本日の徹子の部屋ゲストは斎藤孝さん

2002年6月19日

黒柳「いろんなのあるんですけども”旅行けば駿河の国に・・・”森の石松の浪曲でございますね。”まだあげそめし前髪の”島崎藤村。土佐日記、更科日記のちょっとだけいいところがでてるんですけども”生麦生米生卵”何ていうのも出てます。”あらまあきんちゃんすまなかったね”っていうのはジュゲム。」

斎藤≪そうですね≫

「これなんかは子供の頃にやりましたので。あと”せり、なずな、はこべら”春の七草。その中で面白いのが曽根崎心中の中の”この世のなごり、世のなごり”。これをなんと曽根心と子供が言う。どうしてこの頃の子供は短くして言うのか(笑)。曽根崎心中は近松のですけども」

≪小学校5年生のクラスでやっていただいてる先生がいらっしゃるんですけどもそこでは一番陰気がこの曾根心だそうで。≫

「どこがいいって子供が思うところをちょっと読んでみましょうか。”我とそなたは夫婦星。かならずそうとすがりより、振る涙川のみかさもまさるべし”心中していくわけですから。それを曾根心と言って小学生が面白がる」

≪はい。近松門左衛門は調子がいいですね。≫

「まだあるんですよ。”春は曙”枕草子ですね。それから”卯の花の匂う垣根に”童謡でしょうか。唱歌ですね。ずいぶんいろんなものがあってたけくらべがあって百人一首もあって身体に覚えこませる座右の銘というのもあって。そういうのがたくさん短くあってその後に(斎藤)先生の、例えば春の七草がありますよね解説がついてるんですね。これがとても面白いのと」

≪コメントがないと寂しいですよね覚えていても。≫

「そうですよね。わけがわかんなくて読んでるのもなんでして。でもずいぶんお調べになったんじゃないですか?このために」

≪まあ好きなものを選んでいるので割りと書きやすかったです。自分の好きじゃないものを書くのは大変ですけどね。≫

「逆にいうとどうしてあれが入ってないんだって言う人が多かったんですって」

≪結構強烈なのがあって見識を疑うというのもありまして(笑)”雨ニモマケズ”が入ってないというのが結構多かったです≫

※見識=物事を正しく見通し、本質を弁別するすぐれた判断力やしっかりした考え

「宮沢賢治の。」

≪ですから2では入れなくちゃと≫

「2をお作りになる。でもあれですよね日本では暗唱させてませんよね。」

≪家で朗読ぐらいは宿題でするんですけども名文を徹底的に暗唱するという文化は衰えてますね。≫

「暗唱すると忘れないんですよね」

≪ジュゲムは小学校の時に覚えて今でもいえます。≫

「あんあに難しい言葉ですよね「ポンポコピのポンポコ」ってねえ。子供の時覚えていきなりでも出てくるんですから”ジュゲムジュゲムゴコウの擦り切れ・・・”ってねえ。やはりジュゲムじゃなくても、外国の方はねえいろんな詩を学校でやったのを。このあいだここにゴルバチョフさんがいらしてロシアの詩人のレールモントフっていう人の詩をどれがいかなって言って読んでくださったんですね。むかしアランドロンというフランスの俳優と一緒にテレビに出ました時にボードレーヌか何かの詩をザーとやってくれたら初めみんなあのすっ転ばしの2枚目がって言ってたら日本の新劇の人だってあんなに覚えてないやってすぐに尊敬したんですけども。すぐに尊敬しちゃうんですけども外国では覚えてるのが当たり前のようですね」

≪そうですねアジアでもインドのタゴールとか≫

「そうですそうですアフガニスタンでもすごい人の詩を子供が暗唱して読んでくれてね。”春夏秋冬あったのに私は今まで春を知らなかった、でもこうやって平和になって春になり鳥が飛んでいくなんて自由は素晴らしい”みたいな詩をザーと読んでくれるんですよ。」

≪ああそうですか≫

「涙が出ちゃうんですけども。ああこういう素晴らしい詩がこの国にもあるんだなって思いますけども。2が大変ですね、あれもこれもって。あれはお入れになります”寅を踏まえてわとうなり、内藤様は下がり富士、不死身西行後ろ向き、ときみはまぐりばがはしら”って。ご存じない」

≪ええ≫

「これは私が言いましたのはご存知の方はオオーって言うかもしれませんけどもこれは歴史上のことが良く分かるんですね。なんで”不死身西行後ろ向き”って。私全然知らなかったんですけども西行法師という人の絵が描いてあってほとんど後ろ向きが多いんですよ。富士山を向うに描くんで西行法師はどうしても後ろ向きになるんですよ絵としては。それだけで一見で覚えるんですね」

≪覚えるんですね≫

「私の言葉もお入れになるとね知ってる方はよしよしと。長いんですけどね。」

≪面白いですね≫

「それにしてもこの”声に出して読みたい日本語”というのをお書きになってこんなにすごい反響があると言うのはお思いにならなかったんじゃないですか?」

≪あればいいなとは思いましたが(笑)ここまでジャストミートするとは思いませんでした。どうしても息が浅いのを気にしてたんですね子供の。ですから呼吸法をずいぶん研究してですね、それで子供の呼吸を長くゆるく吐ける呼吸法にしようと思ってその延長線上にこれが出てきたんですね≫

「タンデン呼吸法。複式呼吸みたいな」

≪そうですね≫

「タンデンというのはおヘソの。いい呼吸法というのは口をつぶって鼻から息をするんですね」

≪ヨガから続いてるものなんですけども鼻から吸ってちょっと止めてそれからゆっくりと吐く≫

「いくつ数えるぐらい吸うんでしたかしら?」

≪3秒鼻から吸っていただいて2秒間止めていただいてゆっくりと吐いていく≫

「何秒間くらい吐くんですか?」

≪これは15秒間吐くんですね≫

「これをやってもらったら学生さんの集中力がすごく高まったんですって?」

≪ええ今小学生も教えてるんですけども小学生って集中力が無くなって浮ついてしまう時があるんですね。これをやってから漱石の文章とかを読むと落ち着きが出る。≫

「テレビでやってたんですけどもこの頃の子供って口をあけてるんですってね」

≪口呼吸がおおいですね≫

「口呼吸というのは風邪(ウィルス)が直接のどに来ちゃうんですってね。鼻と言うのは免疫があってなかなか風邪にはなりにくいんですってね。口をあけてると息も浅くなりますしね。それでこの間実験をさせていたんですけども口を摘むんで運動をさせるんですね。集中力がすごく高まって、絵を書くんですね小学校6年生の子供が(それまで)半分ぐらいしかできなかったのに5個しかできなかったのに10個できたし、飛び上がるのも1m以上高く飛び上がりました。だから口をあけないようにってね」

≪口をあけないように(笑)≫

「昔は私達が口を開けてなかったのか親はそんなに「口を開けてんじゃないの」って言わなかったですよね」

≪昔は活動が多かったと思うんですね。結構体を使う。ですから自然と呼吸が深くて宮本ツネイチという民俗学者の本を読むと口をポカンとあけてるとそれは良くなく見えるからと。良くなく見えるから口は閉じてろって≫

「たしかに昔はそんなに口を開けてんじゃないのってたまには言ったかもしれませんし、親がつぶってたんで子供もつぶってたんだけども(今は)親があいてるかもしれませんけど。それにしてもすごい集中力の違いだそうで先生がおっしゃった3秒鼻から吸って2秒止めて15秒くらいでゆっくりと吐くと子供がとても集中する」

≪それを6回やると2分間にちょうどなるんですけども2分やれば十分、1分でも構わない≫

「それだけで集中力が増して風邪も引きにくくなるんだったら良いんではないかって(笑)。まあもっといろいろあるんですけどもちょっとコマーシャル」

≪はい≫

黒柳「斎藤孝さんはこの”声に出して読みたい日本語”は子供の教育メニューとして考えてみて学校の先生にも使ってもらえるといいなっていう所もあったそうですけども」

斎藤≪強く願ってたんですけども最初はご高齢の方が買ってくださってたんですけども今は学校で副読本のように≫

「それとご高齢の方にはボケ防止にも良いみたいです。声に出して読むというのはね。口の中でモゴモゴ言う子がはっきり言うようになる?」

≪なりますね。最初おんぶさせて下になった子が言うっていうっていうようにさせているんです。下の子が声を出すとかなり強い声が出るんですね≫

「お腹から声を出さないと」

≪昔はいろいろなものを背負ったりしましたよね≫

「ちっちゃいのに炭なんか背をわさせられましたよね疎開している時に。」

≪炭ですか≫

「炭の方が(黒柳さんより)おっきかったですよ。見たところね。そういうものを背負わさせられましたから”フム”って言って」

≪フムっていって(笑)≫

「それまでしょっちゅう病気してましたし。しょうっていうのはあまりしょっちゃうとねえ良くないかもしれませんけどねえ少しぐらいは良いかもしれませんよね。先生は他にも出してらっしゃいまして先生は3色ボールペンというものを非常に」

≪気合をいれてるんですけども。何のことやらって(笑)。これがその本なんですけども≫

「”3色ボールペンで読む日本語”。3色ボールペンってなんだってお思いになるかもしれませんけども」

≪ええこれなかにボールペンが入ってるんですけども≫

「これ最初ボールペンがこここに入ってるんですけども何の事やらわからないので3色ボールペンを買ってきたりしたんですが次の時には”このケースのなかにボールペンが入っています”とここに入ってたんですね。緑と青と赤がはいってるんですけどもこれはなんで3色にこだわってらっしゃるんですか?」

≪まあ自分が(読んだ本に)線を引いてきまして職業柄(※大学教授)たくさん本を読まなくてはいけないので最初1色で引いてたんですけども主観と客観を分けることができなかったんですね。誰が見ても面白いと言うところと、自分だけが見て面白いと言うところと≫

「あります、あります」

≪その2つがあると読んだあとの完走とかが面白くなるんですね。大事なとこはここで、でも僕はここが面白いと思う。≫

「面白いのは面白いけどもどっちでもいいというのは」

≪緑なんですね。≫

「ここ(ペン)にも読みも小さく書いてあるんですよ」

≪読みも小さく(笑)≫

「「緑:面白い」ああこれは面白いなって。そして青が」

≪まあ大事と言うことで、これは客観方面ですね。赤はすごく大事。これは誰がどう見てもツボだろうと言うところで。青は”まあ大事”というすごくアバウトなものを入れたかと言うとそれを入れないと今度は緊張して子供が線を引けなくなるんですね。”まあ大事(青)”でどんどん調子をだしてもらって引いてもらってそれで赤で。これで10年以上本を読んできてそのあと本を使いこなすのがとてもやりやすくなるんですね。すごいいいやりかただとおもってたんですけども中学生ぐらいになると10色ぐらい筆入れで入れてる子がいるんですよ。あれだと多すぎるんですよ今度は何の色か分からなくなって。カチカチやることで頭の主観と客観を切り替えるって言うんでしょうかね。≫

「この本を読んだ人は書いた人(著者)はおじいさん見たいな先生だろうとお思いでしょうが大変お若い先生で40・・・」

≪41ですけども≫

「41にお成りになった先生でさっきお会いした時にどなたが先生か分からなかったんですけども」

≪(笑)≫

「失礼しました。雑誌社の方がたくさんいらしたんでどなたが先生ですかって言ったぐらいなんですけども」

≪まぎれちゃいますね(笑)≫

「普通はおじいさんが書いた本だとお思いでしょう。音を出して(3色ボールペンの)色を変えてると気分も変わるってこんなことお若い方じゃないと思いつきになりませんよ。この先生は徹子の部屋を3色で色分けなされたそうですよ。コマーシャルの後に」

≪どうも≫

黒柳「3色ボールペンにこだわってらしゃる先生は今日の徹子の部屋の出演に当たってですね”徹子の部屋”というところは何色でお書きになったんですか?」

※スケジュール帳を取り出す斎藤さん

斎藤≪まあすごく大事というところで赤はもちろんなんですけども。来るのを忘れちゃいけないので。緑中心ですね≫

「でたら面白いと言う事でね。見ててくださって分析されて」

青:まあ大事(客観)

赤:すごく大事(客観)

緑:面白い(主観)

≪ああこの人は赤でしゃべってるなとか、緑に変わったなとか聞いてんですね。だから緑のバランスが8割の番組と青赤系。ニュースなんかは青赤系ですね。黒柳さんの番組はこの番組はそのバランスがいいなっと思って。≫

「そうですかうれしいですね」

≪ちなみに質問力がすごいですね。質問する力が≫

「そうですか普通の番組と比べて長いですけどもその方の一生をお聞きするので」

≪一生ですか(笑)≫

「質問させていただく時はかなり考えてその(質問する)場合は赤で?」

≪赤で押さえてなおかつ緑で切り込むみたいな。≫

「赤で押さえてなおかつ緑で切り込む。お分かりになられましたでしょうか私がゲストに聞く時は”赤で押さえてなおかつ緑で切り込む”。だからこれは聞きたいと言う事を聞いてなおかつ自分で興味のあるものを進めていく。ですから久米さんの場合は赤でいかないとニュースですから。ですけどもインタビューなんかする時は全然変わっちゃうんですって?久米さんのインタビューは外国人のゲストの方で」

≪緑中心で。赤をしゃべりたい外国の方は大変ですけどね≫

「緑専門で聞くので赤でしゃべりたいお客様はもっと赤でしゃべりたいと」

≪赤を押していきたいと≫

「でもあれですねこれを持ってると(3色ボールペンの色をカチカチと変える)癖になりますね。」

≪これ癖になりますね≫

「私今までこんなもの癖になった事無いんですけどもなんか持ってると癖になりますね」

≪(笑)≫

「呼吸法を変えてペンを持って線を引いて読むと全然違いますね」

≪何となく読んでますからね。バッターボックス入るみたいなものですね。これから玉を打つみたいな。≫

「あの正岡子規という人の俳句が(本の中に)出てるんですが”幾たびに雪の深さを尋ねけり”っていうのがあるんですけども、それを先生がこの中で解説してらしゃるでしょ。子規はいつでも病気だったから」

≪病気だったんですね≫

「布団の中に入ってたんで」

≪雪を自分で確かめる事ができないんですね≫

「子規の病気が迫っているのが分かりますね。そういう風に解説もすごく面白いと言うのがあるんですけども先生がこれは緑だなっておもしろがっておつくりになって」

≪やっぱり自分が面白いと思わないときついですからね。≫

黒柳「あの静岡でお育ちになったんですけどもまあお家はとっても普通のお家だったそうですけども学校の勉強が嫌い?」

斎藤≪ダメって言うより嫌いですね(笑)≫

「本当に嫌いだったんですって。これは教育が悪いと自分でお思いになって総理大臣になって教育を変えようということで東大にお入りになる事もすごいですが裁判官になって変えてやろうと思って法学部だったんですがそれもうまくいかなくて考えを変えて教育大学院で教育の方をおやりになったそうです。またおいでください。ありがとうございました」

≪ありがとうございました(笑)≫

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