本日の徹子の部屋ゲストは大竹省二さん

2002年4月17日

黒柳「よくいらしてくださいました。大竹省二(おおたけ しょうじ)さんでいらっしゃいます。82歳で今も元気に写真を撮り続けてらっしゃいます。私は美人女優を撮り続けるのが専門だと長いこと思ってたんですけど小さい頃から素晴らしい写真を撮ってらして後でみていただきます。大竹省二さんの名前をしったのが日本テレビでお昼のワイドショーで主婦の方やOLの方のヌードをお撮りになったことでも有名です」

大竹≪ハハハハ(笑)。今日は珍しい写真を持ってまいりました≫

※17年前の黒柳さんの写真を取り出す大竹さん

「えええ!!!」

≪覚えてらっしゃいますか?≫

「いい写真ですね。あとでサインしてもらって額に入れておこう」

≪1985年だと思います。毎年暮れに集まって≫

「女優さんばっかし集まるあの会?みんなで集まってご飯とかを食べるあの会で。その時撮ってくだすったの。さて大竹省二さんといえば美人女優ばかし撮ってるんじゃないかって思ってたんですね。私は(大竹さんが)中学生のときに撮ってらした写真が好きで中学生ですから13歳ぐらいですか?」

※昼間路上に机を置いて勉強している少年が写っている写真が登場

≪中学にう入ったばっかしですね≫

「”日差し(写真タイトル)”っていうんですけど手前にいる子は外で勉強してんですね。”たけし君ハイ”じゃないけど」

≪これは昭和8年ぐらいだと思います≫

「東京でもこんな感じだったんでしょうかね」

≪そうですね東京の郊外ですね。これは日野のほうだと思います≫

「でも一生懸命勉強している感じが出てますよね。これ中学校の時におとりになった写真なんだけど目を付ける所がいいなって。次は14歳の時にお撮りになった写真なんですけど”昔ばなし(番組HPに写真あり)”っていうんですけどみなさん見たら泣いちゃうかも」

≪おじいちゃんがね日露戦争の話しをしてたと思うんですけど。僕は父親から買ってもらった小さなカメラで安いカメラなんですけど僕はあんまり外に出て遊ばない子で・・・≫

「そうなんですって体が弱い子で」

≪何とか(外に)出そうと思ってカメラをくれてこれ持っていって来いって≫

※次の写真登場。縁側でお祖父さんの話しを聞く子供たち。

「今の写真なんですけどそのうちの子は何回も聞いてるからもういいやっていうのもあるのかも知れないんですけど一生懸命聞いて、隣に写っているお姉ちゃんが赤ちゃんおぶってるんですよね。おぶりながら聞いてる。いいなあこれ14歳でお撮りになったんですよ。目の付け所がいいなって」

≪そうですね≫

「次の写真が”兄弟”っていう写真で18歳の時にお撮りになった荒川の方です。」

※河原を歩く兄と弟の2人の写真。手をつないで弟(4,5歳ぐらい)が兄(10歳ぐらい)の顔を笑ってみている

≪雨が降ってやんだ後ですね。僕もびしょ濡れになって帰ろうと思った時ですね≫

「これ小さい弟でしょうね。お兄さんの顔を見てんの」

≪弟は小さな刀さしてんですよ≫

「この子(弟)は遊んでたんでしょうねお兄ちゃん帰ってきたんでうれしくて笑ってんの。涙が出てくるのはどうしてでしょう。お兄ちゃんも笑ってねえ」

≪今こういう感じが無くなりましたね≫

「無邪気な子供の感じが出ててお兄ちゃんもやさしく微笑んでね。こういうものを10代で撮ってらしたというのは本当にびっくりしたんですがこういう写真はお母様が撮っておいてくれたんですってねえ」

≪戦争がおこって疎開したんですね。僕が撮った写真を油紙に包んでそれをきちっとまとめて疎開したんですね≫

「お針箱に入れてくれて」

≪戦後母親が亡くなってお針箱を開けたらこういう包みがでてきて、写真なんですね≫

「うれしかったでしょ」

≪ええ、それこそ涙が出ましたね≫

「上海の方から学徒出陣で戦争に行ってらしたんですものね。今見た写真はお母さんがお針箱に入れて残しておいてくれなかたら見れなかった」

≪だから戦後になってプリントしたっていう写真がほとんどなんです。戦前は子供ですからお小遣いもほとんどもらえないしプリントなんて今のように簡単にはできませんから≫

「簡単にはねえ」

≪日光写真と言いましてね太陽にかざすと≫

「写るんですよね」

≪ラムネ買おうかそれ買おうかどうしようかってねえ(笑)≫

「すごいもんですねちゃんと写るって」

≪ですから正規にプリントしたのは戦後なんですね≫

「それで中学生の頃から”朝日カメラ(写真雑誌)”でコンテストにだして入賞したり。これは”放課後(※鉄棒にぶら下がる4人の子供たち。10歳ぐらい。)”ていう写真で17歳の時におとりになった写真です。みんな無邪気でかわいいですよね」

≪着ているものがあんまし良くなくて僕もこんな感じでしたよね。別に不満は無かったですよね≫

※次の写真が登場。お母さんと赤ちゃん。

「次の写真がかわいいんですよ」

≪お母さんと子供ですね。カメラむけ出したら泣き出しちゃったっていう。≫

「忙しく働いているお母さんなんでしょう。」

≪そんなに豊かではなかったけどみんな暖かく懸命に生きていた時代でした。≫

「その次のやつがものすごく面白いんです。”ああ、女が来た”っていう題になってるんです。」

※向こうから水着姿の女の人が数人歩いてくる。手前には中学生ぐらいの男の子が額に手を当てて見ている

≪そうですねこれは女性が水着で来るとね恥ずかしくてね(笑)。なんとなく恥ずかしいていう≫

「男の子も恥ずかしそうに顔を半分隠して。女の人も昔はこんな格好でしたよね。」

≪それでねきている水着もねえ毛糸のねえごそっとしたやつらしいんですよ。水着を着た女の人が歩いてくると「女が来たぞ~~」って言って男の子はみんないなくなるんですよ≫

「この子は取り残されたものですから見ざるをえなくなって、困惑がでてて物を持ってるんですけど」

≪まだ藁葺き屋根がでてて≫

「これは千葉ですか?」≪千葉ですね≫

※次の写真が登場。ちゃんばらごっこをしている子供たち3人

「これはちゃんばらやってるですね」

≪そうですね。これも着ているものがつぎはぎだらけの物を着て≫

「でもみんなやってることが楽しくてね」

≪みんな純朴だったですね≫

※次の写真が登場・戦争に行く兵隊さんを送る少女(5歳ぐらい)。手には日の丸の旗を持つ。写真を持って笑顔

「これはもっと大きくなって19歳の頃”出征兵士を送る”。」

≪向こうに兵隊さんが見えるでしょ。でお母さんがねんねこ(赤ん坊)をおぶって。女の子がこっちを向いて≫

「私もね旗を持って自由が丘の駅に行って旗を振るとするめを焼いたのを1本くれたんでそれが欲しくて毎日振りに行ってねえ後から罪悪感感じたんですけどねえ。ああいうことありましたよね」

≪品川の駅です。あそこからみんな(兵隊さん)が出て行ったんですね≫

「(大竹さんも)学徒出陣されまして戦後はどこからお帰りになったんですか?」

≪幹部候補生でしたから陸軍の学校に≫

「上海からこっち(日本に)へ戻ってきてた。叔父様が上海にいたのでそこで学徒出陣して日本に戻ってきた」

≪勉強してなかったものですから召集されまして≫

「そうすると戦後は日本で」≪そうです≫

黒柳「戦争が終わってすぐ”戦禍の校舎”というのを撮ってらしゃるんですね」

大竹≪これは横浜の双葉ですね。もう焼け落ちちゃってねえ女学生がいますけど寂しそうですね。≫

「それから”赤門前の東大生”っていうのもあるんですね」

≪これ靴下がぼろぼろで≫

「靴を直してもらってるんですけど」

≪直しようが無くてもみんな直して履いてたりして≫

「靴の皮が無くて先が開いちゃったりしてるんですけど学生さんの靴下も包帯巻いてるみたいで」

≪ひげっつらで≫

「この方今どうしてるでしょうか。それから”血のメーデー”これはすごかったですね」

≪これは外国の通信社に頼まれまして代々木に1つの集団がありまして流れて球場に行くんじゃないかって、でも入れなかったんですよね。警察隊と衝突して≫

「戦後しばらくしてGHQの広報部の宣伝中隊に入ってアメリカから慰問に来た歌手とか女優さんを撮ってくれって。その後に31年前ですがお昼のワイドショーで主婦やOLのヌードを撮って放映すると。これは・・・」

≪これは驚きましたね僕も。やったら1週か2週で必ずクレームが来るから1ヶ月持たないんじゃないかって言ってたんですよ。ところが1万7000人近くの応募がありましてね撮り切れませんでしてね4年半やりました毎週≫

「すごいですね。普通の方でヌードを撮る。まあ綺麗に撮ってくださるということもあったと思うんで。(※写真が登場。これはワイドショーのものではなくて外国人のモデルさん)これは綺麗な人ですね」

≪これはパリですね。パリコレクションに出ていたモデルさんなんですけどモデルの獲得が大変だったものですから思い切って彼女に頼んでみたら協力してくれてねパリコレにでるような女性がよくやってくれたなって今になって思いますよ≫

「でも女の人って主婦やOLもその場になったら「もういいです」って思い切って脱ぐけどカップルとかで男の人とかはダメなんですって」

≪男はねえスタジオにはいってくる時までは元気にはいってくるんですけどねえ服を脱ぐと借りてきた猫みたいになって。女の人は堂々としているんですね≫

「やるとなったらねえ」

≪男と女の違いって出てるなと思いますね≫

黒柳「まあヌードを沢山撮って人間が面白いということで昭和の群像と言うことで作家、芸術家をたくさんとってますよね。仲代達也さんからご覧いただきましょう。若いときですね」

大竹≪若いときですね。≫

「でもこのときに現在の仲代さんをお感じになりました?」

≪ええ、もうスターの座でしたからねえ。≫

「それからイサム・ノグチさん彫刻家の方ですよね」

≪あのイサムさんの弟さんは僕の弟子なんですけどねえ。その関係でちょくちょく家に見えたんですよ。≫

「私も友達だったんでいい方でした。次がねえ涙が出るんですけど団伊玖魔さんと芥川也寸志(やすし)さんなんですけどお2人とも亡くなられたんですけど仲がよくて」

≪ここはタイメイ小学校です。銀座の。まあ世の中貧乏だったけど気持ちを張って≫

「さて次なんですが三島由紀夫さん」

≪はい。≫

「こういう自然な格好の三島さんを見るのは少ないので」

≪右が岸田今日子さん≫

「その次の写真が日本の新劇に関心を持てる方ならばこれはすごい。全部築地小劇場の女優さんなんですよね。左から杉村春子さん、東山千栄子さん、細川ちか子さん、村瀬幸子さん、山本安英さん、岸輝子さん。よくそろいましたねこの顔ぶれが」

≪そうですねえこれそろえるの大変だったんですよ≫

「次は有吉佐和子さんなんですけど」

≪これは大学生の頃なんですよ≫

「人気が出る前」

≪文学の楽屋で手伝いをされてたんですね。あなた何になるのって聞いたら「私小説家になりたい」って言うから売れないから止めときなさいって言って≫

「ははははは(笑)」

≪有楽町の寿司屋横丁でとったんですよ。今この寿司屋横丁ないんですから≫

「次古今亭志ん生さんを撮ってらしゃるんですけど」

≪とっくり持ってて撮らしてもらったんですよ。このときすでに酔ってらして≫

「石原裕次郎さんも撮ってらっしゃるんですけど」

≪いかにも裕ちゃんっていう感じで≫

黒柳「今度展覧会されるのはさっきの13歳のやつも出るんですか?」

大竹≪はい≫

「時代の顔大竹省二展というのがあります。平成14年4月17日から29日まで大阪なんば高島屋で。東京日本橋の高島屋では7月の10日から15日まで。それから京都の高島屋は10月9日から14日まで。大急ぎで残りの写真を紹介します。扇千景さんですご主人のセンジャクさんと。かわいいでしょ今大臣です」

≪ハハハハハ(笑)≫

「で高峰秀子さんです。ここからカラーになって油絵のような感じになってくるんです。それかれあ森光子さん。この森光子さんは素敵ですね。それから山本陽子さん。それから瀬戸内寂チョウさん。これもいい写真ですねえ。八代アキさん。かわいい写真ですねえ。美空ひばりさん」

≪こういう感じは珍しいですよね≫

「あともっとたくさんあるんですけど展覧会に行ってみなさん見ていただくのがいいと思います。82歳で現役でいらっしゃるのでまだまだ撮られると思います。またいらしてください」

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