2002年4月12日
黒柳「しばらくでございました。元ルナシーのボーカルで俳優としてもご活躍なんですけどキャッチフレーズが究極のナルシストとか目で殺す男とか。つまり目で女の子をゲットする。そしてラブソングの伝道士という風に言われてらっしゃったんですが最近は”どうしたんだ河村隆一”っていう風に言われているのはおじさん見たいな格好で競馬場にいってらしたの」
河村≪そういう雑誌のカバーの撮影で作業着を着て実際に馬券も買ってですねそういうシーンをとったんですけど≫
「面白かったですか?」
≪すごい新鮮でしたね≫
「バラエティーにもすごい格好で出たりするでしょ。雲の・・・」
≪ああ!あれですね朝の天気予報に雲をかぶって出たりしたんです≫
「ですから昔の究極のナルシストとかラブソングの伝道士というキャッチコピーを知っている人はどうしたんだと。そのどうしたんだというプロモーションビデオをご覧いただきましょうか」
~ビデオ再生~
※「ジュリア」「恋をしようよ」を再生
「あなた身軽ね」
≪ああそうですか≫
「後の方はペーパー子さんのペーさんにも見えたんですけど松田優作さんのつもりだったんですって」
※林家ペー・パー子さんのこと
≪あの探偵物語とかドラマずっと見てたんでそれをパロディーにしたら面白いんじゃないかっていう事でやったんですけど笑の方向に行き過ぎましたね(笑)結果は≫
「初めの方も振り付けがおかしかったんですけど笑ってらしたんですって」
≪普段カメラに写っている時ってどれだけ自分のかっこいいところが写るかってがんばるじゃないですか。カメラマンさんとか皆さんそう考えるじゃないですか。それをあえて笑えることっていうことで突き詰めていくと大の大人が30人腕組んで考えてるんです。その時思い切り暑かったんですね暑い中でそんなことやってたものですから本当に笑ってしまって≫
「ハワイぽい感じではありましたけどね※ジュリアのビデオ」
≪あれは笑わないシーンだったんです。でも笑ったのが一番面白かったので≫
「今どんなにコンサートをやっても声が荒れてこないそれはラッキー」
≪そうですね母に感謝しまますね≫
「だけど(笑)”どうしちゃったんだ河村隆一”っていう風に変わったのは理由ありましたか?」
≪あの最初は自分は普通の人なわけでビートルズとかビリージョエルとか憧れてる人たちがたくさんいて自分はそのかっこいい人たちと同じステージに上がりたいでかっこよくなろうと努力するわけですよ。カメラの映り方とかメイクも一杯してましたし突き詰めていくと自分の中に心の地図みたいなものがありましてかっこいいベクトル側の部分が浮き彫りにされてきますよね。そうするとすんなりとかっこいい部分がカメラに出せるようになって飽きてきちゃったんですね。かっこいい部分じゃなくて東も行ってみよう北も南もということで自分で作ったものを自分で壊してみようということで去年は乱暴にいろいろな番組にでて≫
「そうすると皆さんはね河村隆一さんてこんなこともおできになるんだってこんなのもどうだろうって益々バラエティーにたくさん出ることになりますよね」
≪今度同じツボばっかし突いてるとお笑いの人みたいになっちゃうんで今年は変えていこうかなって思ってるんですけど。いつも新鮮な気持ちで何かやっていられたらいいなっていうのがテーマで。今年32になるんで≫
「まだ32ですもの。バラエティーもでていたけどこの辺で変えてみようかと」
≪自分が見せなかった表情とか自分が知らなかった人生とか例えば役者さんというフィルターを通して本をいただいてやっていければ面白いかなと≫
「前のファンの方はあなたがステテコはいたり腹巻してたりすると何をしてるのと思うけどその腹巻だけを見ていいなと思う人がまたあなたが変わると”どうしたんだ河村隆一”っていう風になるかもしれませんよね」
≪そうですね≫
「でもそれが面白いんでしょ。できるっていうことが」
≪去年ツアーをやったんですけど結果的に野球で言うと9回2アウトに立たされているバッターの気持ちですか≫
「へえええ」
≪ようするにここでいい歌を歌わないとそんなもんでしょって言われちゃうんじゃないかって。自分が作ったメディアからの強迫観念を強く感じたんです。いい歌を歌えないと結局君はバラエティーを好きでやってて。まあ好きでやってるんですけど歌はいい加減にやってるんじゃないのってファンの方もどっかに持つんじゃないかとだから歌わなければいけない。ここは歌わなければいけないと。いい意味のツアーでしたから刺激がありましたね≫
「なるほどね。でもびっくりしたんですけど去年1年でシングルを5枚、アルバムを1枚出して西條秀樹さんとか他の歌手の方にも5曲も書いて映画・ドラマにもおでになってバラエティーの司会もやってずいぶん忙しい1年」
≪朝なのか昼なのかもわからない時期もありました。趣味とかもサーフィンとかも最近ゴルフをはじめたんですけど映画の頃が一番厳しくて太宰治の”ピカレスク”というのをやったんですけど5キロぐらいやせましたね≫
「やせる所ありましたか?(笑)」
≪今54,5キロぐらいあるんですけどそれが自分のベスト体重だったんですけど50キロぐらいになりました≫
「太宰治をおやりになってこの夏公開だそうですけど。この太宰という実在の人をやるのは初めてで」
≪しかも時代的に昭和の初期というと音楽もいろんな物が生まれようとしてた時期だと思うんですけど僕は世代的に1970年生まれなんで’80年代がティーンエイジャーのころで全てがそろった時代でそれをチョイスしてぼくらが遊ぶという感じでだから太宰さんの時代というのはやらせてもらってうらやましくもありましたね。貧しくて大変な時代だったんだけど思想家も一杯いたし哲学がなければ生きていけないというのも本からすごく感じましたね≫
「初日の撮影のシーンが自殺未遂のシーンで大変だったんですってねえ」
≪自分はお芝居をやって無いのでどうしようかなと思って。表情を作ろうとしても自分自身器用にはできないと思って感じられるところはできるだけ感じてやろうと思ったんですね≫
黒柳「この前おいでいただいたのは5年前で河村隆一さんははっきりおっしゃる方なんでガールフレンドとケンカをしてやっと仲直りをしてその瞬間にすごくいい曲が浮かんですぐに車の中に入って曲を作っていたら1時間ぐらい作ってて彼女はそこで1時間ぐらい待たされて仲直りのはずがまたケンカになったっておっしゃってましたよね」
河村≪はい≫
「私がいいたいのは曲が生まれる瞬間ってそんな風に状況が変わってくると出てくるものなのかなあって」
≪やはり自分の日常に変化が起こった時にハッとひらめく時はありますね。この気持ちを曲にしたらいいんじゃないかとか≫
「さっきの話で競馬場に行ったりしてる時は曲が浮かびますか?」
≪うかばないですね(笑)≫
「浮かばないですか(笑)。西城秀樹さんは先輩ですけどお友達ですって」
≪僕が秀樹さんとお会いしたのが紅白のステージが初めてだったんですけどびっくりしたのは僕はその時は1年生だったんですよ。ソロの時に。わけ隔てなく入ってきてくれてその時に新聞に白組赤組の出演者の経歴と写真がバーと書いてあるんですね。僕は何人かのアーティストの方と「この子可愛いよね」とか雑談をしてたんですね。その時に秀樹さんが「俺はね」って入ってきてくれたんですよ。その時びっくりしたんですけど「俺はこいつの音楽はすごいと思うんだけど」とかいう風に入ってきてくれた時になんて器の大きな人かなって思いました≫
「紅白の時ってみなさん集まるところは一緒なんですってねえ」
≪大御所の方もたくさんいるんで端の方であいさつしているっていうのが1年生の感じなんですよ。そこに秀樹さんがはいってきてくれて「今度食事行こうよ」ってさらっと言ってくれて≫
「西城さんの前だと僕アーティストですってとても言えないなっていう」
≪ありますね日本の音楽シーンをずーと引っ張ってこられた方ですし、でも言い方難しいですけど普段普通の人として成立してるんですね。僕も秀樹さんも牛丼も食べますし、ユニクロにも行きますしゴルフも一緒に行きますしバラエティのある普通ぽさをもった方ですね≫
「前カップラーメン食べながらね「世の中の人は普段ステーキ食ってると思ってるだろうね」って言ってましたけど(笑)」
≪そういうところがすごい素敵なとこだと思って、僕が憧れた芸術家でも音楽家でも哲学の本を出している人でも生前というのはそんなに偉そうではなかったと思うし自分を気取って演出してなかったと思うしだからそういう意味ではすごいアーティストだと逆に思うんですね≫
「そうですね西城さんていう方は自然体の方でそういうところありますね。でいつも元気でね」
≪学びたいなあっていうか自分が40、50になった時にこの人みたいに笑っていられたらなっていうすごい素敵な男の人ですね≫
「すごい年齢も分からないぐらい元気一杯の人でしょ。いまもアイドルみたいに「ヒデキ!!」って言われていてそれで歌を歌ってらっしゃるんですよね」
≪ファンの方もすごい素敵な方たちばかりだし何十年もヒデキさんをささえてる人もショーの瞬間昔の自分を思い出してるように秀樹さんを応援されてるんですよね。≫
「すごいそういう先輩がいて良かったですねえ」
≪はい≫
黒柳「ドラマもずいぶん出てらしてこの局で”九龍(カオロン)で会いましょう”という」
河村≪はい。”クーロン”というのは日本人の方の呼び方みたいですね向こうの方は”カオロン”って発音されてるんですけど≫
「この局で今晩ですよね。何と言っても香港政府観光局の協力で100万ドルの夜景のところですごい撮影だったんですって」
≪サイモンフミさんの原作ですごいおもしろかったですね。こんなに力いれてっていうぐらい力入れて撮影してますね≫
「すごい撮影で映画級の撮影?」
≪そうですねいろんなところで撮ったんですけど夜景もすごくて。すごい財界の人たちも一杯いらっしゃるんですねその人たちのペントハウスの下には明日の食料を探しているような人たちも一杯いらして人種のるつぼだし大富豪の方もいれば貧乏な方もいらっしゃるのでいろんな方がいるので本当にスピード感もあるし生きてるっていう実感生きていかなきゃっていう実感は日本より感じるかもしれませんねえ≫
「九龍で会いましょうということで九龍にもいらっしゃった?」
≪ええ香港サイドにも九龍サイドにも行きましたね。初めて僕が出たドラマのスタッフで佐々木さんという方がプロデューサーをされているんですけどそういう友情関係もあって今度ドラマをやるんだけど一緒に作ってくれないということで≫
「主題かも歌って。主題かもお聞きください」
≪曲はスタッフと話して誰の心境で書こうかというとこまでつめて本当にドラマにはまる曲を。曲を聴いてドラマを思い出してドラマを見て曲を思い出すような≫
「今おっしゃったように香港の持つリズム感みたいなものもずいぶんありますよね。面白いお仕事ですよね」
≪そうですね≫
黒柳「ちょっと音楽的なことなんですけど今の主題歌ご自分で何回か歌って重ねているんだけど自分の声ってはっきり分かりましたっていうことになってたんですけど声を重ねていくとどんどん・・・」
河村≪そうですね人数が増えたらそれだけ人数感も前に出てくる感じも強烈になってくると思うんですけど≫
「そう」
≪奥へ引っ込むんですよ。重ねていくと。アイルランド出身のエンヤっていうアーティストがいるんですけど彼女は相当重ねてると思うんですよ。声がすごく柔らかくて耳ざわりがいいんですけどはっきりとした手法は分からないですけど同時に何十本という声が流れてると思います。≫
「不思議なんですけど前にCMで6人私が出るというのを撮るために私が60ショウしたんですね高い部分低い部分六人で歌ったら誰が歌ってるか分からなくて個性ってのがまったく分からなかったのね。あまりのことに驚いて普通の声の方に3人ぐらい入っていただいてそこに私が入ったら私って分かったんですけど6人で歌って誰が誰だか分からなくなるとは思いませんでした。どんどん引っ込んでいくんですね」
≪発音とかアクセントが無くなっていくと個性が無くなっていくし本人よりも大きな人がやわらかくしゃべっているようになっていくんですね≫
「おもしろいですね。まあ年にシングル5曲もつくってらっしゃるしアルバムも作ってらっしゃるので音楽的には大変才能のある方だと思いますけどみなさんがあなたのことを見守っていると」
≪今年はまた違うツボを突きます≫