2002年3月6日
黒柳「「サラリーマン金太郎」あれずいぶんのシリーズになってますよね」
高橋≪テレビではパート3ということで≫
「映画にもなりましたよね。だからみなさんずいぶん好きな・・」
≪おかげさまで≫
「津川さんや野際さんたちベテランの方と一緒に出てらっしゃいますけどおもしろいんじゃないですか」
≪いろいろ教えていただいてますし、ゲストの方もいろんな俳優さんが出てくださって今回は津川さんのお兄さんの長門ヒロユキさんが≫
「兄弟(長門、津川さん兄弟)仲良くやってます?」
≪はい。「お兄ちゃん」って言って入ってくんです*:津川さんが言う≫
「ここまで教えて下さってもいいのかなていう俳優としては秘密兵器みたいなものを津川さんが教えてくださる」
≪あのドラマの盛り上げ方とか、ここはこういう風にセリフをいったほうが良いとか≫
「いつか野際さんと津川さんってどういう関係か聞いたことがあるんですよ。不思議な関係って」
≪もちろん役ですよね≫
「もちろんそうです。あなたは元々歌手としてデビューしたいというのがあってこないだもCD出したばっかしなんですって」
≪主題歌で≫
「1月30日に”熱くなれ!”というCDを出されて。シングルは17枚、アルバムは8枚も出されている。でも俳優としてのほうが有名になっちゃたんですかね」
≪そうですね。アルバムを出そうと思っているんですけど俳優の仕事は割りと時間がかかるんです。ですからその間に作る時間がなかったので今年はじっくり作ってみようかなと思って≫
「でもあなたが面白いなと思ったのはテレビに出ている人が自分のおじさんだったんですって。おじさんはお母さんのいとこでなんて呼んでたの?」
≪「おじちゃん、おじちゃん。辰おじちゃん」って≫
「なんと梅宮辰夫さんが高橋克典さんのおじさん。ですからこの方(梅宮辰夫)の東映時代のことをご存じないんですって」
≪ええ知らないです。ちょうど止めたあたりから≫
*:高橋克典さんは梅宮さんの出演ドラマ「前略おふくろ様」を見て梅宮さんが芸能人(俳優)であることを知る
「”前略おふくろさま”で板前の役でしたっけ「ああ出てる」っていう感じで」
≪ええ不思議な感じでしたけど≫
「みんなテレビに出られるのかなと思いませんでした」
≪いやあーそれは思いませんでしたね≫
「ああいうのやってみたいなってその時に思った?」
*:梅宮さんに芸能界に入れないか相談しに行く高橋さん
≪そう思ったのかもしれませんねえ。で昔一度僕は音楽もやっていたんですけどそっちの方(俳優の世界)でないですかねって言ってたんですけど相談しに行ってたんですけど当時18,9で「止めとけ」と言われて≫
「ハハハ本当」
≪じゃあいいやってここまでは自分できているんですけど今考えるとその意味がわかって。その後おじさんの方には挨拶に行って≫
「ああそうですか。ご存知で」
≪逆にバックアップしてくれて≫
「じゃあアンナちゃんとも親戚になって」
≪はとこですね≫
「そうかといってあなたはトントン拍子にいったんじゃなくてアルバイトとかなさってたじゃない。そういう時は梅宮さんのとこには頼みにいったりしなかったの」
≪ええほとんど意地になって世話にはならないで行こうと思ってたんですよ。≫
「この方はある有名俳優さんの付き人をされてたんですけど」
≪友達の友達が僕が20ぐらいのときなんですけどバイト探していてある役者さんの事務所で雑用やる奴いないから僕も音楽のことに繋がらないかなと思って「やる、やる」っ言って≫
「それであなたが付き人になった方が上原謙さん。加山雄三さんのお父様ですよね。上原謙さんて言ったらスターもスターも大スターですよね。ちょうど上原さんは舞台に出てらしたんですって。非常に上原謙さんは几帳面な方で」
≪だったみたいですね。この世界の仕来たりとか郷に入れば郷に従えとかあるんですが何も知らないわけですよね≫
「ええ(笑)」
≪とにかく付き人になれといわれて「はい」って言って付き人って何やればいいかわからないし、付き人になんかならないと思ってたんですね。で黒いかっこでもってこいって(*:黒い服を着て来いと言われた)言われて当時すごい派手な絵が入った黒のスウェットの上下しか持ってなくて・・もっと地味にいるんですね付き人さんていうのは≫
「それ持ってたらびっくりしたでしょ上原さん」
≪はい、それからが間違いが始まって。あるとき楽屋に2人でいたんですね僕は座ってて上原さんはひじ付いてねっころがっててで上に時計があったんですね。チラッと時計を見て僕の顔を見るんですね≫
「うん」
≪で僕は一時何分ですとか言って。でもまた見るんですよ≫
「ううん」
≪なんだろうなって。分からないですよね。それを三回ぐらい繰り返して「ハー」ってため息つかれてちょっと時計が曲がってたんですね。そういうことなんだって≫
「ご自分でお直しになったの」
≪ええ、要するに気をまわせと≫
「付き人さんてお茶とか飴とかいろんな物をかごに入れて持ってついていきますよね」
≪要するに付き人さんは目の動きとか行動パターンを読んで何をしたいのかを読んでフッと渡すわけですよでも僕はバスケットを肩に担いで座ってたりして≫
「(上原さんも)おかしかったでしょうね今の若者はって」
*:舞台裏で上原さんをはじめ出演者の方が座って休んでいる
≪そうですねでも大スターだと思うじゃないですかでもいろいろ怒られたりしたんですよ。回り舞台で3分割されている裏で紙ふぶきをはいている人がいてちょうど上原さんと同年輩だったんですね。その人が「ちょっとすみません」ってはいて行くとみんなちょっと足をずらすぐらいなんですよでも上原さんは立ったんですよ≫
*:上原さんだけは掃除の人がちゃんとはけるように親切にのいてあげた
「ちゃんと下(床)がはけるように」
≪この人かっこいいなって思って好きになりましたけど≫
「ある日君の家に深い引き出しはないかって聞かれたんですって」
≪「ありますよ」って言ってお袋の鏡台、しかもおばあちゃんの形見なんですけど。我が家では宝なんですけど持って来てくれないかって言われて。謎ですよねで中身を出して持っていったんです。お袋も持っていきなっていってくれて≫
「なんてたって上原謙さんが言ってるんですから」
≪渡してどうするのかなっと思ったら枕にしやがったんですよ≫
「ちょうどよかったのかな」
≪頭のつぼが刺激されて気持ちいいって。我が家では宝なんですよ。返してくださいって持って帰ってきましたけど≫
「そしたらどうだって」
≪「そっか、そっか」とか言って大きい人なんですけど≫
「加山雄三さんはあなたが付き人ってご存知?」
≪いや知らないでしょ≫
「これみたらびっくりするでしょ。よく親父のところにいたなって」
≪(画面に向かって)本当に失礼してすみません≫
「上原謙さんのところを首になった理由が」
≪突然首になったんですけどその人の名前は口が裂けても言えないんですけど≫
「とても有名な方で」
≪付き人っていうのはありとあらゆる事をしなくてはいけなくて部屋の掃除から。ある時エレベーターのを全部掃除しろって言われて掃除してたんです。そしたら(エレベーターが)バーと開いてお弁当屋のおばさんが入ってきたんですね。で割烹着みたいなのを着てビニール袋をさげていて「ごくろうさん(明るい調子で)」って言ったんですね≫
「あなたとしてはいい感じでお弁当屋さんにごくろうさんてね」
≪フレンドリーな感じで言ったんですね。そしたら廊下の一番奥の部屋に入っていったんですね。奥の部屋は座長の部屋なんですね。えーと思って、出てこない≫
「弁当屋のおばさんだったらすぐに出てきますしねえ」
≪出てこないおかしいと思って人に言ったりして(通報して)。楽屋荒らしというのが本当にありますから、でちょっとごちゃごちゃしたんですね。一日稽古が終わって帰りにですねダメだしがあったんですね≫
「上原謙さんから?」
≪キャスト全員にですね。で演出の方が座長の方にダメだしをした時にパッとみたら「弁当屋のおばちゃんだ!!」って。座長を弁当屋のおばちゃんと間違えちゃって次の日から来なくていいと言われて≫
「楽屋荒らしかもしれないとか言ってごちゃごちゃしちゃったものだから上原さんの耳にも入り」
≪はい≫
「ごくろうさんと言った時から」
≪カチンと来てたんでしょうね。そりゃそうですよね≫
「割烹着みたいな服をきてたんですかね」
≪僕には完全に割烹着に見えたんですけど(会場笑)≫
「私も名前は聞いてませんからでも舞台もやり歌もやり上原謙さんと一緒に舞台をやられる方ですから」
≪もういいじゃないですか(笑)≫
「申し上げときますけど美空ひばりさんじゃないことは確かです(会場笑)。マッチがね美空さんにおばさん歌うまいねって言ったていうんですから年代が違うとねそういうことがありますから(笑)。で上原さんのところをくびになってフリーターみたいなことですからいろんなことをなすったんですってね」
≪28でデビューなんでそこまで結構いろんなことをやりましたね≫
「上原さんのところを首になったのが20ぐらいのときですから28まで8年間ぐらい金魚のえさやりとかいろんなことやったんですって」
≪犬の散歩とか≫
「犬の散歩は分かりますけど金魚のえさやりまでフリーターの中に入っているとは思いませんでしたね」
≪なんでもやるんですけどねえ≫
「でも目的ははっきりしてたんでしょいつかは歌手になってやるぞって」
≪そうですね≫
「でも8年間やってたら段々あれですよね」
≪でも全然疑問を感じたことはないんですよね。まあ多少は揺れた時期はありましたけどなんかその生活も楽しかったし≫
「女の子はスカウトされたりするけどスカウトは?」
≪まったくなかったですね。ホストクラブにスカウトされたりはありましたけど≫
「ああそう」
≪なかったですね≫
「デモテープをレコード会社に」
≪ええ、いろんな所に送ってそれで拾ってもらったんですよね≫
「音楽家になろうと思ってたけど俳優も一緒にっていうことになって」
≪CDデビューがきまって2年間で契約一回だめになって2年間何も動きが取れないときがあって≫
「それもまた心配な時期ですよね」
≪そうですね。でも2年経ったらまた契約が決まって2ヵ月後にドラマやってみるかって言われてでも芝居なんかやったことないし一生懸命バイトやりながら劇団やっている奴もいるしでもやってみようと思ってやってみたんですけどそっからですね≫
「ドラマやなんかであなたのことを見てた人は劇団からきた人なのかどっからきた人なのかと思っている人もいると思うけどいきなりみたいな感じで独学みたいな感じで俳優に」
≪そうですね≫
「でもそれまでのあなたの人生経験が役に立ったんじゃないですか」
≪そうですねそれと僕は出会いの運に恵まれていて本当にいい人たちと知り合うんですよその人たちのお陰で年上の人もそうですし同い年の連中もそうですし年下の奴らもそうですし≫
「そうですよね。いまやている熱血のサラリーマンの役はあなたに当てって私も会っていると思うけどあなた自身も当ていると思ってるでしょ?」
≪そうですね(ううーん)作ってますけどねえ。好きですよ≫
「でもこんなことではダメなんだと奮い立つような映画に出演されたそうなんですけど20年前に”竜二”という映画があってヒットした映画でその主演の方が出来上がってちょっとしたら亡くなられて金子正次さんていうお若い俳優さんで松田優作さんみたいな方で」
≪松田優作さんとすごく仲が良かったかたで≫
「33歳と11ヶ月で亡くなったっていうから」
≪松田優作さんが普段からいろんなところに連れて行ったりすごく認めていた方なんですけど≫
「なくなってからたくさんの賞を受賞されて。その映画をまた」
≪”竜二フォーエバー”というやつですね。竜二の焼き直しではないんですけど監督のホソノタツオキさんと言う方が役者の話をやりたいと僕も好きであがってきたんですけど≫
「前の”竜二”は金子さんが自分で脚本をお書きになってお友達のカワシマトオルと言う方が監督をされた自主制作の映画だったんですね」
≪そうです≫
「今公開されているんですね渋谷のシネアミューズで公開されているんですけど彼は(金子さん)松田優作さんにあこがれていい俳優になりたいと思ってた役を今やってるんですよね。せいこうするといいですね。ありがとう」