2002年9月4日
黒柳「安奈淳さんです本当にしばらくでございました。宝塚の男役のスターのときは”風とともに去りぬ”のオスカル・・」
安奈≪え!あれは!≫
「ベルバラのオスカルです。みんな一緒になっちゃてるんですよね。オスカルっていう人は女の人で男装してるって言う不思議な役でしたね。」
≪(※ベルバラの当時のポスターが登場)ああ!赤い方で。≫
「初代のオスカルですよね」
≪いえ初代はこちらにいらっしゃるハルナユリさんです。オスカル編になって私が≫
「オスカルが主役になって。今度は風とともに去りぬのスカレットオハラ。あれですよね両方なさる方はすごく珍しいと思いますよね」
≪そうでもないんですけども≫
「でもスターで両方って言うのがやっぱり男役で素敵というのは最期の時は男役で終りません?」
≪そうですね。30くらいで辞めたいと思ってたんですね。ちょうど30の時に風とともに去りぬをやると。これはいいと。≫
「そっちが先立ったんですか。お辞めになるということが決まってから。ずいぶんまえですよね宝塚お辞めになったのは?」
≪ええもうすごい前ですね≫
「24年ぐらい前になるんですけどもそれからご活躍で特に歌がお上手でいろんなコンサートをなさったりされてたんですがまあびっくりしましたね。一昨年の夏ですって?」
≪7月の26日だったんですけどもずっとまえから具合は悪かったんですけども5月の17日にですねテレビがございましてくつをはこうと思ったら入らないんですよ。え!と思ったらむくみ始めていてどんどん像の足のようになって≫
「その時不安じゃありませんでした?」
≪忙しかったものですから不安だったんですけどもいつかは大丈夫だろうと思って。でもそのうちに腎臓が働くなってきておしょう水が出ないんですよ。それでたまるわけですよね。ぞうのようになって≫
「そのときおいそがしくて。我慢しちゃう事がこの仕事のいけないところなんですってね。」
≪チケットも売り出してしまってましたし今から止めるという事はできないという事で我慢しました。でそのみずが上にあがってきて心臓まであがってきまして結局プールでおぼれてる状態だったんですね≫
「自分では全然気付かない?」
≪ええ、歌っていて息が続かないんで変だなとは思ってたんですけど。足がこんなになってましたから足が重いんですね足にペットボトルをいくつもくっつけてつけて歩いてるみたいで≫
「でも7月までお仕事をしてらして」
≪今度はとうとう呼吸困難になってきましてねそれで救急車をよんで≫
「それで救急車に乗っていらしたらあと1,2時間おそかったら」
≪死んでました。≫
「すごいですね。」
≪それで入院したんですけども2日3日ぐらいは先生方も病気が分からなかったんですね。これは危ないなという事で先生たちも半分あきらめた感じで。5日目でやっとおしょう水がでるようになったんですけども集中治療室にはいりまして覚えてますのは背中に穴をあけましてそこに太い注射針をいれましてそれでたまっているお水を抜いたんですねそれでこんな大きいビーカー(30~40センチほど)にお水がどんどんたまっていくんですね。黄色いんですね。これなんですかって聞いたらおしょう水ですって。≫
「恐い事があるんですね」
≪入った時60キロぐらいあったんですけども水を抜きまして病室に戻りましたら38キロになってまして。≫
「20キロ以上。たいへんでしたねそれしょって毎日あるいてらした訳ですから。」
≪それで病院にいかないっていうのは普通おかしいですよね≫
「でもふだんからするとその38キロっていうのはやせてたんですか?」
≪ええ本当にこのわっか(親指と人差し指をつないだわっか)の中に(2の)腕が入りまして≫
「やせてらしたのに水がたまっていてわからなかったその膠原病というのが」
≪5日目にわかったんです。それまでは先生方が心臓・皮膚・甲状腺・腎臓・血液6人でいろいろやってくださったんですけどもなんだか分からなかったんですね。で5かめに膠原病だという事がわかって。≫
「あなたは膠原病がどういうものだか分からなかったんですか?」
≪全然知りませんでした。母親が58で亡くなってるんですね。同じような病状だったんですね。その昔の事ですからわからなくて治療法もないまま母は早死にしましたけども。≫
「腎臓が悪い感じ。同じ膠原病だったかもしれない」
≪そうかもしれないですね。似てますねあとから考えますと。≫
「お母さまは救急車の中で亡くなりになった?」
≪あの母は神戸の病院にいまして神戸の中央病院なんですけども神戸のポートアイランドに新しくできる事になりまして移転する事になったんですね内の父が先にいってまってるってで救急車で行くと≫
「救急車と言ってもご病気ではなくてご病気ではあるんだけども」
≪そうです重症の患者はそれに乗せられていくという事だったんですけども乗る直前になって心臓麻痺を起こしまして。やはい動揺したんですね。で乗る前に亡くなったんです。≫
「じゃお父様は先に行って待ってらして、あなたは仕事で」
≪ええ、ちょうど帝劇に出てましたからね。ちちとしてはパニックですからね≫
「それからどういう治療を?あなたの場合は」
≪いろいろ治療・・管だらけでねお小水が出るようにという管やいろんなものが。でここ(首)に穴をあけて一度人工透析を≫
「でもわからないですねえ」
≪記憶にないんですよここに穴をあけて人工透析をしたっていう。覚えてない方がいいとはいわれましたけども≫
「でもその前に前兆があってこのまえ金井カツコさんもここでお話になってましたけどもレイノウ症っていうんですか。みなさんレイノウってあの霊能じゃないですよ。レイノウさんが発見した。」
≪指先がローソクのようになっちゃって≫
「まっしろになっちゃって」
≪痛いんですよ≫
「冷たくなるだけじゃなくて痛いんですね。でもお仕事に行く時はその前にお風呂に入って暖めてからじゃないといかれないみたいな」
≪そうなんです。あさおきると起き上がるのに30分かかるんですよ。痛くて≫
「あらかわいそう。手だけでしたか?」
≪肩とか関節が全部痛くて。≫
「その時もなってたのかもしれないですよね」
≪その時も森光子さんと山岡ヒサノさんとご一緒してね上級生・宝塚の上級生としてすごい可愛がっていただいていたんですけどもいろんなところにお医者様とか整体のところに連れて行っていただいたんですけどもそこへ行きましてもこんなひどい患者は見た事ないってサイジ投げちゃうわけですよ≫
「あなたは普通にセリフをおっっしゃてるとおもうんだけども森さんや山岡さんが聞いてるとなんだか」
≪ロレツがまわんなくなっちゃってそれで山岡さんにういろう売りを毎日やんなさいといわれて毎日やってたんですけどもやっぱりロレロレとなってしたが肥大してたんですね。≫
「あそう」
≪入れ歯入れてんじゃないかとか陰口言われましたけども≫
「たいへんでしたね。でもその前(膠原病になる前)ですものね。でも我慢し照らしたのね病院行かなくて」
≪いつかよくなると思ってたんですね。≫
「前はごじょうぶでしたんですか宝塚にいらした時は?」
≪宝塚にいた時はさして病気はしてないんですけども。≫
「トップスターになったと気の忙しさは想像もつかないぐらいでそれを乗り越えるっていうのは丈夫なんだってご自分でもね」
≪細いけどもよく食べてあの元気って言うか人でしたからちょっとショックでした≫
「それで2ヶ月間病院にはいってらして」
≪本当はもっと入っていたかったんですけども免疫力が落ちて院内感染が恐いからという事で家に帰ったほうがきれいだという事で≫
「院内感染が恐いからむしろお家にかえったほうがいいということで2ヶ月でお家にお帰りになったんですけどもそれから股大変だったんですってね」
≪ええあの肝臓がまた悪くなりまして今度はインターフェロンの注射をするということで2ヶ月ぐらい注射をしたんです。あれは副作用が恐くて髪の毛がザバザバ抜けるんですね。。それで面倒くさくなってバリカン買ってきて丸刈りにしまして。≫
「本当にお気の毒でしたね。いまは笑ってお話いただけるからいいんですけどもその時は大変でしたね。ちょっとコマーシャルを」
≪≫
黒柳「インターフェロンを注射されたからかもしれないんだけども”そううつ”じゃないなんでしたっけ?」
安奈≪そううつになっちゃう。先生が心配されて自殺する方がいらっしゃるんですって。で私も思い出して自殺しようかなってすごく考えてた事があるんですね。首を突こうかなと思ってでも痛いから止めたわって。今度はもうとびおりようかなとおもったんだけども体力がないから乗り越えられなかったんですね。≫
「そんなになるんですか。精神が不安定になって。でその時にいろいろなものを捨てちゃったんですって?パスポートやなんかを」
≪はい。もうわたしは外国にもいけないわって思ってすてたんでうsね。でもそれは拾ってもらったんですけども≫
「それからお着物やお洋服なんかも」
≪はいもう開いたのは着れないと思ってガリガリでしたからね。でそれを人に差し上げて返して欲しいなって≫
「寒くなっても着るものが無くなっちゃたんですて。」
≪あの差し上げてたのを覚えてたので返してくださいって≫
「あのオーバー返して頂戴って。でそれだけじゃなくて失礼な事を入ったんじゃないかって言う心配も」
≪ええすごくなんか変でしたよね。であとで変なこと言ったってきいたらそれも病気だなっと思って聞いてたって(笑)。≫
「おんなじ膠原病にもおいろいろなものがあって安奈淳さんの場合は全身性エリテマトーデスっていうびょうめいなんですって」
≪でもこれ多いですよねピアニストの中村紘子さんもおなりになって。≫
「そうー全然知りませんでしたね」
≪ヨシタケテルコさんとか。≫
「原因はわからないんですか?」
≪わかりません難病ですから。でも薬をプレトニンというステロイドを一生私は飲むんですけどとても良く効くお薬でそれも副作用があるんですね≫
「一生っていうのはねえ。仕方がないといいながらねえ」
≪まだ顔が丸いんです。前はこんなだったんですよ。ムーンフェイスっていう。本当は長方形の顔をしてるんですけどもまだ丸顔なんですよ。≫
「やっぱりその体はお痩せになっていても顔は丸くなっちゃう。」
≪そうパンパンになっちゃう。白くなっちゃってお盆みたいな白いお月様みたいになっちゃう。≫
「でも本当に入ったら声も商売だけどもルックスも商売だからこれから先どうなっちゃうかと思ったでしょう?」
≪ええ、私もこのまま治らないんじゃないかと思って落ち込みましたけども≫
「先ほども歌がお上手と紹介しましたけども歌だってねそういう風に悪いんじゃねえ」
≪ええ、全然声が出なかったです。このまま歌えなくなったらどうしようと思いましたし。ぺんを持ちますと震えるんですよふるえちゃってかけないんですね。お手紙を書こうと思っても何をかいていいか分からなくなって≫
「全然自分が自分じゃないみたいな。」
≪でも夢をみるんですけどもやはり悪夢ですよね。で眠れない。不眠症みたいになりましてですね3、4日眠れないこともざらにありました≫
「こわいですね。食欲なんかは」
≪食欲がこうしんするんですよ。その食欲を抑えないと糖尿になるんですよ。≫
「運動も適度にしないと」
≪朝夕30分づつはちゃんと歩いて、それも薬です≫
「でも歩きすぎるのもいけないんですって」
≪私30分30分歩いてたんですけども物足りなくて1日に3時間くらい歩いてたら先生に叱られました。≫
「それはいけないと。それから食欲が薬のせいでこうしんしちゃうので食べ過ぎないように。塩分とか糖分とか取らないように」
≪あまり塩分はダメですね。私はこういうお仕事をしてますから衣装が着られなくなるのが嫌なんでそれは意思強固に。コンニャクだけにするとかいろいろ考えましたけども≫
黒柳「でもみんなにお洋服をお上げになった時にステージの衣装はお上げになりませんでしたよねって言ったらあげちゃったんですって。どなたに上げたかわからないんですって?」
安奈≪覚えてないんです≫
「ステージもやらないからいいやと思って」
≪でもなにしろいろんなものを整理しちゃいました。物がなくて閑散としてます≫
「そんなになっちゃたんですか。」
≪考えられないものを。エンピツ1本あればいいわって全部ペンとか人に上げちゃったりして。目覚し時計もいくつかあったのに1個しかなっちゃって≫
「安奈淳さんにいただいたわっていう人がいるかもしれないんですけども、それはいいんですけどもだんだん良くなってお家で歌を教えになるのを始めたんですって?」
≪なんかどういう拍子かわすれましたけども家でオピアノを引いて素人さんばっかしですけどもね。ふつうのかたですけどもみなさん習いにきてくれて≫
「指は大丈夫なんですか?」
≪もう全然。≫
「あのほとんどもうステージに戻ってもいい状態で」
≪無理さえしなければ飛んだりはねたりしなければ。これも副作用で骨粗しょう症なんですよ。折れやすいんですね≫
「大変ですねえ若いのに」
≪若くないですけどね。あと白内障にもなりました。手術しましたこの間≫
「もう諦めって言うかこの病気になってるんだからしょうがないわって。」
≪は。しょうがないですものねなったものはしょうがないわって≫
「それでもいろんなことをやってらして9月の6日ですか横浜の」
≪パンパシフィックホテルで≫
「パンパシフィックホテル横浜でディナーショーをなさるんですって。シイナユリさん」
≪ハルナユリさん≫
「椎名って言う字ですよね。アンドレでご一緒にオスカルとアンドレがシャンソンをというのをおやりになる。このコンビですよね。見た時はちがう感じになってますと思いますけども」
≪これよりはずっと年をとってますからね。≫
「まあこういう衣装はご自分のところにおいてないんですかね?」
≪これは宝塚の衣装ですから。≫
「でもこの衣装でちょっとやってみて欲しいっていう方もいらしゃるでしょう」
≪この間もトークショウでねちょっとセリフをやってほしいといわれましてやりましたけどね≫
「でもあの衣装で2人で出たらね」
≪でもそれはちょっとワルですね≫
「いやだ(笑)でも見たいっていう方もねえ。それで10月に神戸の」
≪オリエンタルで≫
「これは歴代のベルサイユのバラ関係の人たちが」
≪バラ関係の人たち(笑)≫
「とにかくベルバラにでられた方たちのトークとか歌とかそういうもので。でもお元気になった安奈さんとご一緒できてみなさんもうれしいと思ってるでしょ」
≪そうですね生きててよかったってみんながいってくれます。もちろん私もそう思いますけども。≫
「ほんとうですね。でも生きててよかったわねというそういう感じ」
≪そうですねなんか人生観が変わったような気がしますね≫
黒柳「本当に元気になった安奈淳さんにお目にかかれてよかったんですけども、みなさんもそうおもってらっしゃるんですけども途中になってごめんなさい、これからの人生」
安奈≪はいあの~お釣りに人生みたいな気がしましてね神様がまだ死んじゃいけないまだあなたにはやることがあるといわれてるような気がしましてね微力ですけども人の為に役に立つ事をやっていきたいと思いますし≫
「読書お好きなのねさっきお話伺ってたらすごく本をお読みになっていて」
≪活字中毒ですね。見なきゃいられないんですね。だから目が悪かった時も今もそんなにはよくないですけどもほんをこんな(目の前)にくっつけて。≫
「それでもう1つつけくわえるんですけども神戸オリエンタルのあとに」
≪12から15まで≫
「10月に」
≪紀伊国屋のサザンシアターでジャックブレルの生涯を歌でつづっていこうという。≫
「そういう前向きのいいお仕事があっていいですね」
≪はい≫
「ファンの方もそうですけども今日はお元気なお姿をご覧になったんで今日も安心なさった方も多いと思うんですけども。でもよかったですねあと2時間か3時間か遅れたら死んでましたなんてそんなことねえ」
≪この病気はおおいですから。でも元気になりますから≫
「この方がお元気なのをみればみなさん安心なさると思いますものね。本当にありがとうございました」