本日の徹子の部屋ゲストは二葉あき子さん

2002年6月25日

黒柳「二葉あき子さあんです。戦後すぐに大ヒットの”夜のプラットホーム”。今日は特別に歌っていただきます。ヒット曲が大変多い方です。88歳。現在歌手の中では最長老で」

二葉≪いつのまにかね。みんな早く死んじゃうのね≫

「そんな事もないと思いますけども」

≪みんな早く死んじゃうの≫

「そうですねみなさんいらっしゃらないので最長老。でもいつもおっしゃってるのは心さえ生きていれば歌を歌えると」

≪歌はいいからね死んだら損しますよ。もっと歌わないとね≫

「こういうことで元気なんだと思いますけども。そいで恋もなんでもしなければならないと」

≪恋はしてないとね。Hはしなくてもいいからね≫

「今Hとおっしゃったのでびっくりしたんですけども精神的に誰かの事を愛している事は必要だそうです。Hをすると腰が抜けちゃうとおっしゃったのは本当なんですか?(笑)」

≪88になるとやばいですね≫

「とにかく今でも恋をしてらして相手の方が29歳。」

≪あら、どうしてしってんの≫

「その方は歌手の方で?」

≪会いたいんだけどねあの片思いなの≫

「「私のこと好き?」って聞いたことがあるんですって?」

≪「好きです」っていうからこんなになっちゃった。指輪のビーズを貰ったの。500円ぐらいだろうけどもね≫

「ビーズの指輪を大事にしてらっしゃるんですけども、会えないと会いたいなってお思いになるんですって?」

≪会いたいなあ~声を聞きたいなってー電話頂戴って言ったら振られちゃった。≫

「あら、ダメだったんですか。とにかく片思いだろうとなんだろうと恋をしてないと声がかれちゃうんですって?」

≪みんなも恋をしてたほうがいいわね。人を好きになることね恋って言うのは。お医者さんに聞いたの異常なんじゃないですかって。大丈夫だって。男の人も若い女の人が好きですって。≫

「29歳の人を好きになった時にすぐに病院に行って私変でしょうかって、いや変じゃありませんって。若い歌手の中には氷川きよし君もいて氷川君もかわいいなって思ってるんですって?」

≪うん、そうなの。氷川きよし君はね「先生、いつも元気でいてくださいね」って言うの。この前もこにきてねしゃがんでね「先生元気ですか?」って言ったの。頭をなでて「いい子、いい子」てなでたらビックリしてね≫

「でも氷川君に脚は大丈夫なのにわざと手をもってもらったりして」

≪やっぱり男の子は可愛いね。あなたはどう?≫

「そうですね・・・男の子可愛いまではいってないかもしれないですね。男の人・・・」

≪あなたは若いから。≫

「でも手を取ってもらうという気持ちは分かりますよ。若い人と手をつないだら気持ちがいいですから。それにしてもお元気な方でコロンビア(レコード会社)に所属してらして前はコロンビアの向かいのマンションに住んでらしてコロンビアが営業上手くできてるかどうか毎日コロンビアに出かけてらしたんですって?」

≪あの67年いるんです。社長さんは孫に近いぐらい若いの。コロンビアは土曜日と日曜日お休みなの。そしたら私寂しいの。普通の日は朝起きるとコロンビアに行くの。コロンビアが好きでしょうがないの≫

「一貫してコロンビアなんですか?用がなくても行ってお茶なんか飲んで帰ってくるそうなんですけども。本当は広島出身でもしかしたら原爆にあっていたかもしれないんですって?」

≪原爆の前の日までお仕事があって6日の朝早くに起きて松江の方へ行く汽車に乗るのにその乗る汽車が遅れてたので乗れて、乗って10分ぐらいした後にトンネルがあるのトンネルに入った後にバーンとなって体を叩かれたみたいになってなんだろうと思ってみんな黙ってたの。その時に広島はピカドンでたくさんの人が亡くなったのね。≫

「実はその時にお子さんがそっちにいらして、お子さんを預けてあったのを受け取りにいこういと思ってその汽車にのってらして広島で公演をされてその後汽車乗ってトンネルに入ったときに原爆が落ちたんだけどもみんな気付かないで爆心地から5キロのとこだったそうなんですけども。それで無事に松江にお着きになって。その後」

≪終戦までいました。≫

「広島の事はあちらでお聞きになって?」

≪母が行きましてね。母は私には行かない方がいいって見せませんでした。だから後から聞いて寒気がしてね。本当に運命の時間って恐いですね≫

「そのトンネルの中にいらしたということで命拾いなさったわけですけどもその分長く歌い続けると」

≪私はねえ生き残った事がむしろ罪悪感みたいにね私が逃げちゃったみたいにね。もう・・・≫

「友達も学校の先生もなにもかも亡くなりになったそうですものね。」

≪その後で声が出なくなったり苦しい時にそれを思い出して「ああ、死にたくなくて死んだ人がいると。わがままを言わずに歌を歌う」って~二葉さんが歌われている時のVTR再生~フランチェスカはねえあれから何十年も歌ってるけどねえやっぱり歌うたびに胸がどきどきして切ないです≫

「あれは歌の中にもそういう意味が含まれてるんですよね。本当にいろいろな事があった88年ですけどもあと2年で90なんですけどもこんあに長く歌い続けてるっていうのはご自分でもビックリなさってるでしょ?」

≪むしろいなくなって(亡くなった)人のほうがビックリしますよね。相談しないで居なくなっちゃうのね。≫

「みなさんご存知の”夜のプラットフォーム”。戦争が終ってすぐの昭和21年にレコーディングされてずっと長い事歌い続けてらっしゃる歌を今日はスタジオで歌ってくださるとのことですけどもよろしいですか?コマーシャルを挟みまして歌っていただきます」

≪≫

黒柳「」

二葉≪~”夜のプラットフォーム”を歌われました~≫

黒柳「どうもありがとうございました。14年ぶりに実は今お歌いになる前に申し上げなかったんですけども風邪をおひきになったんですって?」

二葉≪はい、あのあなたに会う前よりもずっと昔にひいたことがあってねぜんぜん風邪を引かなかったなの。風邪を引いちゃたのね。今朝の今日9時までは風邪の患者でね、封印してきたの「あなたの風邪はここで終わり」って。これから元気で行くんだからね≫

「ちょっとかすれ声でも大きい声が出る事はすごいと思うの。歌詞がねしみじみ歌ってらっしゃるのを」

≪2度と同じようには歌えないの。舞台のときはねスポットが当たってもねえ真っ暗になってプラットホームになるの。その時にね最高のリズムにね心が乗っちゃってね私がいなくなるの。歌が私から出て行ってね、私が居なくなっちゃったって言ったららば会社の村松ちゃんというひとがそういう感じだったって。それから面白くなってね歌が。自分がいなくなって醍醐味ね≫

「あの二葉あき子さんは芸大を出て師範科をおでになって1年は教えないといけないということで1年は生徒さんに教えてたんですけども今の曲は服部良一さんの曲だったんですけども、(二葉さんが)段々低い声になってきてどんな風になっても歌えるように大丈夫だからという事で今の曲を作ってくださったんですよね」

≪夜のプラットフォームは淡谷先生がいらしたときはあれは淡谷先生が歌ってらして他所の会社にいらっしゃったから私が歌わせてもらっているんですけどもって前置きしないと機嫌が悪かったの。≫

「そうだったんですか。昭和33年に紅白歌合戦の時に綺麗な声で歌われてたんですけどもこの低音の歌を歌われて」

≪私はねえあの”いろ”のような声を出して歌いたかったりねえ、”はもの”のような声を出したりいろいろしたの。でね凍てつけるような冷たい星の出始めね声を出そうと思ったら無理でね≫

「在学中ですかね教育レポートというのをねお出しになったときの声が今でも残っていて”4つ葉のクローバー”とかねいろんなものをやってらっしゃるの。その中で”ビロードの月”というのがあってそれを当時歌ってらしゃるままのレコードが在りましたのでちょっと聞いていただいて~レコード再生中~かわいい可憐な声」

≪無理をしないで何にもしないで出る声。そういえばあなた(黒柳さんも)も高い綺麗な声が出ましたねえ≫

「いえいえ。ただ昭和33年で紅白歌合戦で”夜のプラットフォーム”を歌われた時に私は司会をさせていただきましてね。最年少の司会者と言われてその時だけが新宿のコマ劇場でやらしていただきましてその時がこういう低い声でうたいになった最初だったそうですけども。とにかくいろんな声を出したいとおっしゃったんですけども、あの恋愛の話なんですけども22歳の時に大恋愛をなさったんですけどもそれは反対があったんですって?」

≪あらあ恋の話。もういいよ≫

「でも最初に恋をしてなきゃだめって。でも過ぎ去った話ですからね」

≪花吹雪の落ちる道を歩いていくようなもの人生は。恋がtらくさんちってんの。若くてね、夢があって、元気があって、希望があってそこを熟年まで歩いていくの。その時に花びらが落ちたのが肩に止まったんでしょう。でも落ちたからひらわない。また前に進んでね行く。今枯葉が落ちてんの”わくらば”が落ちると友達の足音が消えるの。また”わくらば”が落ちるとねえ友達がいなくなるの≫

「でもお母様はとにかくあなたは歌の道を選んだんだからとにかく歌いなさいって。結婚なさるとかなんだとか言ってもとにかくあなたは歌手になるといったじゃないのって、お父様の反対も押し切って芸大に入ったじゃないのって言うようにお母様はいつも味方になってくれて。今でもお家をおでになるときは「お母ちゃん行ってきます」って」

≪今でもねえ今日は風邪引いてるからお願いねっていって行ってくるの。帰ってくるとお母ちゃん、お母ちゃんって今でも呼ぶの。この辺に居るみたい≫

黒柳「でも二葉さんはいつも無邪気に楽しい話をしてらっしゃるんですけども、戦争中と戦後にかけてご兄弟5人でいらっしゃったんだけども3人弟さんと妹さんを亡くしになったんですって?」

二葉≪男の子は生まれてすぐに亡くなって。弟が居るだけ≫

「5人兄弟の3人が居なくなって弟さんが今いらっしゃる。だけどもすごくお元気で息子さんも大きくなって。猫を今3匹かってらして。猫可愛いんですか?」

≪1匹かってたんですけどもお腹が大きくなってねよろしく頼むって外に出かけようとするんです。出たら最後で私は探しにはいけないよって≫

※二葉さんの家で飼っていた猫が妊娠して3匹の子猫を生んだ。産んだ後母猫は二葉さんの家から出て行ってしまい残された3匹の子猫の面倒を二葉さんが見ている

「猫がそう言ったんですか?」

≪出て行ったの。子供を3匹頼まれちゃったからね。しょうがないからねかってんの≫

「お母さんは帰ってこないんですか?」

≪お母さんは帰ってこない。猫の仕来たりみたいね子供を頼んで出て行くっていうのは≫

「二葉さんに頼んで?」

≪ニャオニャオって言ってね≫

「面倒をみてらして。ますます歌い続けてください。ありがとうございました」

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