2002年6月11日
黒柳「まあ~4年前においでいただいて兆しもございませんでしたのにその後双子をお産みになってお元気に保育園に通ってらっしゃるんですって。もうどのくらい?」
※兆・兆し(きざし)=物事の起ころうとするしるし。前兆。
山下≪1歳と6ヶ月ですね≫
「それでもってシングルマザー宣言というのをなさってみんなが驚いてるんですけどもね。元気に保育園に通ってらっしゃるんですけどもお産みになったときはとっても小さくお産みになった?」
≪2ヶ月ほど早く産んだので1556グラムと784グラムぐらいなのでちょっと大きさも違ったりして≫
「でもいまは医学が発達しているということもありますが双子で1556で妹さんの方が784.いまテレビを見ている人の中で心配されてる方もいらっしゃると思うけども保育器の中で育てて双子の784グラムのお嬢さんの方は元気に」
※双子の姉妹が生まる
≪すごい元気なんですね。先生が言ってくださったことでちょっと笑っちゃったんですけども「小粒でピリッと辛いね」って。≫
「ちょっとヨタヨタでも走ってもらうようにしたらお姉ちゃんのほうは走ったりして」
≪いきなりハイハイをしたりしてとても負けず嫌いと言うか≫
「自分はとても歩いていったのでは間に合わないと思ってスピードで合えばいいんだろうって」
※双子の姉が歩いていく。妹は歩いては付いていけないのでハイハイをする
≪とても負けずぎらいというか≫
「普通赤ちゃんで生まれるときは3000グラムぐらいですかね。でも両方合わして3000ぐらいですから。でも先制はすぐに大丈夫とおっしゃった?」
≪ええ、経過はいろいろ見ながらなのでいまは全然大丈夫なんですけども保育器の中で育ってる時はずっと先生が見ていただいて。保育器の中のほうが環境がいいので刻々といろいろと克復していくというか。生命力の強さ≫
「子供の生きようとする力ですよね。つい最近の新聞を見てたら”世界最軽量285グラムの赤ちゃんスクスク”というのが出てたんであなたのとこの赤ちゃnよりもずいぶん小さいなって。イタリアのねえフィレンツェで生まれたんですって。それでも3ヶ月早く誕生なんですって。だから(妊娠期間の)終わりの2~3ヶ月でグンと大きくなるみたいですね。それで通常の生活が送れるだろうと、小さなチューブで点滴をやってるんですけどもね3ヶ月で2000グラムになったと。あなたのお宅もそうなんですけども2ヶ月ぐらい病院に居てちょうどお腹の中から生まれるぐらいのときに退院なんですって」
≪そうで上のアカネちゃんのほうはそうなんですけども、下のヒカルちゃんのほうはそれから2ヶ月ぐらい入院してましたけどね。≫
「でも良かったですね。今ちっちゃくて心配してらしゃるお母さんがいらっしゃるけども、病院もすごいと思うんですけども子供の持っている生命力だと思うんですよね。」
≪あの本当に感動しますね。うちの子だけじゃなくて・・・≫
「この頃多いんですよね」
≪うちの子だけじゃなくてそれぞれ1人1人が本当に生きようとしているんでそれだけで勇気をもらえるって感じですよね≫
「私はいろいろな発展途上国というところに行くのでほとんどが保育器の無いところなんですね。そういうところを見ると保育器があればなって思うんですね。たまに保育器があると助かりそうな子はそこに入れて小さくても真剣に生きようとする子供を見てると本当にすごいなって思いますよね」
≪カンガルーケアーというのがありまして保育器から出てきたらちょうどカンガルーのお腹の袋のような状態で裸で入れて肌と肌でずっと抱っこしてるんですね。それがすごくいいらしくて、それは発展途上国から来たというか母と子の絆が強まって≫
「精神が安定するんでしょうね、抱いてもらうという事が」
≪こっちの方がポカポカしてすごく暖かくなってすごく幸せな気持ちになって≫
「普通だったら生まれてすぐに抱くんだけども保育器に入ってずっと見ていてまた双子だから名前をつけるのも大変だったと思うんですけどもシングルマザーということで全て自分でなさったんですって?」
≪はい、できる事は全部自分でやろうと思って≫
「少しづつ元気になっていくとお部屋が変わっていくんですって?」
≪はい、そうなんです。桃のお部屋からチューリップのお部屋に変わってて≫
「お姉ちゃんが居なくてビックリしたら上級の」
≪「どこに行ったんですか?」って(笑)。チューリップのお部屋に移りましたよ~って≫
「名前がアカネちゃんとヒカルちゃんになって。すごく負けず嫌いで。どっちかというと下のほうが上を支えているという感じなんですか」
≪私のことも支えてくれる感じで。小さく生まれたから人一倍強いのかしらって。≫
「普通の大人の人でも小さい人のほうが負けん気が強いじゃないですか。」
≪ありますね≫
「お相撲さんみたいに大きな人ほど声もやさしくて気弱な感じもするんですよね。私神様がそういう風にしてるんだと思います。もし大きな人がものすごく強くて負けん気が強かったら小さいものは滅びていっちゃうじゃない」
≪そうですね≫
「大きい人がおおらかでやさしくて小さい人が負けないぞってやってるから世の中が上手くいってるように思うんですね」
≪家の家庭の構造はそういう感じになってますね(笑)≫
「最初は1人で育てるって思ってたんですけどもいざとなったらお母さまにお頼みになったところもあったんですって?」
≪母が居ないとちょっと困ってしまう状態ではありますけども≫
「最初お姉ちゃんのほうが先に退院してきて一人っ子のように育ってきたんだけども妹の方が退院してきて」
≪1人を寝かして寝たわって思うと向うの方でもう1人が泣いてっていうことになって≫
「初めの子は1人だと思ってたのにまた1人が来ると寂しくなってしまうわけでしょ」
≪その時点ではそこまでわかってるかは分からないですけども2人がいっぺんに泣くとどうしていいか分からなくなってましたね。おんぶしてましたね(笑)≫
「学園祭の女王と言われた方もカリスマと言われた方も」
≪ひっそりと宇宙の片隅で奮闘してま-すっていう感じで≫
「お母様に来てもらってみてもらったりしてたんですがこのところは子供にかかりっきりでしたか?」
≪子育てが中心と言うか1年は側に居たいと思ってましたから、それでもアルバムを作ったりとかそういうことはしてたんですけども≫
「あなたは昔で言うと高齢(出産)ですよね。何歳でお産みになったんでしたっけ?」
≪41です≫
「(のけぞって)ふーん。今でいうと驚かないんですが前で言うと驚きましたかね。あなたのホームページ(以下、HP)でHPを読んでくれたあなたのファンの人は納得してくれたんですけどもマスコミやテレビは何でってすごかったんですって?」
≪説明のしようが難しかったんですが、何よりも半分このまま1人で楽しく過ごそうと、赤ちゃんはこないんだろうなって半分以上あきらめてましたからそういうときの出来事(妊娠)でしかも20周年とかだったんですね。≫
「歌手になって?」
≪歌手になってデビューしてから20周年だったので、20年経ったしこれからも1人でがんばっていこうと思ってたときの矢先の出来事だったので本当にうれしくて神様に感謝するような出来事ですね≫
「歌手として20年やってらして(年齢も)40におなりになってこのまま歌手としていくんだろうなという時にいきなり」
≪そうです≫
「双子ですって早くに分かったんでか?」
≪それが6ヶ月ぐらいして分かったんです。それまでは普通に1人だと思ってて≫
「お腹は大きくなってきました?」
≪6ヶ月ぐらいになって胎動っていって(胎児が)動き出すんですけどもこっちも動いてこっちも動くみたいな感じで。でもまさか双子だとは全然考えて無かったですね。すごく驚きましたね≫
「双子だって言われた時に」
≪先生がエコー出見ていると「あれ!!ちょっと待ってね。2人いる」って。人生ってどうなってるのかなって≫
「そういう思いがけない事が世の中にはあるけども妊娠している事にも驚いてるのに双子だっていうことになればそれはビックリですよね。」
≪これは何か意味があるんだろうなと思って。この素敵な運命的な出来事を受け入れようという気持ちからそのままシングルマザーというところに繋がっているんですが≫
「だけどまああなた自身はシングルマザーで構わないんだけども世の中の人はねえ相手は誰なんですか?とか何でなんですか?とか知りたがるでしょ」
≪そうですね≫
「でもこのごろ割りとシングルマザーの方って多いですよね?」
≪よくメールをいただきますね。最初からシングルというケースもあれば後にシングルというケースもありますけどもがんばってるし子供たちとの生活も結構生き生きという風に受け止めてまして。私自身もすごくエネルギーを貰ってますね≫
「子供から。しかも2人ですものね。倍ですね」
≪(肩に手を当てて)ガンと(笑)≫
「そんなに小さく生まれても2人とも走って保育園に行ってるんですから、今小さく生まれて心配なさってる方もお元気で。そういうお気持ちでしょ?」
≪うん。本当にそうですね≫
「さっきの新聞だって285グラムで生まれて無事にスクスクというんですから。日本は赤ちゃんの(世界で)一番元気な国なんですよね。」
≪そうですか≫
「日本が他に誇れる事もありますけども赤ちゃん元気が世界一。スウェーデンもすごかったけども日本がすごいと思いますよ」
≪その内の2人ですね家は≫
「そうですよ。本当におめでとうございました」
≪光栄です≫
黒柳「保育器が合ってその中で赤ちゃんを育てられるというのは数少ない国なんですよね。発展途上国というのは地球上87%あって残りの13%が先進国で我々はその13%の中にいるんですけども発展途上国のハイチというところに行ったんですけども(ハイチの)国立小児病院に日本が5つ保育器をプレゼントしたんですけども壊れてしまって直す人がいなかったものだから(5つの内)2つだけになってなんとかなりそうな赤ちゃんを2人入れて。あとはダーと赤ちゃんが並んでいて保育器が無いですからダメっていう赤ちゃんが居てその時に見てたら何のために生まれてきたのかなって思って(赤ちゃんの)顔を見てたら苦しそうじゃなくて悲しそうにしてました。その時に本当に悲しそうと思って」
山下≪(涙を拭く山下さん)≫
「そこで泣いたら失礼にあたるんですけどもかわいそうでした。」
≪つらいですね≫
「分かるでしょ。何もできない私達のほうが辛いんですって。ごめんなさいね」
≪(涙を拭きながら)ダメですね。そうですよね、なかなか世界中こうやって平和で幸せにっていう赤ちゃんばかりがたくさんいるわけではないですから。本当にいろいろと考えさせられるなってこのごろは思いますし命の尊さとか本当に大事な事はなんなんだろうと言う事がみつめることができるようになって本当に私は中々経験できない事を経験させてもらったっていう事なんだろうなって思います≫
「それも電気の無いところはできますけども電気の無いところがほとんどですから。でもあなたはご本にも書いてあるんですけども主治医の先生から呼吸不全とか心不全、感染症とか無呼吸発作とか未熟児網膜症とかの合併症がありますと言われたときには心配なすったでしょう?その時は」
≪ええ、心配はどこまで行くかっていう。心配しちゃうととんでもないんで。でもヒカルちゃんは小さくてほんとに端っこの方に胎盤が付いているっていう。でもそうやって生きていこうと決めたんだと。これは2人の運命なんだと生きると決めたと。そういうことを信じてましたね。先生はちゃんと説明してくださるんですけども何も心配する事はないと私は心の中で思ってたんですけども。≫
「それが重要なんでしょうね。子供にも伝わるでしょうね」
≪どこかで大丈夫だとずっと思ってましたね≫
「ですから手をかけられる国というのは先ほども申し上げましたが13%ぐらいしかないんですけども、命あってのものだねっていいますけどもそれ以上のものは無いですね」
≪ないですね≫
「あなたは歌を作ったりしてますけどもこれからあなたの歌も変わっていくかもしれない。どうですか?」
≪日常がとっても幸せなのでそれだけでもずいぶん違うと思います。今までに無いかけがえの無いものに出会えたと≫
「でも後にも先にもベストテン(※TBSで昔放送されていた歌番組)で生きた大きな像がスタジオに来てあなたはその上に乗ってお歌いになられましたよね」
≪はい≫
「あの学園祭の女王と言われてた時に。あの頃を想像するとあの上に双子も乗ってると思うと可愛いわね」
≪3人で(笑)≫
「そんなのもいいんじゃないですかね。」
≪いいですね(笑)≫
黒柳「双子って今は先に生まれたほうがお姉ちゃんだそうですけども」
山下≪そうですね≫
「何分違いで生まれたの?」
≪2分違いです。≫
「産む時って1人でも大変だと思うんですけどもどうせだったら2人のほうがね」
≪(笑)最初で最後だと思ってますので「あなたは幸せね」って母や母の世代の人たちもそうですけども言われますね。「一遍に2人よ」って。≫
「私の人生そんなもんよってさっきもおっしゃったように40歳で子供産む事もないし歌っていこうと思ったら一度に2人って、神様ってそんな風にお授けくださるものなんですね」
≪そういう風に思わざるを得ない≫
「お腹が大きくなってまた大きい病院に行きなおした時はなんか(お腹の中の赤ちゃんが)動かなくなったりしたの?」
≪ああ、心電図をつけるんですけどもグラフが時たまグッと下がったりしちゃうんです。ちょっと危険な状態で。≫
「すぐにわかるの」
≪環境のいい病院に出してあげましょうという事で入院して3日後ぐらいにすぐに手術になったんですけども≫
「ああもう2ヶ月早いけども出しちゃおう(出産)と。中で窮屈だったんですかね?」
≪そうかもしれないですね(笑)≫
「そろそろ出ましょうよ~って2人で言って。」
≪これ以上大きくなったらどうしようというぐらいお腹が大きかったんですね。こんなに大きくなるんだってもうダメかもって思ってましたから(笑)。≫
「そういうことは本にも書いてらっしゃるんですけどもアルバムも作ったり」
≪アルバムも作ってますし。歌を歌ってる感じがいいので、前よりも出産した後の方が≫
「出産した後の方がいい!!」
≪声を出してる感じがとてもいいんで。コンデェションがとてもいい。気持ちがとても安定してるんでしょうね≫
「”ある愛の詩”っていうCDもお出しになって。声もだし内臓がなんか変わったんですかね?」
≪やっぱり精神状態でしょうね。一番変わったのは。いつも側にいるような暖かい感じがあるというか。≫
「母乳?」
≪母乳です。≫
「そこまで伺っちゃってなんなんですけども」
≪ハハハ(笑)≫
「山下久美子さんのファンの方はなんなんですけども母乳が一番って言いますからね。何が何でも母乳と言いますからね。お元気でお育ちでなによりだと思います。お母さんの歌も変わってくるそうですから」
≪はい≫
黒柳「ついつい珍しいんでお子さんの事を聞いちゃったりするんですけどもなにかしゃべるんですか?」
山下≪このごろ言葉にすごい興味を持ってるみたいですね。名前を言ってみたりとか突然ボールを持ってきて「ボール」とか言ってみたりとか≫
「あなたの言ってる事は」
≪すごく理解しているみたいですね。「○○もってきて」っていうとちゃんと持ってきてくれたりとか(笑)≫
「ああねえー」
≪なんて素敵なんでしょう≫
「本当ねえ。毎日朝からお忙しいですけども充実」
≪とても≫
「子供って生まれてすぐは先生も目も見えてないし耳も聞こえないんですよとか言うけどわたしそうは思わなかったんですけども姪の子供が生まれたときに4日目だったんですけども「4日目ちゃん」っていうと、その時はまだ名前が無いから4日目ちゃんて呼ぶとおかしいらしくて笑うの。いろいろしゃべっても「4日目ちゃん」というところで必ず笑うの。分かってるのよって言ったんですけどもねそれからちょっとするとすぐにお友達みたいになりましたからね」
≪そうですね≫
「あなた4日目ちゃんって言ったら笑ってますけどね。でも子供って生きようとする力って。あなたがこれから歌を作りになるときは希望とかね生きる力とかをお歌いになると思うんだけど」
≪そういう風に子供たちと生きていけるといいなって。生き生きと≫
「おめでとうございました」
≪ありがとうございました≫