2002年7月23日
黒柳「今日のお客様です星野敬太郎さん。良くいらしてくださいました。世界一小さい世界チャンピオンでいらっしゃるんです。ミニマム級といって体重が何キロ?」
星野≪47.6キロ。それが上限ですね。≫
「それ以下だったらいい。女の人でもすこし小柄な人っていう体重ですね。世界一小さい世界チャンピオンということで面白いと思うんですがまたチャンピオンベルトが大きくて、ベルトってその方の体つきに関わらず」
≪そうですね一番上のマイク・タイソンとかの階級と同じ大きさなんです。僕はまいても落ちちゃうんですね≫
「これはあなたのものなんですね。使い回ししないのに大きくないといけないんですってね。大きいいですよ確かにね。あなたはこれを2つ持ってるんですって?」
≪そうですもう1つは届いてないんですけども。≫
「というのもこの方は何回も引退してらっしゃるからなんですけどもね。引退なさってまたすぐに戻ってきてすぐチャンピオンになるっていう。今32歳」
≪はい≫
「32歳でチャンピオンというのはこの世界では1番年上なんですって?」
≪まだ輪島コウイチさんが。何ヶ月かの差なんですけども≫
「もうすぐすると」
≪今度の防衛戦に勝つと日本では一番になります≫
「びっくりしたんですけどもトンカツ屋さんの料理長もしてらっしゃるんですけどもそれはどういうことで」
≪それは5年ぐらい前から勤めていてずっとお世話になってて。そこの社長さんも後援会長になっていて≫
「本当においしそうなんですけども。チャンピオンではミニマム級ではそれだけでは食べていかれない?」
≪その職場を修行の場としてやっているんで。精神的な修行の場としてやっているんで≫
「それでボクシングをやってらして生活のお金はトンカツ屋さんで得ていると。お客さんはあなたの事を世界チャンピオンとご存知なんですか?」
≪来るお客さんはほとんど僕の顔を見にきますね≫
「ところがあなたは今減量中ですってね」
≪減量中なんでなるべく店を休ませてもらって≫
「あのにおいをかぐとダメなんで」
≪つまみ食いしたくなるんで≫
「私も減量しながらトンカツ屋さんで働くというのはどうかと思って。じゃあ今はいってらっしゃらないの」
≪ええ。大好物なんでトンカツ屋さんに勤めているんで≫
「でそこにおいをかぎながら減量はできないんで「ありがとうございました」って召し上がってないのにニコニコ笑いながら言えないですよね。でもいいにおい想像しちゃうでしょ」
≪はい≫
「今度の世界戦っていつでしたっけ?」
≪7月の29日です≫
「ですからあともうちょっと。それが終るとすごいんですって一日何食も召し上がって」
≪1日5食≫
「何キロぐらいになるんですか?」
≪55キロぐらいに≫
「ええ!!55キロから47キロまで減らす?」
≪そうですね≫
「大変ですね。このかたは小さい時から可愛くて女の子としか思えませんよね。さっき写真を拝見したら」
≪(笑)≫
※写真登場
「まあ見て!!可愛い。この子が世界チャンピオンになると誰が思ったでしょうね。今見ると男っぽいんだけども女の子みたいで。なんてたって最初の引退なんだけどもデビュー戦で負けた」
≪僕は通用しないと。こんな厳しい世界ではやっていけないと。すぐにやめたんです(笑)≫
「デビュー戦で負けてチャンピオンになる人は少ないんですってね」
≪2人だとおもいます。セレス小林さんと僕とで。日本では≫
「あなたの場合はこれでダメだから引退したんですけども1年ぐらい経って」
≪プロで1試合ぐらいは勝ってから花道をつけたいなと。次の試合で勝ってきっぱり辞めようと。けじめをつけようと≫
「その頃は同期生の方がまだやってらして」
≪高校生の時とかアマチュアで活躍した選手がどんどん活躍したんで≫
「それで復帰なさったらとんとん拍子で日本の中でチャンピオンにおなりになった。その時はまだ29歳ぐらい?」
≪28,9ですね≫
「ビックリしたんですけども28,9というとボクサーの中では上のほうの歳になっちゃうんですね。」
≪そうですね。若いうちが花なんで≫
「もう29なんでそこで引退しようかなって」
≪勤めているトンカツ屋さんがおもしろくて≫
「ハハハ(笑)でも戻る時にみなさんがよく戻してくれますね」
≪本当ですね。≫
「デビュー戦で負けたから辞めますって言って、でも1年ぐらい経ってみんながやってるからやりますって。じゃあおいでって。ねえ。ま才能がおありになったんだと思うんですけどもね。日本チャンピオンになって5回ぐらい防衛してもう歳だし引退したんですね。だけど引退したからと言ってそこで退職金をもらえるわけではないんですね」
≪ないです≫
「そしてその次に戻ってらしたっていうのは」
≪ええ、僕が負かした相手が活躍してるとか、あと自分のジムの後輩たちが「星野さん早く帰ってきてください」とか≫
「早く帰ってきてくださいとか言うの(笑)。引退してるのに」
≪「お前たち!!」と思って(会場笑)お前たちには俺が必要なんだと思って帰りましたね≫
「ミニマムというの小さいものですから戦うのはアジアの選手が多くて世界の人たちとやるチャンスはあまりない?」
≪そうですね≫
「もどって世界チャンピオンをめざそうと」
≪その時はそう思いましたね≫
「ああそうか日本の中ではチャンピオンだったけども世界チャンピオンでは無かったんですね」
≪そうです≫
「それで引退したんですけども「そうだ世界チャンピオンにならなくちゃ」と思ってお戻りになってみなさんが戻っていいですといって。そこであなたは世界チャンピオンにお成りになったんですってね?」
≪そうです。自分でもビックリしましたね≫
「相手はどこの人だったんですかね?」
≪フィリピンの≫
「フィリピンの人。それで防衛」
≪初防衛戦に負けたんです。タイの選手に。(負けたんで)引退すると≫
「そうなんですって即日引退しますと。」
≪で次の日に撤回したんです≫
「判定負けだったんですってね」
≪そうです。≫
「帰ってビデオを見たんですってね」
≪口惜しくて煮え切れなくてもう1回取り返してやると。≫
「おうちに帰ってビデオを見てたら判定負け何だけどもこれは負けてるんじゃないと。引退は取り消して挑戦をしようと」
≪それでなかなか(世界タイトルマッチは)決まらないものなんですけどもねとんとん拍子で決まって、最初にタイトルを取ったフィリピンの選手と王座決定戦というのをやったんですね。それが今年の1月29日だったんですけども勝つことができて取り返したと≫
「そのあなたが世界戦で負けた人から(ベルトを)取り返してやろうと思ってたらその人はもう引退しちゃってたんですって」
≪そうです。≫
「それで世界チャンピオンになってどうなったんですか」
≪今度は7月29日が初防衛戦と≫
「3回目の引退というのは1日とですかね」
≪そうです≫
「1日もしないですかね。」
≪17~8時間ですか≫
「みんなも真面目に聞いて無かったですかね(笑)(※みなさんも星野さんが本気で引退するとは思ってなかったでしょうね)」
≪負けた日の夜に言って次の日の昼ぐらいに撤回したんで≫
「口惜しいんでもう1回負けた相手に挑戦してやろうと思ったらその人は引退していて、でその負けた相手というのがあなたが前にやっつけた人だったのね。そういういろんなことがあって今は世界チャンピオンでいらっしゃるんですけども。そうこうしてるうちに32歳にお成りになったものですから今度の試合で勝つと輪島功一さんの記録を抜いて世界で一番歳を取ってる最高年齢の世界チャンピオンで世界で一番小さい人っていうことになるんですね。今度の相手はどういう方ですか?」
≪今度は元世界チャンピオンで中南米のベネズエラの人なんですけども。≫
「アジアの方ではないのは初めてですか?」
≪ええ、今の僕はアジアチャンピオンなんで。世界チャンピオンなんですけどもフィリピンとタイの選手としかやってないので自分の中ではアジアチャンピオンだと。今度は中南米のベネズエラの人とやればちょっとは世界チャンピオンに近づけるかなっと。≫
「それはそうですよね。そのベネズエラの人は強そうなんですか?」
≪強いですよ≫
「強い。やだわね(会場笑)。あなたはどういう手が得意なんですか?」
≪僕は”相手をあざむく。ずるがしこい”≫
「時間をかけるのが好きなんですって結構」
≪そうですね。すべてにおいて≫
「そうですか(笑)相手がやになっちゃうなっていう頃やっちゃう?」
≪そうですね。後半し勝負ですね≫
「そのベネスエラの選手は気が短いんですかね?」
≪気は強いと思うんです。短くは無いと思います≫
「あなたも気は強いんですよね」
≪僕は負けずに強いです。≫
「あなたはずっと前からガールフレンドがいらっしゃってその方と結婚したいと思ってらっしゃるんだけども結婚とボクシングは両立しないんで引退したら結婚しようということになってるんでずっと続けちゃうと・・・こんど皆さんに40まで続けるぞとおっしゃたんですって」
≪そうですいったんで。40までというのはちょっと反省してるんですけども。ボクシングやってる間は私は待ちますからと言ってくれて≫
「えらいでしょ。9歳年下でいらっしゃるからあなたが40になっても相手は31ぐらいですからまあいいんですけども。でもまあ世界チャンピオンで防衛して40までいきたいと。でもミニマム級というのはヘビー級と比べるとお客さんもちょっと興味が」
※1上の階級がヘビー級。一番下がミニマム級
≪お客さんが見に来るのは派手なKOシーンだと思うんで≫
「ノックアウトとかあまりない。でも苦労との人は好きなんですって?」
≪ボクシングを良く見てる人は好きですね≫
黒柳「今ご結婚の事を話したんですけども話すのはかまわないんだけども恥ずかしいんで汗がでたとおっしゃたんですけども。結婚はしてらっしゃらないんですがボクシングは減量が今大変きついところなんですけども奥さんにしてもガールフレンドにしても試合の2ヶ月前からは離れてなくちゃいけないと」
星野≪そうですね。自分に甘えが出ちゃうと思うんで≫
「もちろんベットをともにすることもよくない」
≪よくないです。≫
「外国人もそうなんですかね?」
≪こればっかりは人それぞれだと思うんですね。≫
「日本ではそうなんでしょ」
≪僕の場合はそうしてます≫
「その方が晴れ晴れするという方もいるそうなんですけども。ベットに入ったりしてると他の人にもわかっちゃうんですって?」
≪試合中とかにばれたりするとかいう話は聞いたことがありますね。足がぐらついたり。≫
「そうですかわかりませんけど。もう減量は上手くいって」
≪あと2キロ・・・1キロ≫
「もうあとちょっとで1キロ2キロ。これから。体重量るときにつば飲んでもいけないというぐらいで」
≪ギリギリの人はそうですね≫
「(試合前の体重を量るときに)体重が多かったらもう」
≪だめですね≫
「試合に出られないんですってねえ。」
≪試合前そういうところでもビシッと決めとかないと。≫
「ガッツさんがおっしゃってましたね。減量がどんなに大変だったかっていうねえ。夜中に寝てても目が覚めてねえ」
≪ひもじいというのはありますね。≫
「で1回量っちゃったらボクシングするまでの間は食べちゃってもいいんですか?」
≪すごい食べてはダメですけども僕はウナギを。うな重を≫
「ウナギがいいんですかねえ?」
≪いいですね。ウナギ上りというげんかつぎにもいいです。≫
「世界では違うクラスの人では40すぎてもやってらっしゃる人がいらっしゃるんですってね?」
≪ヘビー級とかでアメリカの方の選手で45歳くらいの人もいますし50何歳でやるという人もいるみたいですね。負けちゃいけないですよ≫
「そうでしょうね。でもそもそもなんであなたにボクシングをやらせようとお父様はお思いになられたんでしょうね?」
※星野さんはお父さんの薦めでボクシングを始めた
≪小学校4年生の時に始めたんですけどもすごく体が小さかったので中学に入った時にいじめられないかなと心配したそうです。ボクシングでもやらせておけば立ち向かえるだろうと。≫
「それで(ボクシングジムに)連れて行かれたんですけども初めはやだったんですって」
≪ずるずると引きずられて≫
※小学5年ごろの写真が登場。
「今の写真は4年生以上なの?」
≪はい4年生です≫
「小さいわねえ。」
≪小学校1年生から中学校1年までずっと先頭でしたね≫
「何センチの何キロ?」
≪中学はいったときで125センチぐらいでした。≫
「だからお父様はそういうことでずるずる連れて行かれたんだけども、それでも一向にそこで背が伸びなかったんですって?」
≪伸びなかったです≫
「でもあなたは中学を出たらプロボクサーになろうと決めていて」
≪決めていました。でも中3の進路の時におまえの体の小ささじゃ社会にでても潰されちゃうよと、≫
「35キロぐらいしかなかったんですて」
≪145センチぐらいですか。それで高校に行ってもう少し体が大きくなるまで高校にいってプロボクサーになるにしろ何になるにしろ考えろと≫
黒柳「でもお父様はありがたいものであなたをボクシング(の世界)に連れて行ってくださって、そして中学を出ただけではまだ早いと高校を出てからにしろと。相談相手というか」
星野≪お陰ですよね。そういう風に導いてくれたから今世界チャンピオンになっているんで≫
「そしてなんと驚くべきは高校生の時に背が15センチも伸びて。よくのびましたね」
≪毎日牛乳を飲んだかいがあったと思います。≫
「そして15センチも伸びになったものですから155センチになって高校を出た時はお父様ももういいだろうと思いになって」
≪そうですね。プロボクサーになると。高校でても就職するという形は取らずにプロボクサーになると。≫
「ボクシングの面白さはどういうところにあるんですか?」
≪試合になると自分がやってきたことがすべてでるんですよ。自分のやってきた練習が全てでちゃうんで≫
「やってこなかったこともでちゃう。練習してこなかった事もでちゃう」
≪そうです。≫
「人格なんかもそこででちゃうんですか?」
≪性格も出ちゃうと思いますね。僕は特に几帳面なんですよ。ボクシングにそういうところが出てるかなと思うんですよ≫
「几帳面なところがね。3回引退なすったというんですからそういうこおtも引退しようとお決めになるんですから几帳面かもしれないですけども」
≪そこは几帳面じゃないかもしれないですけども。≫
「そうそうお父様はあなたが(試合を)やってらっしゃるところには応援にはいらっしゃらないんですってね?」
≪そうです高校の試合に時に1回負けてそれ以来こなかったですね。≫
「お父様がくると負けるんじゃないかということでいらっしゃらないんで心配でしょうね」
≪そうでしょうね≫
「でもいらっしゃらなかったから世界チャンピオンになれたかもしれないんで。」
≪この間の1月の試合も試合会場から自宅までが近いんですよ。試合をテレビで見て終った(勝った)あとタクシーに乗ってすぐに来たみたいですよ。≫
黒柳「今(CM中)ボクシングをおやりになる方の人格に付いてお話してたんですけども外国にはうそつきの人も一杯いますものね。」
星野≪はい≫
「うそつきの人でも強い人はいますかね?」
≪どうですかね僕はうそつきですからね。いやそうでもないですね≫
「(笑)ちょっとぐらい。このどろ星野さんのいいところはリングにあがるととっても楽しいいんですって?」
≪楽しいですね。よし!とファイトが沸いてくるんですよ。前は恐さがあったんですけども今はよしやるぞとワクワクしますね≫
「それで顔が笑いそうになっちゃうんですってね」
≪なりますね。リング上がった時に≫
「でもわらっちゃうと相手にわかっちゃうんで」
≪そうですし、見てるお客さんにも失礼かなっておもって≫
「それはそうですね。さっきもおっしゃったようにミニマム級というのは小さいのでKOとかはそうは無いので見にこない方もいらしゃるかも知れないけども7月29日にパシフィック横浜でこの方がおやりになってそこで防衛されて、防衛なさると思いますがなさるんですが世界一になるんで応援して差し上げたいと思います。本当にお祈りしています。ありがとうございました」