本日の徹子の部屋ゲストはエマニュエル・パユさん

2002年4月23日

黒柳「本当に良くいらしてくださいました」

パユ≪サンキュー≫

「本当にファンの多い方でありまして人気のフルーティストであります。」

≪フルートというのは日本の楽器の中でも人気のある楽器でしたよね。そしてフルートというのは女性的な器楽なんですよ。女性がよくフルートを勉強しますよね。だからフルートを聞いてくださるファンの方が多いわけです≫

「それはパユさんがハンサムでいらっしゃるというのもあるかもしれません。ふふふ(笑)」

≪それは私にはなんともしがたいですね≫

「1月27日のおうまれでこれはモーツアルトの誕生日とおなじだそうで」

≪そうです。エリクタンギーという今生きているフランスの作曲家とも同じ誕生日なんです。その作曲家に1月27日に生まれた全員のための曲を書いてもらています。我々の人生をモーツアルトという素晴らしい星が導いているわけですね。私にとってはすばらしいことです≫

「もちろんモーツアルトもたくさん演奏されているわけですけど」

≪そうです最初に舞台で演奏したのもモーツアルトのコンチェルトでした。はじめて録音したのもモーツアルトでした。≫

「今日お持ちのフルートは全部”金”でできているとうかがってるんですけど」

≪そうです純金です。いわゆる14Kといわれる金でできています。≫

「指輪なんかをこれを輪切りにするとすごくできそうな気がするんですけど(笑)」

≪そうですねえ。250個ぐらいの指輪ができるんじゃないですか。ですから250人のフィアンセがいてもいいですね。そしたらもうフルートは吹けないですね≫

「どれくらいの重さか触らせていただいてもよろしいですか(※パユさんがOKをだし黒柳さんにフルートを渡す)ああ手にずっしりと。」

≪そうですもっと軽いやつもあるんですけど若いときはもっと軽いのを使っていたのですがこれは背筋などを鍛えないと使えないです≫

※フルートをパユさんに返す

「これはフルートにあう唇があるものなんですか?」

≪ここは(口を当てる部分)はカスタムメイドで特注になってるんです。それぞれの唇に合う形になってます。≫

「そうですよね今拝見していると薄い唇うをしていて厚い唇うをされている方とはずいぶん違うだろうなって」

※フルートは唇が薄いほうが吹くのに向いている

≪これは人種的な発言ではないんですけど日本人や韓国人が西洋人のフルーティストと結婚している人はいますけど黒人でフルート奏者はあまりいないんですね。もちろんジャズではたくさんいますけど結局は唇の形だと思うんですねそれによってちゃんと楽器から音が出ないということがあると思います≫

「とても日本をお好きでいらしてくださるようですけど」

≪大好きです。毎年一回は日本に来ています1989年にはじめて日本に来たのですがそれ以来毎年一回以上来ています。89年にはじめて日本に来たのですが日本語は分からなかったんですがその時は文化的なショックを受けました≫

「文化的なショックでは何が一番(大きかったですか)?」

≪最初にいったのは神戸だったんです。そこでコンクールがありましてそこで優勝しまして。そこで主催者からインストラクションを貰ったんですが漢字とひらがなで書いてあってとっても興味を持ったんです≫

「そこで貰ったものが漢字ひらがなで全部書いてあったというのは面白いと思いますけど日本の方も神戸に国際コンクールがあるということに驚いてらっしゃると思うんですよ」

≪クラッシックというのは日本で生まれたものではありません。輸入されてきた後でできた1つの音楽形態だと思いますけどヨーロッパだっと3,400年の歴史がありますけどにほんだと日本だと50年・・・最大100年ぐらいでしょうか若い活動的な現象なわけですね今でも展開されています。だから日本では多くのコンサートが開かれています。ヨーロッパでは必ずしも無いようなものが日本で開かれています。≫

「食べ物なんかもずいぶん日本のものを召し上がるそうですけど」

≪大好きです。前回日本を周りましたときは2週間いましたけど毎日違うものを食べていました。びっくりしました。20回日本に来ているのですが一回として同じ物が出なかったんです。≫

「例えばお寿司とか天ぷらとかを召し上がると思いますけど」

≪もちろんです。しゃぶしゃぶやすき焼きもいただきましたしあと名前は覚えてないんですけど例えば魚の骨をフライパンでやいて調理するというのもいただきました海老の踊り(※生きたままの海老を醤油などをつけて食べる)もいただきましたよ。人によってはぞっとするかもしれませんけど日本人でもそれは嫌だといわれる方もいますし。ですから食べ物に関してはいろいろな経験をしています≫

「でも元々はお生まれになったのはスイスと聞いていますけど」

≪そうですジュネーブです≫

「スイスというのはお花がたくさんあってお野菜もたくさんある国じゃないですか?」

≪湖もありますいし山もありますし山から見た景色というのはみなさんもご存知だと思いますけどいろいろな地形を持っています。チョコレートの箱に山や湖が写っていますし≫

※チョコレートの箱に描かれている風景

「チョコレートの箱はなんといってもスイスの風景ですしね」

≪そうです日本の観光客の方もスイスが大好きですよね≫

「スイスでお育ちだとしたら日本の食べ物と似ているものもたくさんあると思います」

≪そうですスイス生まれのフランス人の親から生まれたわけですけどイタリア・スペイン・ベルギーにも後になってから行きましたしそういう経験から後になっていろいろな言葉を覚えましたし食べ物もいろいろなものを経験しました。違った文化を経験したことが私を豊かにしてくれたと思います≫

「ベルリンフィルの最年少主席フルート奏者といわれてまして」

≪そうですその時にベルリンフィルに入りました。93年ですね。23歳の時に入りました。≫

「それは素晴らしいと思います。ちょっとベルリンフィルのなかでどうやって演奏されているのかというVTRがありますのでこれは夏のスプリングコンサートでちょっと部分的ですけどご覧にいただきましょう~演奏VTR再生~ベルリンフィルといのは日本の方の憧れのオーケストラでもありますしね」

≪そうですよく日本にも来ます。でもファンの期待にこたえるほど日本には来ていないかもしれませんねえ。コンサートの後でサインをする時間があるんですけどサインをする時間の方がコンサートよりも長く掛かる時がありますね(黒柳笑)。でもそれだけ歓迎されているという気がします≫

黒柳「それでは今エマニエル・パユさんに演奏してもらいます。曲ですけどサン=サーンスの動物の謝肉祭のなかの”大きな鳥かご”という曲でございます」

パユ≪(演奏中)≫

「(演奏終って拍手)本当にありがとうございました。本当に大きな鳥かごの中に鳥があっち行ったりこっち行ったりしている感じがしてますよね。」

≪そうですね非常に動きが早い。羽をパタパタさせながら飛んでいるそういう鳥ですね。このテーマというのはフランスのシリーズでバードケイジというシリーズがありまして2,3年前からハリウッドでも撮られてますよ≫

「鳥かごの話なんですけど男の人が女の人になったりするんですよね?」

≪そうです≫

「今お吹きになったものはCDになってまして。パユさんてこういうスペルなんですね?(※PAHUD)」

≪そうなんです日本語でも書けますよ。≫

「バッハ(の曲が)お得意でバッハを吹いてらっしゃるときのVTRがありますのでちょっとここで~演奏VTR再生~今のオーケストラはベルリンフィルのみなさん」

≪ほとんどがベルリンフィルですけど1人がベルリンのアカデミーアンシェントミュージックというところのバッロク音楽を専門としている人にも来て頂いております。ベルリンフィルというのはバロックも弾くしロマン派もジャズも弾くしとても幅広いと思います。本当にあらゆる音楽分野をカバーしていると思います≫

「先ほどおひきくださいましたサン=サーンスのはちょっとジャズになってましたよね」

≪そうですジャズですよね。私はいろいろやりたいんですね私は音楽のカメレオンになりたいんです。この動物というのは色が変わりますね。環境によって色が変わるんです。クラッシックのジャケットも着たいし。ジャズのジャケットも着たいオーケストラメンバーのも着たいあらゆるジャンルの音楽を楽しみたいんです。もしかしたら日本の邦楽も楽しみたいのかもしれませんよ≫

「そうですお出来になると思いますよ。パユさんが日本の邦楽の何かを演奏されているのを拝見したいと思いますよ」

≪でもやっぱり日本語やら無いとダメですね。≫

「ずいぶんいろいろな国の言葉お出来になりますよね?」

≪そうですねヨーロッパ系の言語であれば大抵話せますね。フランス語ラテン系ですね。ドイツ語と英語。≫

「最初はスイスでお生まれになったんですけどもローマにご両親と一緒に移って行かれる時に(引っ越したローマで住んだ)同じ建物の中に音楽をやる家族が住んでたんですって?」

≪そうなんです。ローマに住んだ時にお隣だったんです。フランス・スイス系だったんです。ちょど上の階だったんですけど上の階から音楽が聞こえてきて(上の階の)娘も息子も音楽をやってましてフルートの音が聞こえてきていつもいいなって思ってました。私は4歳だったんですけど親に私も弾きたいといいました≫

「(フルートの)小さい子供用のっていうのがあるんですか?」

≪あるんですけど私はリコーダーで始めたんです。1年間音符が読めるようにそこから音楽を始めていきました。でも腕をいっぱいに伸ばさないと吹けませんでした。≫

「それで九歳の時にベルギーのブリョッセルの音楽アカデミーに入りましてフルートを本格的にお始めになった」

≪そうですね毎日練習しなくてはいけなかったしまじめにやらなければいけなかったですね。ある程度のレベルになるまではスポーツの訓練と同じです。そして15歳の時に初めて公演をしました。最初からステージに出るまでは10年掛かってますね≫

「でもお初めになったのが小さいですからね」

≪それはそうですね≫

「それからパリの国立音楽院にお入りになって」

≪そうですあれはとてもいい経験になりましたね。フルート奏者としての経験ではなくて人間としての経験としていいものがあったと思います。1人でパリに行って1人暮らしですからすごくいい経験になったと思いますね。人生を楽しみましたあの時は≫

「そういうものが音楽に影響していると思いますけどねえ」

≪当然です。それは俳優でも音楽家でも感じたことを表現するしかかありません。それは人生での経験しかありません。ステージで再現しそれ聴衆の方々と共有するんです≫

黒柳「今日はエマニュエル・パユさんに来て頂いてるんですけど魅力的な方だから素晴らしい演奏ができるんだなって思います」

パユ≪そうでしょうか。見かけ上CDのジャケットに見かけが良いと言うだけでなにを言ってるのか何を表現したいのかそういうことの集中度が大事ですね。コンサートにいる時に時を忘れるほどの集中度を持ってやるということそれと人生の経験を表現するということ自分の人生の一部を聴衆と分ち合うこれだと思います≫

「また7月に日本にいらっしゃるということですね」

≪そうですブタベスト管弦楽団と一緒にツアーで日本にきます。この中には東京での公演も入っています。≫

「じゃあコンチェルトを」

≪そうですコンチェルトです。それとエリック=ラサーシュと11月のツアーでリサイタルをします。よく日本にいるんですよ≫

「7月にいらっしゃって11月にもいらっしゃる」

≪私はマイレージたくさん貯まってますよこれだけ日本に行くんですから≫

「でもあれでしょご結婚なさってお子さんも2人いらっしゃるというんですから(お子さんは)寂しがってらっしゃいません?」

≪子供は母親と一緒にジュネーブで暮らしています。私はほとんどベルリンで時を過ごしています。ソロ活動もあります≫

「子供の成長が見られないじゃない」

≪でもできるだけ一緒にいられるようにしますよ≫

「フルートは教えないですか?」

≪いや今は彼らはやらないですね。彼らとは人間的な関係を結ぶ時です≫

「ありがとうございました」

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