2001年10月18日
黒柳『お掃除なんかも身軽にスッスとおやりになるんですって?』
樋口「私は元々物が少ない家の方が好きなんですけど主人はものすごく物が多いんですよ。あのおもちゃみたいなものとかオマケとかあんまり大人がもってないような可愛いい物があったりとか」
『ご主人はコピーライターの糸井重里さんなんですけど。あのかたはパン屋さんなんかのスタンプ、貯めると』
「何かいただけますっていうのが物凄く好きで、一緒にパン屋さんとか行って私はそういうの駄目なんですよ邪魔くさくて”いりません”とかいうと後ろの方から声がして”駄目だ!!お前貰わなくては駄目だ”とか言ってそういう所で怒られるんですけど」
『なるほど。そうするとどんどん集まちゃってどうするんですか?』
「居ない時に捨てるっていうのが快感っていうんですかねえ」
『それで糸井さんは?』
「全然きづかないんですよこれが。」
『それはすごいですねえ』
「居ない間になんかこう分からない物を捨てていく。本なんかもどんと捨てていく」
『気付かない』
「気付かないです。物を集めるわりには執着しないっていうんですか」
『1番好きなあいつどうしたとかいうのはないんですか?』
「ないです。後釣り道具が多いですから」
『釣りにお話は後においとくとして樋口可南子さんはいろいろな趣味をお持ちなんですがパン作り』
「一時こりました。パン生地って可愛いんですよ。コネコネしていると生き物みたいに思えてきて、ペットみたいに思えてくるんですよ。おうちで焼くとすごくいい香りがして焼きたてはおいしいなあとか思ってたんですけどでも主人が買ってきた方がうまいじゃないかとか言われて終わちゃったんですけど」
『あら残念でしたね』
「近くにわりとおいしいパン屋さんが多いものですから作るよりおいしいといわれればねえ。でもおいしいですからねえ」
『こねてる時は楽しいですからねえ。』
「バシンバシンこねるのがストレス解消になって夜中になんかやると下の階からコンコンコンときてあれ誰か起きてうるさいとか言ってるのかなとおもって廊下の方とかにずれてバシンバシンやってるとまた下からコンコンコンときて迷惑だったんですねえ」
『あなたのご主人も迷惑かけるより買ったほうがいいとお思いになったのかもしれませんねえ。あと中国茶ていうのがありましたでしょ』
「台湾に行きました時に1番最初に”とうちょうウーロン”っていうお茶をいただいたら本当に美味しくて」
『どんな味がするんですか?』
「お豆みたいな味がして。中国茶っていうのはレベルが高くなればなるほど本当に美味しくてキリがないというぐらいで日本に帰ったらすぐに中国茶教室を調べまして、行きまして数限りなくありまして見事に味が違うんですよ。で飲むと体が温まってくるし、新陳代謝がよくなるしこれはいいということで数ヶ月行ったんですけど結局毎日飲みたいのは日本の緑茶だなと思ったらスッと冷めてそれで終わちゃったんですけど」
『次にフランス語』
「黒柳さんは英語がお上手でそれがうらやましくて英語を習いに行ったんですけどどこに行ってもだめでフランス語だったら喋れるかもしれないと思って個人レッスンだと自分を甘えかしちゃうんで30人教室みたいに普通の人達とやれば続くかなあと思って、そして電車で通うんだと思って行ったんですけど1時間目が終わって廊下にでるとワッとかおばさんがいてサインとか下さいとか言われて私芸能人だったかなって忘れてて、迷惑になるかなと思って一日」
『あなたはコンビニでもどこでも行く人なんでサインください何ていわれるとは思わなかった。後はアルゼンチンタンゴ次々とあるんですけど』
「これはアルゼンチンから来た本場のダンサーが」
『これはいいですね』
「何の予備知識もなくて見に行ったんですけどあの物悲しい曲調、音楽のすばらしくて若い方だけではなくておじいさんの恰幅のいい方が踊られてもセクシーで私もこんな年で始めても大丈夫と思ってすぐに先生を探してですねいったんですけどこれははまりましたね。今も」
『続けてらっしゃるの』
「はい、休み休みですけど。これは何て言うんでしょ女の人が本当に女の人でいなくてはいけない踊りなのでとても高いハイヒールうを履いて踊るのでヒップアップになるしすごく体も鍛えられるし、音楽に乗って踊るのも楽しいし」
『それは見てみたいとおもいますけどねえ。私もブロードウェイでみてから日本にもいらしたんですけどおじさんのこんなに太った人が上手に踊ってとてもセクシーですし、女の人も女の人でセクシーですしいいなと思って』
「男性のリードが全てなんですよ。女の人は男の人の心を読んで、次の手を読んで自分が遊ぶ。突き詰めるとアドリブの効く踊り。」
『それは続いてる』
「なんとか」
『その次に釣りてっていうのがあるんですけどそれはコマーシャルのあとで』
『ご主人の糸井重里さんはずいぶん釣りがお好きで上手なんですけどあなたも今は上手になられたんですよね』
「最初の頃はビギナーズラックで面白いように釣れるんですよ」
『釣りになられるものは決まってるんですよね』
「ブラックバス。4年前に始めたんですけど」
『日焼けクリーム何かもつけてらっしゃるんでしょ』
「最初はつけてたんですけど。丸一日釣ってますから半年ぐらいは一ヶ月に10日を半年続けたんですよ。もう10ヶ所ぐらいの湖を遠征してそのときはあんまり女優さん業をやらないでやってたんですけど。もう釣りしたら気分は男。もう男なんですよ。女らしくやってたらなにも出来ないんで」
『ここに糸井さんがきらしたときにあなたがまだやってない頃のあなたのことを話してらっしゃるんで』
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『』黒柳徹子/「」糸井重里
『奥さんの樋口可南子さんはあなたが釣りに行くとすごい期待してまってらっしゃる』
「今はもう一緒に始めちゃったんでそんなことはないんですけど最初東京湾にシーバスってスズキですねスズキを釣りに行くって話があって僕も初心者で釣れるかもしれないということでワクワクして行くわけですよ。彼女は行かないで私は寝てますよ状態で。帰ってきて真夜中というより朝に近い時間に帰ってきて勝てに寝て、かみさんの方が早く起きますから。かみさんは釣った魚が流し台にいると思ったんですねでも流し台に行ってもない。もっと大きいいのかもしれないと思ってお風呂場に行ったらしいんですよ。バスタブに釣った魚が泳いでるとおもったらしくて」
『バスタブってのが面白いですね』
「僕も行く前に法螺ふいたんでしょうね」
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「そのころは木村(拓哉)くんが先生で朝早くみんな集まってはどっと出て行き、どっと帰ってきいつもなんにも持って帰ってこないんでなんだこの釣りはって。不思議で不思議でしょうがなかったですね。最初みんなへたくそですから一匹も釣って帰ってこなくてそのうち釣れるようになったんですけどブラックバスっていうのは持って変えてこなくてリリースする」
『帰す』
「ゲーム性のある」
『向こうも帰してくれると思うのかしら』
「それはないと思いますよ」
『いずれにしても持って帰ってこない』
「その内飼いたくなって小バスを持って帰ってきて飼ったことありますよ。どうしたらつれるようになるかってその頃研究してた時代だったんで、大きな水槽に入れてルアーなんかでどうしたら釣れるかとか研究したことあります」
『釣れます?』
「釣れないです。なかなか賢い魚ですから」
『じゃあ今は一日中』
「そうですねえここ一年は行ってないですけど行ってる頃は朝方から暗くなるまで。暗くなってもやってるんですよ。すごく面白くて。」
『そんなときはお互い話してやるの。それとも黙ってやるの』
「ライバルですから」
『最終的に何匹つれたってお話になるの』
「勝った方は大笑いで帰ってくるし、負けた方は悔しいですから」
『まあ健康的ですからねえ。また釣った魚はかえすから気分的にはねえ。でも釣ったときには手ごたえ大きいでしょあんだけ大きいんだから』
「面白い魚なんですよ。釣った後にリアクションくれるんで。おもしろいですね」
『釣竿の先にあんな大きな魚がくっつくものですよね』
「暴れるんですよ。水の上で跳ねるんでそれが面白い魚ですよ」
『すぐに放してもらえないと思ってるから暴れるんでしょうね』
『ご主人の糸井重里さんはあなたのことを変な動物を飼ってるみたいとおっしゃるんですけど』
「ああそうですか。最近そういう風に言われるようになったんですけど」
『おうちにいるときはまったくそういうふうに女優さんとしてらっしゃらないんですけど、女優さんといったんスイッチが入ると・・・、いつか髪の毛全部お剃りになったことがあって』
「はい尼さんの役をやった時にカツラでは乗れなくて剃りたいとお願いして剃ったことがあるんです。でも女優ならではのことじゃないですか普通じゃ出来ませんからそれがうれしくてうれしくて帰ったら主人に見せたくて見せたくてで帰って見せたらパーッと部屋の隅に飛びのいてズーッと遠くからこういう目でしか見なくて。びっくりしたんじゃないですか。そばに寄ってくれなくてそれがうれしいんですよ。驚かすことが。なんかヤクザの姐さんの役をやったときは背中にいれた刺青を見せたくて見せたくて見せたりとか」
『それもビックリしてました』
「ビックリしましたよ。そんなことが変な人と思ってるんじゃないですか」
『でも女優ってそこまでやるもんだってねえ』
「舞台では台本片手にうち中ピリピリして歩き回ったり、そういう一人の人間でウェーブが来るのが」
『あれなんですってねあなたは女子美にお入りになってできたらキューレッタみたいな』
「はい美術館」で働けたらなあって」
『学芸員みたいな。アルバイトをなさって』
「はい女子美の寮に入ってまして何かアルバイトをしなければなあと思って新聞を開けたときに求人欄に”タツタノ”ってあんみつ屋さんの求人があって”ああ私はタツタノに呼ばれてる”ってそこでウエイトレスみたいなことをして」
『そこで声を掛けられて女優さんにお成りになったんですってね』
「そこで声かけられなかったら女優さんにはなってなかったかもしれません」
『どこかの美術館で学芸員になってたかもしれません』
『さてこのテレビ朝日系列のドラマをやってらっしゃるんですけどあなたすごく大きい子のお母さん役をやっってらっしゃるのね』
「20歳すぎてますね」
『あなたの子供が二十歳すぎ。年齢から言うとあるのかもしれませんがあなたが二十歳の子のお母さんっていうのがすごいですよね』
「そんな時代になりましたね」
『池内淳子さんがお婆さん役ですからねえ』
「すごい時代になりましたね」
『それが村上龍さんの原作』
「”最後の家族”っていうんですけど」
『またいらして下さい』