本日の徹子の部屋ゲストは加藤登紀子さん

2002年7月2日

黒柳「まあいつもお元気で何よりなんですけども結婚生活は30年なんだそうですけども歌手にお成りになってからは」

加藤≪36年。だからもうまあ歌手生活のほうがながいっていうか≫

「東大であなたが東大って言うのは今は東大を出て女優さんになった方もいらっしゃいますがあの頃東大を出て歌手になった方は結構少なかった時代だったから」

≪まあ1年は持たないよって言われましたが、それはそれとして結婚した時に歌手としてやりたい事が全部できるのかって疑問に思って、だから女として結婚して一度の人生をやり直すっていう気持ちがあったのね。歌手じゃないことでなんかやれたらなっていいなって思うぐらいだったんですけども、実際子供ができて今まで考えもしなかったような子供との時間を過ごした時に自分のためにも歌わなければって思って他の何をやってももったいなくて大急ぎで歌手に戻ってしまったというか≫

「そのときから36年」

≪それからの方がオリジナルもたくさん書くようになったし、あの歌うっていう事が私の中で大事な事になったような気がして辞めなかったんだと思う。たまたまその今のUNEPという国連環境計画というのが作られたのが72年で私が結婚した年なんですね≫

「じゃあ長女身ごもった頃」

≪ちょうど地球の上にSOSを発信したのが私が結婚した時だったんですね。私が子供ができて母乳を飲ませる頃にそのPCBが混じってるって、何倍にも凝縮されているっていうので大問題になった時で≫

「ポリエンカビウェニールといっていろんなものに含まれてるって。それが母乳に出てくるんじゃないかって心配だったんですけどもお嬢さんはお元気でお育ちになってるようですね」

≪そうですね今歌手として活動している≫

「その2番目は何歳ぐらい?」

※加藤さんは3人の娘さんがいる

≪26です≫

「長女がもうすぐ30。さっきも言ってたんですけどもなんか加藤さんは東大を出て歌手になってご結婚の時もいろんなことがあってねもう本当に大変だったそうなんですけどもお子さんをお産みになったというのがねそんなにね昔のようなことのようには思えないのね。それがもう30年ということになるわけでしょ」

≪もう3人とも家を出たんで≫

「一番下のお嬢さんは結婚されている。3人娘、3姉妹」

≪まるでね元に戻った感じで≫

「じゃあご主人と2人の生活。」

≪そうですね。≫

※加藤さんと2番目の娘さんの写真が登場

「ちょっとごめんなさいこれは何番目のお嬢さん?」

≪2番目でYae(やえ)って言う名前で。≫

※Yaeという名前で歌手活動をされている

「Yaeという名前の歌手の方がいらっしゃったら加藤登紀子さんの娘さんなんですけども。どうですか歌手としてお母さんとしてあなた見てらして?」

≪やっぱり似ているところもあるのですごく気になるんですね。似ないで欲しい≫

「顔が綺麗」

≪顔が綺麗(笑)。あの似ないでほしいということから少し距離をおきましょうという事で最初の頃は一緒に演奏したりとかもあったけども今は完全に1人で音楽活動をして去年今年とレコーディングをして≫

「上手く行くといいですね」

≪違う発見が。でも民俗音楽がすごい好きでとてもそういうところが似てるなって≫

「ご主人は無農薬の野菜とかを作ってらっしゃいましたね」

≪あのー彼が最初に家紺生活をして彼が出所してき手がけた事が無農薬の野菜を共同購入するっていう今大変なポピュラーになったんですけどもそれを初めて立ち上げたんですね。それで生産する人の側に立ちたいという事で千葉県のカモガワに農場を持ったりして、身をもって自分の中の環境と自然の中で生きたいということを作ってきたんだけども今やっと農業基本法というのが数年前に変わって無農薬を作るお百姓さんをちゃんと国として推薦するという時代がやっと来たんですね。いろいろな意味で時代の転換期になってやっと今まであの時は手を取り合って乾杯したんですけどもやっとねっていう気がしてるんですね・・・≫

「ちょっとごめんなさいさっき”出所”って言葉が出てきたんであなた(加藤登紀子さん)のご主人を何も知らない方はなんであなたは出所した人と結婚したんだって思うかもしれないので」

≪そうですね68年学生運動のリーダーでですから3年8ヶ月ぐらい≫

「ずいぶん長いわね」

≪大変厳しい事と思います。その間に最初の娘が生まれて、で最初の娘が1歳9ヶ月の時に彼がやっと自由の身になって≫

「そういことが新聞で報道された時期があったのね。それから30年経ってるとは思えない感じがするのね」

≪時代がやっと私達のまあ願ってきた方向に行くんじゃないかって期待があってね、UNEPの仕事をさせてもらうようになってねあのとても私は張り切ってるんですけどもね。私がアジアをねタイ、インドネシア、モンゴル。今年は韓国に行きましてね≫

「主に環境の事を見てらっしゃる」

「バリ島でついこないだヨハネスブルグの今年サミットがあるんですけども。その前に予備会議があったんですね。バリ島に言ってきたんですけどもアジアっていうのはねえこの20年間ぐらいの間にものすごく変わって。その間に森の50%ぐらいがこの20年間ぐらいの間に・・・このアジアは木は絶対に守りましょうって言うのがあるでしょ宗教的にも。バリ島で見つけたのが大きな木にはね必ずお祈りする場所が必ずあるんです。」

※南アフリカのヨハネスブルグでサミットがある。その予備会議でインドネシアのバリ島に行かれた

「木の側に」

≪木の側に幕がかかってるんです≫

「何色?」

≪黒と白の格子模様になってるんですね。黒と白の格子模様には意味があっていい神様と悪い神様同じ分だけいる。どっちが多くてもいけない。かならず神棚みたいなところには幕がかかってるんです。私達の考えからするといい神様が悪い神様をやっつけてしまえばいいと思う。だけどヒンデューでは同じ数だけあらわそうと。木の周りにねどうして全部(幕を)してあるんですかって聞くとヒンデューではどうしても人間はおろかなものだから大きな木があると切ってしまいたくなる。切ってしまわない様に必ず大きな木下には社(やしろ)を作っているんです。あそこは周りは回教(イスラム教)なんですけどもバリ島だけはヒンデューでそこの島だけは守りましょうって≫

※回教=ウイグル族を通して中国に伝わり回回(フイフイ)教と呼ばれた所から

「回教って言うのはイスラム教ですねえ。」

≪そうですねたくさん神社をつくって守ってきたんですね。私はアジア全部いろいろなところに行って見てつくづく自然が美しいなあ~ってねえ。インドネシアの山の方にも行ったんですけども竹で組んである全てが竹とか木とか土とかそういうものだけで作られた家があってそしてまだ電気が無いというところも行ったんですけどもそういうところの暮らしっていうのは・・・私達が言っている持続可能な環境に対して持続可能な生活をしていきましょうって言ってるんですけどもアジアの昔ながらの生活というのはまさに本当に自然と同じ。いい神様と悪い神様とのバランスをとるというのも多分人間も自然も一生懸命バランスをとりながらその悪い事があったらばいい事があるようにっていう風にしてきたっていう考えで日本人の私達には馴染みやすい考えで≫

「でも文明の進み方は早いからインドネシアでも必ず土に戻るからそこに置いておいても戻るていう考えだったんですねえ」

≪そうですね。社のとこに毎日葉っぱを編んで祭るんですね。それを全部社のとこに捨ててあるんですね。こんな綺麗なところに捨てていいですかってきいたら全部土に帰るからいいんだって。これはアジアだなって思って。でもその生活の中にビニールが入りビンが入り汚く残っちゃうんですね≫

「昔から土に戻るって決まってるからそれがプラスチックだろうとビニールだろうとそこに捨てる癖があるから戻ると思うけども永久に戻らないものなんですね」

≪それでアジアって言うのは独特の感覚を持っているから大事なんだけどもその危険性もある。私”3匹の子豚(童話)”を子供に読み聞かせている時に「あ!!」と気が付いたのはこれおかしいんじゃないかって。藁(わら)のお家ダメです。木のお家ダメです。レンガのお家を造らなければダメですよって言ってるでしょ。あれはアジアの暮らしって言うのは藁であり木でありね≫

「アフリカもそうですよね」

≪それは完全に自然に戻っていくものじゃない。(土)戻っていく物と暮らすというアジア的、アフリカ的かもしれない、ヨーロッパ以前の生活の風習の美しさというのが私今価値を高く考えないといけないんじゃないかと≫

「今日本でも紙にするのにパルプや何かをどんどん買うじゃない。そしたら木をどんどんお金にしたいから切っていくでしょ」

≪これはグリンピースの人がいってるんですけども80%は日本の森で自給できるはずの森がありながら輸入産に変えていくから日本の森がダメになり世界中の木を切っていると非難しています。これはねえ大事な事だと思う。日本の森が日本が使わないためにだめになっているというのは大きな問題です≫

「自然保護基金(WWF)の評議委員というのもしてるんですけどもそういうところの木を切ってしまうとそこに住んでいるオラウータンやなんかが行き場所がないと。ウロウロしちゃうのをお金をかけて他の木のところに移動させなくてはいけない。そのお金をWWFが払うとしますよね、でも日本の人たちはWWFにお金をなかなか出してないわけね世界に比べたらものすごく少ないわけね。やっぱり自然保護基金みたいなところにお金を出すという。日本がどんどん買っちゃってどんどん木が少なくなってそういうところの動物・植物をなんとか守ろうというところなんですからそういうところもケアしていただくといいと思うんですけどもね。考えないと世界がだめになっていくんでね。だってエチオピアって私も10年前に行ったんですけども前は国の100%ぐらいがグリーンに覆われてたんですって今は3%ですよ。今は3%しか木が無いんですよみなさん。」

≪だからCWニコルさんがエチオピアのレンジャーだったんでしょ国立公園の。その時は森があったと信じられない沙漠になってと≫

「そうすると干ばつが続くということですし。ただ私達は電気やガスがあって物を煮炊きして食べるんですけどもあそこの人はそういうものが無いから薪にしてね木を切ってしまって、寒いから暖を取るのに全部木を切ってしまったでしょ。だから早くそれに気が付いて木を植えればね」

≪昔は宗教で戒めとかがあってちゃんと暮らしなさいよっていうのがあったと思いますけどもそういうのが消えていくと≫

「寒ければ仕方ないし、穀物を煮炊きするにも木しか無かったんでねそれが今のアフリカの砂漠化に繋がってるんですけども。あなたに今日は珍しく歌ってくださる事になったんですけどもこれもお作りになった歌なんですけども」

≪これは今年の1月1日に作った曲なんですけども”宇宙船地球号”という番組が≫

「このテレビ朝日で」

≪テーマ(曲)として流れてるんですけども。去年と今年南アフリカのミュージシャンを日本に呼んでツアーをしてるんですけどもその彼らとレコーディングをした曲なんで今日はいっしょに歌ってみたいと思うんですけども≫

「加藤登紀子さんの今思ってる自然とかが全部こめられた曲なんでめずらしいんですけどもスタジオで歌っていただくんで楽しみにしております。よろしくご用意をいただいて加藤さんの歌です」

≪≫

~加藤さんの歌~

黒柳「どうもありがとうございました(拍手)ずいぶん長い曲なんだけども本当にメッセージがたっぷりこめられていてこれからツアーをなさるんで」

加藤≪それで日本のツアーが終って8月の末にヨハネスブルグでコンサートがあるんです。さっき出た日本の森の話≫

「グリンピースの人の話」

≪グリンピースの人がいったって言う話じゃなくても私自身が千葉県のカモガワに住んでるんですね。20年くらい住んでるんですけども最初はねえ緑が気持ちいいんですよ今もいいんですけども。でも山の中にあちこちにはいってみると昔はねこんなに荒れてなかったのにって。もちろん私の山じゃなくて地元の山なんですけども雪がちょっと降った年には木がボキボキ折れている≫

「えー。」

≪ちょっと台風が来ると今まであった道がゲボッとそげて全く道がなくなっていたりとか。本当に神のたたりかというぐらいの荒れ方をしてるんですね。聞いたら間伐をずっとしてなくてこんな狭いところに植えたままの杉の木が植えたままになって、本当は育てて売るつもりでいたんだけども輸入材の方が安いから日本では林業というものはほぼ無くなってしまったんですね。私達は「わー緑」ってうれしいわけなんですけども中に入ってみるとすごくもったいない事になっている≫

※間伐(かんばつ)=森林で主要な木の育成を助けるために不要な木を切り取って適度な間隔をつくること。

「自然な状態ではないわけね」

≪一度手をかけた森って言うのはその後も手をかけないとダメだっていわれるんだけども、その意味でも日本はこんあに自然が豊かで素晴らしいのにすごく壊してしまってるんですね。≫

「雪が積もって木がボキボキ折れるって恐い事ですよね」

≪アジア全体の問題で生活できない人が増えるのは農村が疲弊したり漁業ができなくなったりそして人間が都市の方に都市の方に来て。日本が一時過疎化して農業が衰退して漁業が衰退して本当に専業農家っていうのがわずかしかいなくなってしまって今から有機農業をがんばりたいと思ってもものすごく手間隙かかる農業ですからやっぱり専業農家の人が増えないとできないし。でも今転換期だとおもうんですねもう一回農村に帰り山を守り少しでもいいから海をもうちょっと埋め立てをしてしまったのでしんでしまったんだけども海は広いから大丈夫だって思ってたんだけども海の魚たちは海から300メートルぐらいのところがどういう状態になっているか陸との間ですねそこの間でほとんどの命が決まってしまう≫

「あのたけしさんのお兄さんの北野(大)さんがその事がご専門で1杯のおみおつけをいらないからって捨てるわよねえ。そうすると1杯のおみおつけを捨てただけでお魚がちゃんと住めるようになるにはお風呂桶5つ分必要なんですって。そりゃあもう大変な」

≪そうですね汚染していると≫

黒柳「そんな風に環境の事あっちこっちみてらして旅もしてらして」

加藤≪去年琵琶湖に集中したのね。でオキ島っていう漁師さんが生活している小さな島に何回も泊まりに行ってそしたらね魚が取れて取れて素晴らしかったんだって。30年ぐらい前までは≫

「前までは」

≪私も船に乗ったんだけども1時間もかけて入れていくような大きな網ね。そこにこれくらい(手のひらぐらい)しか取れないんですって。でもこの漁師さんは一生懸命取れるところを探して私を案内してくれたんですね。それでね琵琶湖は水を綺麗にしようとしているところなんだけども魚が減ってる。漁師さんに言わせると水が死んでるのさって。それは1つはあそこを水がめにしてしまったために流れがなくなってしまった≫

「下がへどろになって」

≪私達の生活の仕方が恐ろしい結果になってるなっていうのが事実なんですね。私ははっきり時代の転換期だから大きいものはいい物だって言うんではなくて小さいものがいいものであり豊かなのがいい事であるということを生活の中では逆転させて、物を使い捨てさせない暮らしを≫

「まあねえ。後戻りはできないというのもそうなんですけども、みんなが少しづつでも気をつけるとだいぶ違うんでしょ」

≪それを楽しみたいと思う時代の転換をね。≫

「そういうときが赤ちゃんが生まれた時である、結婚した時であるそして国連環境計画ができた時である。そこの親善大使にお成りになったのは不思議な時ですよね」

≪まあ大事な仕事ですね≫

「がんばってください」

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