20世紀最期のクリスマスなんです。ですから20世紀最期のクリスマスにガウディのやり遂げたかったものを完成させたかった≫

「でなんか現在の作業は大屋根の頂上のところをやってらっしゃるんですって」

≪はいもう屋根がかかりまして・・・≫

「今まで屋根がなかった?」

≪なかったんです(笑)。やっとかかりましてその屋根の頂上に1番教会として重要なイエスが最期の晩餐に「ワインを私の血と思え、パンを私の肉と思え」これが最後の晩餐に一番大切なことなんですけどもワインとパンを4メートルのシンボルにして僕がデザインしてこれから作っていくんですが大体の見通しがついたものですから今回帰ってきたんです。でその一部分を今回お土産に(※袋を取り出す)といいますのは塔の上というのは一番高いところなんですねですからだれでも登っていくわけには参りません。ガウディはこういう素材を使っているんです≫

「かれは選んでいる」

≪選んでいるんです。これはペネチアングラスといいましてガラスなんです。≫

「もうすでにガウディが選んでいたんですか」

≪同じ工房の同じ棚から選んできたんです。これを使って大屋根のそのワインの葉っぱとしろぶどうですね。≫

「ガウディが全部選んで。そんなに長くは彼は・・・どれほど携わってたんですか?」

≪もう半生全てです。30半ばでサクラダファミリアの建築家に選ばれまして亡くなるまで≫

「40数年彼はやっていた」

≪40年間≫

「そうなんですよね。すごいですね。急に無くなっちゃたんでいろんなものが途中になってはいたと思ってたんですけども」

≪それで頂上だから雨が降ったらいつもきれいになるんですよ。いつも掃除には行かなくていいように彼はこれをえらんだんですけども。なぜこんなに色があるのかというとそこは天国の世界ですから、天国と地上を比べますと我々はたくさん色があると思ってますけども天国の色と地上を比べますと地上は無色に近い。だから上のほうは色があって下は石の色なんですね。≫

「あのつかぬ事を伺いますが丸くするにはなんで作ったんですか?」

≪同じ原寸大の模型を作ってこれを目方においていくわけですね。≫

「接着はなんでくっつけてるんですか」

≪いちばん良いのは小麦粉、日本だとご飯粒でやりますね向こうでは小麦粉をお湯でとくとすごくいい接着剤になるんです。そういう方法を古い方法をみつけてぼくはやっていくわけです≫

「でもすごいですね。こんな暑いもので真ん丸いものを」

≪もちろん中はちがいますよ。≫

「その丸いものをなさるのはすごい技術ですね」

≪ガウディはどうやったんだろうということを僕は研究して≫

「ガウディは少しは自分で丸い部分は」

≪もちろん彼の指示で職人たちが作っていくわけです。彼が最初職人たちもこんなものができるとは思わないわけですよね。ガウディがヒントをあたえながら少しずつ引っ張っていく、するとこんな素晴らしいものが出来るんだと思うと職人たちは夢中になるんです。お金のためだけじゃなくてガウディが明日もいいものを作ろうというと職人たちはあくる日もやってくる。そういう小さな奇跡がサクラダファミリアを作ってるんだと思います。でこれは天国のかけらだと思ってください。頂上の誰も触れないところに行くもので。≫

「でも普通の人が教会を作る時にああいう風なものが教会の上のところに来るとは普通想像しないじゃないですか」

≪しないですね。だから僕はこれまでは色も何もなかったんですね。サクラダファミリアにこういった色のついたあでやかなものがついて良いんだろうかと世界中から非難を受けるんじゃないだろうかとちょっと恐かったです。でも置いてみるとみなさんがそお地元の人を始め素晴らしいと、新鮮な空気を浴びたようなその反応が会ったものだからよかったなと≫

「すごいですねこういう素材で出来たガラス」

≪耐久性というか自分が死んだ後にも100年も200年も1000年も残ってくれないといけない。だから我々作る人間は1000年、2000年のこってほしいという気持ちをこめて作ってます≫

「でもスペインも内戦もあったりいろんな大変な事もありましたものねえ」

≪そうなんです。戦争があったらこういうことは出来ないんですよ。逆にですね戦争というものがないためには500年ぐらいかけて作ったらいいと思うんです。そのあいだ戦争が無ければずっといいと≫

黒柳「なんと素敵な事だろうと思うのは大天才がこういうものをつくろうと考えて一生をかけてそこで始めてそれをいきなり無くなったにも関わらず彼が考えてもいなかったでしょう日本人の彫刻家が今。あなたが1番長い?」

外尾≪そうですね≫

「彫刻家は他にもいらっしゃるの?」

≪もう1人います。僕よりもずっと年上なんですけども≫

「何人の方ですか?」

≪地元のカタロニア人の人なんですけども。15ねんぐらいですか≫

「さっきもおっしゃったように4,5人この方の下にいて彫刻のお手伝い」

≪常に直属でね≫

「あと作業員は90人ぐらいいて、コンピュータや何かをやる人がいるそうですけども。あと20数年で完成するとするとどのくらいの高さのどういうものが」

≪今たってるのは107メートルなんですね。で今たってるのが1番低い塔であと10本立てなきゃならないんですね。一番高い塔で175メートルです。ここから見上げ手間すけども見上げても足らないぐらいのところに175メートルの塔が立ちます。あと150メートルの塔が5本。≫

「すごいですねそれをあと20年の内にみんなでやろうと。それは素晴らしいと思うのはこれの完成を見たいという人が絶対いると思うんですね。見られるんだったら長生きしてみようという人がいて素敵だなと思うんですけども。たぶん生きてるうちには見られないだろうなと思ってましたのでね」

≪その時はご招待します≫

「ぜひうかがわせていただきますけども。面白いのは外尾さんは京都芸術大学にいってらっしゃる時に石をやる先生にお会いになったんですって?」

≪はい。僕は木も鉄もいろいろな素材をやったんですけどもね先生がとても魅力的な方だったんですね≫

「しかも特攻隊の生き残りの」

≪はい。そうなんです。何年後かに戦争が伸びればその方は亡くなっていたと。ところが20になる前の10代の若者が死ぬ覚悟だけを一生懸命してそして戦争が終ったら「おまえ生きていけ」と言われれば困っちゃたんでしょうね。だから変わらないものを彼は探したんだと思います。それで石に出会ったんでしょう。それが僕に何となく大きな基礎と言いましょうか石という物を考えさせる1つのきっかけになりましたね。≫

「まあ幼稚園、中学、高校などで美術を教えてらしたんですね」

≪はい≫

「先生もしてらしたんですけども25歳のときからあちらで彫刻家としてのテストがあって」

≪知らなかったんですよ彫刻家という試験とは。言葉も何も通じませんから。僕1つの小さな石がほれれば満足だったんですよ。≫

「まあサクラダファミリアにちょっとでも関われればっていう」

≪彫刻家として雇われました≫

黒柳「彫刻家として日本人でガウディのサクラダファミリアに関わってらっしゃる外尾さんなんですけども他にも日本の方でお手伝いされてる方が」

外尾≪何人かいます。以前は女なの子で医師を彫ってる子がいました日本人で。≫

「やっぱりあこがれ」

≪そうでしょうね≫

「今も何人かは?」

≪はい僕のしたにも1人いますし、模型職人のなかで働いている日本人もいます。でも僕は世界中の若者があそこには入って短い期間でも長い期間でも何かを考える1つの場所になれば理想的だと≫

「それこそが本当の平和のなんかいいねえ」

≪考えるきっかけをガウディはたくさん残してくれている。≫

「そうですねえ。だからさっき仰いかけたんですけどもスペインというのは内戦もあって本当に大変なところだったのでそういうところで本当に平和の象徴になると思ってるんですけども。奥様なんですけどもピアニストでいらっしゃって面白い事からお会いになったんですね」

≪ええ、あの僕を取材にきておられた方がちょうどピアノコンクールを受けに来ていた家内とあいまして、でサロンパスを持ってないかと聞かれまして≫

「それを奥様ははっつけてあのピアニストでいらっしゃるので肩こりや何かを治すものは無いかと奥様はおっしゃたの奥様が」

≪そうなんです。それで僕は渡しましたら御礼にきてもらいましてそれから今は死語になりましたが文通なんかが始まりまして、で結婚にいたったんです≫

「奥様はピアニストなんですが特別なピアニストでスペインの難しい曲をお弾きになるということで有名な方なんですって」

≪ガウディというのはよく研究しないとシンプルなんだけどもよく自分の中に入れ込まないと出来ないものです。同じ時代に素晴らしい作曲家がいましたアルベニスとかグラデナスとか。聞くと聞きほれてしまって聞き飽きない曲なんですけども実際に引こうとすると弾ける人がいないんですね。で地元の学校を出てピアノの女王と呼ばれるアリシアガルチャからすべてを彼女は受け取って今日本人としてスペイン曲の第一人者でやっています≫

「いまのは向うで発売されているCDの中から奥様がお弾きになってらっしゃるんですけども。~再生中~ピアノの女王と呼ばれるアリシアという人から全てを託されて、その方はお年を召した方だから奥様はスペインの曲を弾き続けていくと」

≪そうです。たまたま私達は日本人ですけども良いものを残していこうとする。たまたまガウディは僕に託され、音楽は家内に託されそれがたまたま夫婦であったということなんですけどもそういう心ってすごくありがたいですね。その土地の豊かさを感じます≫

黒柳「ガウディは細かい図面は残していなかった」

外尾≪そうです。模型はたくさん残ってます。残しました。ところが戦争でうめられたりしてそれを掘り出したりして繋ぎあわしたりしてやったんですが。その図面というのは人間というのは規正されると嫌ですよね。でも方向性を示してくれるとありがたい。だからガウディという人は本当に人間を知った人だなと思います。≫

「この世界中が注目しているガウディのサクラダファミリアの中で日本人の彫刻家の方が中心になって、そしてもう1人建築家の方も一緒になってやってらっしゃるんだけどもその中で日本人の方が24年間ずっとお若い25歳の時からずっと関わっていらしゃるそうなのでこれからもあそこにへばりついて大変だと思うんですけどもまあ世界の方はビックリなさる日本人はお金だけ出して人は出さないだろうとよく言われてるんですけども、ね!こんなに長くやってらっしゃる方がいらっしゃるのは私達もうれしい事だと思います。みなさんもサクラダファミリアにいらっしゃって観光なさった時にへばりついてやってらっしゃる方がいらっしゃったらこの方ですので(笑)でもできたら楽しみですよね。さっきの丸いガラスのね。本当にありがとうございました」

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