本日の徹子の部屋ゲストは表博耀さん

2002年5月22日

黒柳「表博耀(ひろあき)さんです。着させていただいているものは新しいタイプの内掛けなんですが全部技術は日本の伝統的なんですね。」

≪そうです≫

「今着させていただいているものは彩四季と言って日本の四季折々でございます。まず近いところから袖から」

≪ええと・・葡萄がありまして≫

「葡萄の季節は」

≪秋ですね。≫

「しかもこの刺繍は本当にすごい方たちが刺繍」

≪そうですね。≫

「ごめんなさいせっかくですから春から行きますかね。」

≪春は菊ですね。袖のところにある菊の文様。それで初冬というか背中にあるのがうぐいすになっています。≫

「背中がうぐいす・桜など。またこの刺繍がぼかしになっていまして・・・桜じゃないですね梅ですね失礼いたしました。」

≪裾の方がひまわりという着物には珍しい刺繍なんですね。≫

「ひきずっている部分と前の部分なんですけども。」

≪ちょっと西洋的にも見えるんですけどもこうしてみると非常にマッチしているかなって。≫

「春の梅にうぐいすのところに額縁状のものがあって額縁のジが皮ですって?」

≪バックスキンですね。宮中の祭式の時にですね靴とか襟のところにですねよく使われたもので皮が使われておりました≫

「で夏がひまわり。ひまわりは新しいとおっしゃいましたが現代的なものを伝統的な刺繍で表現。それで葡萄が秋」

≪そうですね≫

「そして袖の菊が普通は秋。冬にもかかっている。本当にすごい刺繍ですよね。こういうことができる技術を持った方がまだおられる」

≪おられますねえ。伝承していく事がむしろ日本にとって大切な事なんです。技術はお金で買えないんでねえ本当は国が守っていってくれればいいんですけども。私達ががんばってるんですけども≫

「そうすると普段はこのような手のかからないものをやっていかれてると」

≪そうですね。売れ筋のものはどうしても低価格なものになりますのでこういうことを薦めていくには産業界や国からも押していただいてかなり力をいれていただかないと育っていかないと。≫

「ここもバックスキンでこの模様もなにか?」

≪私が良く使うんですが縄文唐草といいましてのちのアールヌーボとかで西洋で進化していくんですがやはり西洋にインスピレーションを与えた日本独特な文様でございます。≫

「アールヌーボといえば外国から出たものとしか思えませんけどね。」

≪第二次世界大戦以降に日本人は全部入ってきたと思っているので私はパッチワークみたいなのを良くやっているんですけども日本に本来縫い合わせ胴服といってるんですけどもあったと≫

「日本が本当は外国に影響を与えてるんだけども」

≪そうなんです。そこを知っていただきたい≫

「で次の内掛けなんですけどもアルバートミュージアムに。あそこに収蔵されるという事はね大変なんですけどね」

≪王立ですからね。私も存じ上げなかったんですが非常に素晴らしい事だと。≫

「これは収蔵されたものですからここにはないんですけどもこの内掛けは旭日菊花光輪というものです。あれは全部パッチワークなんですか?」

≪そうです。これは縫い合わせ胴服といって室町時代に上杉神社に所蔵品がありますね。≫

「でもあれですねパッチワークというものは外国から来たもののように思いますが縫い合わせ胴服」

≪要するに着ていますと肘とかが擦れてきますでしょ。いいところを合わせて昔の人の知恵で作ったと。≫

「縫い合わせ胴服ということで昔からある技術なんですが今もこれをおやりになる方がいらっしゃる?」

≪できるんです。着物の本来の技術者はこれくらいの事はできるんですね。≫

「でもすごいでしょ私達は金襴緞子(きんらんどんす)といいますけども金襴ジというものだそうで全部織物でヘリの方のほつれてくる始末が難しいそうですけども。今日お越しいただいた表博耀さんはいろいろな事をされる方で美容師でもいらっしゃる」

≪ええ本来は美容で店もやっておるんですが。≫

~外国でのショーのVTR流れる~

「向うの方はびっくりなさいました?」

≪私がやってる作品は京都辺りでは斬新過ぎると今はいい形になっているんですが。向うの方々はむしろ日本的だとおっしゃってくれます。とらえ方が違うんですね。もう少し日本人は変わっていかないと時代が変わってるんですから≫

「いろんな方の技術を残していきたいということで」

≪そうです。日本には素晴らしいものがるのにですねちゃんと伝わってないんですね。向うでは歌舞伎・能などのあるものばかりで話をしているのでこういう形で必要な日本ということで世界に像が浮かんで来ると思うんです。そうするとこれからの日本のありようがはっきりしてくると思うんです。≫

「京都のかたも斬新過ぎるとおっしゃってましたがこれだけ技術を使っているので」

≪段々ご理解をしていただいている最中です。≫

黒柳「表さんの肩書きはデザインプロデューサーというちょっと難しいんですけども日本の伝統工芸を現代に復活させようということで」

≪デザインをプロデュースしていると。≫

「もう1つの方の内掛けをみていただきます。」

≪これは”妖炎”といいって炎をイメージしてつくったんですけども。これは舞台衣装なんです。今年また韓国で舞台をやるんですけどもその時にこれを使おうと思ってるんです。≫

「これは最初に生地をごらんになるんですかそれともどういうところから(作っていくんですか)?」

≪僕は基本的にデザインは降りてくるものと思ってるんです。考えてはダメです。人間の知恵で考えるものとか曲も自分でやってるんですけども曲も降りてくるものです。そのために自分を磨いていく事が肝心じゃないかと。ま無になってやるのがいいんでしょうね≫

「遠くから見ると炎みたいなんですが近くで見るとすごいですね。日本のものって色が不思議なものですね。綺麗で繊細で」

≪これは面白かったのはロンドンで最も日本的と言われたのはこれなんです。京都ではなんじゃこれと言われたんですけども世界から見てる日本というのはきらびやかなんです。”わびさび”ばっかし言ってますけどもね”わびさび”も限度を超えるとあとは終っていくんですね。≫

「昔はジパングというと黄金の国と言われたそうですから」

≪そうなんです≫

「悔しいんですってねえ向うのブランドブランドって」

≪いいと思ってるんですね。みんな≫

「いいものもありますけども伝統的なもので新しくしたものがブランドになるのが一番ねえ」

≪そうですね≫

黒柳「まあ非常にお若くていらっしゃるんですが表さんはですね日本には素晴らしい伝統があるんだからこれを絶やさないように」

≪そうですね≫

「外国の人にも見てもらってどんなにか素晴らしいという事を昔のものだけじゃなくて新しくしたものを見てもらいたいと言う事でこういうことをやってらっしゃる。」

≪パリの美術館に行ったときに日本の仏像で相当なものは全部向うにあるんですね。修復しないといけないと言う時に金箔師がもういないんです。世界の死活問題になっているのに日本の側はもうちょっと力を入れて実務的に進まないと≫

「そういうことをやってる方がいらっしゃるわけですからそういうところにお送りして全部直していただかないと」

≪それがいなくなってしまうとお金を払って直せますかって言うともう無理なんです。地道にやっていく団体がないとこれはもう世界の死活問題やと思います。これを失うのはもったいないと思います≫

「今年は韓国交流年でありまして」

≪日韓交流年ですね≫

「それで日本でまたパフォーマンスがあるそうで」

≪韓国の国立劇場で”ウル王”。リア王の韓国版ですね。6月に大阪の国際交流センターにきます。≫

「6月に行われる舞台に衣装は?」

≪私どもがオーガナイズするという≫

※刺繍されたかばんが登場

「ここにお持ちいただいたのが豊岡市」

≪豊岡ですね≫

「柳ごおりの」

≪柳ごおりの産地なんですね。柳ごおりからかばんができたんですね。豊岡は日本一のかばんの産地になってますが柳ごおりがなければ日本のかばんは立ち上がらなかった≫

「こういうのがブランドにならないかと」

≪そうですね。それは提案していかないといけないですね。ジーンズに金襴ジとかね≫

「ジーンズに金襴を使ったら外国人もとっても面白いと思いますけどね。そういう風にして日本のお着物を作る方たちも仕事が減っていって倒産していってるのでねなんとかこの大事な日本の遺産を世界にと言う事で表さんは今本当に心血を注いでやってらしゃるんですが」

≪十数年やっておりますのでやっと脚光を浴びてまいりました。日本をモチーフに私は運動していきたいと≫

「この方の情熱がお分かりになったと思います。日本にはこれだけ美しいものがあるんだからそれを何とかこの技術を外国の方に知っていただきたいと言うのがこの方の使命で」

≪そうですね。世界各国からちょっとづつ引きがきてますのでまた来年度はフランスとかですねオファーが来てますのでこれから世に出て行くと思います≫

「そうですか本当にありがとうございました」

≪こちらこそ≫

「表さんでした」

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